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運動指導者が健康経営を支援する上で留意すべきこと・・・
今後、運動指導者が取り組むべき課題の1つに「健康経営」の支援があげられると私は考えています。
*運動指導者が取り組むべき健康経営の支援に関しては以下の記事を参照ください。
ただし、企業が健康経営を導入する上では、さまざまな課題や障壁があると考えます。
そこで、今回は企業が健康経営を導入する上での課題などについて考察してみたいと思います。
1.健康経営は費用対効果がみえにくい
健康経営は、現代社会の企業活動において不可欠な活動であることに疑いの余地はありません。
しかしながら、まだまだ、多くの経営者(経営陣)が健康経営を十分に理解しているとはいい切れず、実際に健康経営を導入するに至らない状況であると私は考えています。
現段階では、実際に健康経営を導入した結果として、どの程度の利益がもたらされたのかを客観的、具体的に評価できる基準や手法がないといっても過言ではないため、費用対効果の面から導入に至らないケースが多いのではないでしょうか。
また、健康経営を理解するポイントとして「健康経営は費用ではなく投資である」と考えることが重要だといわれますが、その投資に見合うリターンが得られるかを評価する基準や手法も確立されているとはいい切れません。
このような状況下で、企業のトップが健康経営を導入する決断を下すのは難しいといえるでしょう。
2.若年層の健康意識の希薄さ
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仮に企業のトップの英断によって健康経営が導入されたとしても、従業員の理解が得られなければ健康経営は「絵に描いた餅」になる、いい換えれば経営者のエゴに他ならないといっても過言ではありません。
特に、未来に向けて健康維持増進に努めるべき(努めて欲しい)若年層の従業員の理解が得られなければ健康経営が十分に機能するとはいえないでしょう。
そして、健康に対する意識は若年層になればなるほど希薄になるといっても過言ではない(下記参照)ことも健康経営を導入する上での障壁になると私は考えます。
Q:ヘルスプロモーションは日本国内でも、データヘルスの動向もあり、注目を集めています。特に若手従業員へのヘルスプロモーションが課題になってきているようです。今までの研究で、若手従業員へ効果的なアプローチはあったでしょうか?
A:年をとると体に影響が出やすくなるので病気がより身近になってきて、やる気につながりやすいですが、若い人は目先に健康課題がないので難しいですね。
より抜粋
実際、私が講師を担当させて頂いた企業内の健康セミナーにおいても、若年層従業員の参加は少ない傾向がみられました。
したがって、まずは若年層の健康に対する意識の変容を促すことが健康経営を導入する上での最重要課題になるといえるかもしれません。
3.単なるヘルスケアアプローチだけでは効果が得られにくい
また、健康経営は単なるヘルスケアアプローチだけでは効果が上がらない可能性があります(下記参照)。
重要なのは、どんな行動をターゲットとすべきかについて考えることだと思います。栄養指導なのか、運動なのか、それとも、もしかすると、仕事が楽しいと思えるようにすることなのかもしれません。その辺りが曖昧になっているケースが多いと思います。
ヘルスプロモーションを専門とする人達は、なんとなくヘルスプロモーションすれば、すべてが解決すると見がちです。会社などの組織には、なんらかのミッションがあります。
ミッションがはっきりしたところで、若い人たちがそのミッションに対して貢献していると思えるか? を見ていく必要があります。仕事に対して生きがいを感じられないと、元気がなくなってきます。そんな気持ちでは、出社の前に少し歩きましょう、食生活には気をつけましょう、と言われても、そんな気にはならないでしょう。
「運動をやりたい」と思わせるためにはどうしたらいいか? 興味を持たせるためにはなにをすればいいか? と考えていましたが、そのような断片的なものを見るのではなく、職場でのウエルネスでは「そこで仕事する意味はそれぞれの人にとって何なのか?」を最初に考え、目的を定めていく必要があると思っています。
より抜粋
運動指導者やヘルスケアプロバイダーは、単なるヘルスケアアプローチだけに目を向けがちです。
しかし、職場において健康維持増進活動を促していくには従業員の精神的健康や社会的健康、すなわち、従業員の仕事に対する「やりがい」や「充足感」を高めることが何より重要になるといえるでしょう。
まずは企業の「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を明確にし、それらを全従業員が共有すること、そして、従業員のやりがいや充足感などの精神的健康や社会的健康を高めることが健康経営を導入するための準備であり、入口であると考えます。
4.女性特有の健康課題に対する理解が不十分
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近年、ジェンダー平等の社会の実現に向けて、さまざまな取り組みがなされていますが、まだまだ女性特有の健康課題に対する理解が十分であるとはいえない状況にあります。
したがって、女性特有の健康課題を理解することも健康経営を導入する上での重要課題の1つであると考えます。
女性特有の健康課題を理解する上では、「女性マーケティング」の基盤になる「社会学・ジェンダー学・フェミニズムの歴史といった女性を取り巻く社会的背景と生物学的性差」に関する理解を深める必要があるといえるでしょう。
そして、特に女性特有の健康課題を理解する上で重要になるのが男性よりも多様化する「ライフコース」と女性特有の「ライフステージ」を理解することであるといえます。
女性は、結婚、妊娠、出産、育児など男性に比べライフイベントが多く到来し、そのライフイベントの度に価値観や行動が変化しライフコースが多様化していきます。
さらには、ホルモンバランスの変化に伴う「ライフステージ」が存在し健康課題も変化します。
このような女性特有のライフコースやライフステージに合わせたヘルスケアアプローチが健康経営を導入する上での課題、キーポイントになるのではないかと考えます。
*女性のライフコース、ライフステージに関しては以下を参照ください。
5.まとめとして
運動指導者は、一般の方々に対して健康維持増進活動を促す際、加齢に伴う将来の健康課題や運動不足に伴う健康課題を提示することで、運動の必要性を訴え健康維持増進活動に興味を持ってもらう、といったアプローチをとってしまいがちです。
しかし、若年層においては健康課題が明確でない分、そのようなアプローチでは不十分であることは否めません。
健康経営のキーポイントであるともいえる若年層授業員に対してアプローチする際には、運動が健康に及ぼす良い影響を理解してもらったり、運動に興味を持ってもらうようにすることよりも、各々の生活基盤となる仕事の充実や職場の充実を図り生きがいを持ってもらうことが先決であると考えます。
したがって、運動指導者が健康経営を支援していく上では、医師を中心とする医療従事者はもちろん、経営コンサルタントなど、さまざまな分野の専門家と連携していく必要があるといえるでしょう。
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![野口克彦](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/3459912/profile_5057bfa7d302637e1be88d37c9870f10.jpg?width=600&crop=1:1,smart)