重要に見えたとしても、もっと大切なものがある
昔の私は、「転勤」の辞令が出たなら有無を言わせず、それが一番緊急で重要なことという意識がありました。
「どんなことがあっても、お客様との送別会、歓迎会が重要」と言い張る夫にかわって、自分が家の引っ越しをすべて片付ける、それが良い妻と思い込んでいました。
それって、今、考えると本当におかしなことだった。蚊帳の中に入ると、なんて判断をしてしまうんだと、今では思います。
なぜかというと、私の夫が転勤の辞令をもらった日は、初めての赤ちゃんの妊娠10カ月目に入った時だったのです。初めての出産で不安になっていて、一緒にいてほしい。そういう気持ちだけがありました。
でも、大切な身を酷使して、一人で引っ越し準備する必要はなかったのかもしれません。当時は、引っ越し屋さんが荷物をまとめてくれるなんてサービスはありませんでした。
私はそのとき、夫についていくべきという思考を持っていました。会社は社宅の用意をしてくれましたが、今になってよく考えると、「自宅を捨てて社宅へ住みなさい」という命令まではもらっていないので、私は安定するまで自宅にとどまるという選択肢もあったのです。
そこでの選択肢は完全に間違っていたと今の私なら思います。なぜなら、パートナーは通えば通えないことはない1時間ぐらいの距離でした。だから、子どもが生まれてからゆっくり引っ越すこともできたのです。
妊娠10カ月で無理な引っ越しをしたために(妊婦は重たいものを持ってはいけないのにも関わらず、本や食器を梱包したり、重たい家具を動かして掃除したりしていた)、過労で出産する力を失い、赤ちゃんも私も生死の境をさまようことになってしまいました。引っ越しが私と愛する赤ちゃんまで命を危険にするなんて考えてもいませんでした。
だから、出産間近の女性には、声を大にして言いたいと思うんです。自分と赤ちゃんの安全を第一に考えてください。自分と赤ちゃんが落ち着いてから何事もすればよいのです。そういう選択肢もあるので、探してください。
もっともっと柔軟に回りの人に助けを求めましょう。くだらない思い込みで死んでしまったとしても、取り返しがつかないのです。妊娠中はふたり分、わがままになっても、ちっとも悪いことではないんですよ!
ご自身と赤ちゃんをいちばん大事にしてください。もちろん妊娠している奥様のパートナーも、安全第一に気を配ってあげてね💕