図11

“御用聞き営業”がダメなのは WEBのレコメンドに勝てないからである

◆提案型営業は成果が上がるのか??

提案型営業が重要だ!と言われて久しいです。
弊社でも、営業の話を聞くと経営者から提案型営業ができてないと聞きます。御用聞き営業ではなく、提案型営業に変えて他社との差別化を図るのがねらいのようです。
 そもそも営業のスタイルとして以下のようなスタイルがあると思います。

図12

ここにある、御用聞き営業から提案型営業にシフトしたいというご要望が多いです。そもそもなぜ、提案型営業が必要なのか?
様々な回答があるとはおもいます。実践されている企業を見ると、
「お客様の満足度が高い・お客様のロイヤリティが高い・お客様との距離が近い」と感じます。例えば、よく聞く逸話で「ドリルをください」と言われたとします。

御用聞き営業は「ドリルをなるべく早く用意します」と伝えます。お客様は欲しい商品が手に入りますが、お金を払っているので当たり前と受け止めます。一方、提案型営業は「ドリルの用途」の質問をします。
「穴を開けたい」と返答が来ます。更に「利用頻度」の質問をします。「数カ所、1回だけだ」と返答がきます。そこで穴をあけること、もしくは穴があいた商品を提案します。
 そうするとドリルを買おうと考えたいたので、費用が下がり、お客様は穴だけをあけてくれる人に感謝をして、満足度が高まります。
お客様の満足度が数値化できればいいんですが、数値化できないので、成果は売上なので、ドリルを売ったほうが成果は上がります。私がお会いしてきた提案型営業に否定的な営業マンはここに疑問があるみたいです。
 
「提案型営業をしても、成果は出ない」と言われることがあります。 
確かにおっしゃる通りの所もあります。提案型営業をすると、短期的には
成果が下がる場合もあります。特に、単体の事業や少ない商品群を提供している中堅・中小企業は特にその傾向が強いです。

ただ、最近はWEBで買うことができるので単純に御用聞きだとWEBに負けてしまいます。配達スピードが速くなって営業マンに頼むよりも早く手に入る可能性もあります。わざわざ営業マンに会って買う理由はありません。

更にお客様も情報をたくさん持っています。そんな状態になると御用聞き営業マンは存在意義が無くなり、次第に成果を落とす傾向があります。よって、差別化の無い会社ではじわじわと成果が下がっています。そうなると量を追求した新規開拓や提案型営業という話が浮上してきます。

◆提案型営業の組織が実践していること

ここからは、提案型営業を実践している企業がどのようなことをやっているのか?を解説したいとおもいます。

ステップは4つに分かれます。
①お客様との関係づくり
②お客様の課題を発見する
③お客様に課題を認識してもらう
④お客様に課題の解決策を提案する
 
①「お客様との関係づくり」は多くの営業マンが得意としているので飛ばします。

②「お客様の課題を発見する」についてですが、課題は2種類あります。

図13

ここから、どのように認識してない課題を把握するのか?について解説をします。一言でいうと「理想像・将来像・目標」を聞くということです。
具体的に言うと
「今後、将来どのようになりたいか?したいか?」
を明確にすることから始まります。
逆に言うと理想や将来像が無いと課題は無い。或いは理想や将来像を知らないのに課題は見えてこない。理想や将来像を明確にすると課題は発見できます。ただ、理想や将来像を明確にしている会社は少ないです。
経営者もモヤモヤしていることが多いので、一緒に考えることでより明確になり喜ばれることがあります。

◆誰に聞くか?が運命の分かれ道

私の経験で恐縮ですが、以前自動販売機の営業を受けた時の話をさせてもらいます。全部で3社と会いました。
A自販機メーカーの営業は「うちの自販機を入れてもらうと、〇円手数料が入ります」と言われました。その後、B社も同じ内容でA社よりは手数料が高いという話をされました。それを言われると手数料がこのサービスの優位性であると理解しました。なので、手数料が高い所を選べばいいかとおもいました。

最後に会ったC自販機メーカーの営業マンはこのように質問をされました。
 
「加賀さん、セミナールームはお客様にとってどんな空間にしたいですか?」
 
そんな質問をされたことなかったので、ビックリしました。
戸惑いながらも、考えたことの無い問いに少し考え、回答しました。
 
「参加者も緊張しているのでリラックスして、
話を聞いてもらえるような空間にしたいと考えています」

すると、その営業マンからは

「そうすると、喉を潤すだけの飲料ではなく、
リラックスできる商品もあったほうがいいですね」と言われました。
 
その瞬間、「リラックスできる商品が必要だ!」がセットされました。
そして、リラックス効果がある商品を提案されました。

その質問をされて、私が感じたのは課題が収益性ではなく、リラックスできる環境を作るための課題解決へとシフトしました。

「理想像・将来像」と現状のギャップを創り出すことが課題把握のポイントだとおもいます。更に大切なのは決裁者でないと課題は見間違います。

これは、先ほどの例で言うと担当者レベルであれば
「手数料が高い」ほうが会社にとっていいことであると判断します。ただ、私が決裁者だったので手数料なんかどうでもいいと判断し、
それよりはお客様のほうが大事だということになります。
提案型営業が難しいのは相手の立場や目線によって内容が大きく変わってしまうということです。

次に③お客様に課題を認識してもらうというところも、難所があります。

先ほどの例では、理想像や課題認識がなかったのでスムーズにことが進みました。しかし、現場では課題認識はありながらその課題認識を覆す形になるケースがあります。

図15

特にWEBや競合から情報を収集しているお客様だとより難易度が高まります。具体的にはお客様は「〇〇という課題があり、これを解決できる提案をして欲しい」或いは「〇〇を実施したい」と言われた場合です。

この状態からまずは理想や将来像を聞き明確にしていく。ご要望いただいた課題や解決策と自分が感じた課題が違うケースがあります。
 
しかも、理想や将来像を聞き出して明確になっても、
お客様は思い込みがあり自分と同じ課題を認識できません。

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