クリスマスへの戦い
12月24日。
街中はどこもかしこも虹色にライトアップされて、静かながらも賑やかさを感じる。
クリスマス。
キリストの誕生を祝うための行事は、気づけば宗教さえ関係無く、ほとんどの日本人にとってケーキやプレゼントでお祝いをするイベントとなった。
今日はそんなクリスマスの前日。
クリスマスイブだ。
中学生くらいまで、クリスマスイブはクリスマスを待ちきれない人が考えた、前夜祭、みたいなものなのかと思っていた。
しかし、決してそういう訳ではなく、キリスト教の教会暦(ユダヤ系の人達の暦)では日没を日付の変わり目としていたため、本来のクリスマスとは24の日没から25の日没を意味している。
思春期でひねくれていたのもあって、クリスマスイブは騒ぎたいやつたちが騒ぎたいやつらのために作った"偽物の"行事ごとなんだと思っていた。
いやはや、著しく知識や知見がないということは恐ろしいことだなと。
そんなひねくれ中学生も今や大学生になった。
気づけば僕は当時嫌いだった、"騒がしいやつ"になってしまっていた。
自由を手にしてからはイベント事は楽しむことに全力を尽くし、この数年で友達とパーティしながら朝を迎えたり、彼女と過ごしたこともあった。
だが今年は違う。
僕が事故で大学を1年遅れたせいで、周りの友人達は皆就職をし、朝までパーティなど大学生である僕以外出来ないのだ。
加えて共に過ごす彼女も悲しいことに今はいない。
『今年、何すればいいんだ?』
ここ数年、クリスマスが楽しいイベントだっただけに、1人での過ごし方を忘れてしまっている。
アニメ?ゲーム?何をすればいい?
チキン?ケーキ?1人で何を食べればいい?
12月頭から考えてきたが、ついに答えは出ないままだった。
このまま来年、再来年と何もしないでいると、年々クリスマス感は薄れて、賑やかな街並みの中で1人違う世界にいるような感覚に恐怖さえ感じる。
"孤独"。
クリスマスというイベントは1人で過ごすには寂しすぎる。この寂しさ、恐怖、無力感から逃れることが出来る日がいつか来て欲しいと、今日一人きりのクリスマスイブを過ごして心から思った。
ひとりが寂しくないという人も多いだろう。
現に今日は友人たちの中にも、Instagramのストーリーに1人で色んなことを楽しんでる写真をアップしてる人も多かった。
だがどうやら自分は、1度知った『クリスマスを大切な人と過ごす喜び』を忘れられていないみたいだ。
この気持ちから逃れる為には共に過ごす大切な人を見つけないと行けない。
友人だろうが彼女だろうが、この恐怖から僕を救ってくれるのは紛れもなく僕以外の誰かである。
来年のクリスマスに向けて、僕の戦いはもう幕を上げている。