人生を変えたもの①歯医者さん
歯の大切さを言いたすぎて、非常にセキララですが、自分のことを書くことにした。
私は小さい時から虫歯ができやすかった。体質なのか、怠慢なのかわからない。どうにかしたくて大学病院にまで行ったことがあるけど、親身にみてくれる歯医者さんに出会うことができず、根本的な解決はしなかった。いつしか治療跡が増えて、人前で大口を開けて笑うのが嫌になった。歯医者さんも怖くなった。
大学時代に歯科助手のアルバイトをしていたことがある。家に近いこと、ネイルOKだったこと、時給が良かったこと、土曜日の午後と日曜日はお休みなこと。歯医者は怖いけど、こんな魅力的な条件には逆らえない。大学生らしいそんな理由で安易に決めたアルバイトだった。
面接に行くと、出迎えてくれたのは中年女性。年相応の落ち着きはなくて、なんだかやたらキャピキャピしていた。履歴書を渡して最初に聞かれたのは、生年月日と血液型。自分と相性の悪い星の人間(なんか細木数子?の占いのやつ)は取らないそうだ。私は先生と相性が良い星人・血液型らしく、それだけの理由で面接に受かった。な、なんだか香ばしいぞ…。
一抹の不安を抱えつつ実際にアルバイトを始めてみると、周りには歯科衛生士を目指している美人な専門学生しかおらず、田舎から出てきた私にはあまりにも眩しすぎて、割と序盤でこのアルバイトを始めたことを激しく後悔した。
アルバイトを始めて数ヶ月たった頃、先生は事実婚状態の彼氏(同じ病院の歯科医)に浮気がバレたとかで、ある日を境に出勤してこなくなった。社会人になった今だからよくわかるけど、責任者である先生が無断欠勤ってやばすぎる。患者さんには、先生は交通事故で骨折したと嘘をついて、他の先生に予約を振り替えたりしてやり過ごした。
そんなわけで日に日に院内はぐちゃぐちゃになっていって、私の面倒をいちばんよく見てくれた先輩も辞めてしまった。私もその後すぐに辞めた。
不倫した先生に、歯の治療をはじめてもらったばかりだったけど、先生は無断欠勤してるし、院内はめちゃくちゃだし、さすがにここに通う気にはなれず、歯科から足が遠のく理由がまたひとつ増えた。
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社会人になって生活が安定したとき、今度こそ歯に向き合うことを決心した。インターネットの口コミを端から端まで読んで、通えそうな場所にあり、腕が良さそうで、かつ優しそうな歯医者さんを血眼になって探した。
探し始めて一週間後、ようやく「ここだ!」と思える歯医者さんを見つけ出した。一回目の治療では、「歯医者が怖いんです、今まで色々通ったし直してきたし、ブラッシング指導を受けたことも何度もあるけど、どうしても虫歯ができてしまうんです。」と、素直に半泣きで先生に助けを求めた。
先生は、「たしかに年齢の割に虫歯や治療跡が多いけど、これから手入れすれば大丈夫。きちんと治して予防をしましょう」と、普通に言ってくれた。怒るでもなく、呆れるでもなく、普通に言ってくれたことでとても心が軽くなった。
そこから約一年半しっかり通って、虫歯はひとつもなくなった。もうどうしようもないところには自由診療でセラミックを入れた。2箇所で30万円くらいだった。
ブラッシング指導も一度やって終わりではなく、何度もやってもらってその都度フィードバックをしてもらって、歯磨きマスターになった。唾液検査や歯周病検査もした。できることは全部やった。そのおかげで、今は3ヶ月に1回の定期検診だけになった。定期検診では、睡眠時の歯軋りやホワイトニングの相談も気軽にできる。
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治療が終わってから数年経つが、あれ以来虫歯はひとつもできていない。そして完全に余談だけど、元夫は不倫を始めた途端、なぜか口臭がめちゃくちゃキツくなった。元夫の不倫相手、おそらくSTI持ちだったのだけど、歯周病持ちでもあったのかもしれない。
治療をしたことで人前で口を開けることに過敏じゃなくなった。そのおかげでボイストレーニングに通いはじめることができた。相変わらず壊滅的に音痴だし、歌うことについてはまた別のトラウマがあったからこれはこれで一筋縄ではないのだけど。でも、定期的に大きい声を出すことは、メンタルの安定にも繋がっている気がする。歌のことはまた今度書きたい。
というわけで、私の人生を好転させたきっかけの一つは、間違いなく歯医者通いです。中高年の健康についての後悔No.1は「歯の定期検診を受ければよかった」らしいです。虫歯は全身疾患の原因にもなるし、健康な永久歯1本には100万円の価値があるとも言います。皆さんも、定期検診とフロスは絶対やりましょう。