
【伊藤忠商事戦略分析③】非資源ビジネス市場のターゲット戦略
はじめに
こんにちは、戦略分析ラボです。
前回の3C分析では、伊藤忠商事が食品・繊維・生活消費財・ヘルスケア市場に強みを持ち、グローバルな供給網とブランド戦略を活用して成長を図っていることを確認しました。一方で、国内外の競争激化や、新規事業の開発、デジタル化への対応が課題として浮かび上がりました。
本記事では、STP分析(Segmentation:市場の細分化、Targeting:ターゲットの選定、Positioning:市場での立ち位置)を用いて、伊藤忠商事のターゲット市場とポジショニングを詳しく分析します。
伊藤忠商事のSTP分析

Segmentation(市場の細分化)
伊藤忠商事は、B2C(一般消費者向け市場)とB2B(企業向け市場)の両方で事業を展開しており、それぞれの市場において異なるニーズを持つ顧客層をターゲットにしています。
① 食品市場の細分化
食品市場では、健康志向の高まりや即席・簡便食品の需要増加が顕著になっています。
健康食品・機能性食品市場:サプリメント・プロバイオティクス食品などの需要が拡大。
即席・冷凍食品市場:調理の手間を省く商品が人気。
プレミアム食品市場:高品質・高価格帯の商品への需要が高まる。
② 繊維・アパレル市場の細分化
繊維・アパレル市場では、サステナブル素材の活用やデジタル技術の導入が進んでいます。
エシカルファッション市場:オーガニック素材・リサイクル素材を用いた製品の需要が増加。
D2C(Direct to Consumer)市場:ブランドが消費者と直接取引するモデルが普及。
スポーツ・機能性ウェア市場:テクニカル素材を活用したウェアが人気。
③ 生活消費財・ヘルスケア市場の細分化
生活消費財・ヘルスケア分野では、パーソナライズ商品や高付加価値製品の需要が高まっています。
パーソナライズ化粧品・スキンケア市場:個々の肌質に合わせた製品が増加。
機能性ヘルスケア市場:ウェアラブルデバイスや健康管理アプリの普及。
エコフレンドリー消費財市場:環境負荷の少ない洗剤・日用品の需要が拡大。
Targeting(ターゲットの選定)
伊藤忠商事は、非資源分野において成長が見込める市場をターゲットとし、B2C・B2Bの両面で市場開拓を進めています。
① 食品市場:健康志向・簡便性・プレミアム市場をターゲット
食品市場では、消費者の健康志向の高まりと、利便性を求めるニーズの増加に対応しています。
健康食品・機能性食品の開発:高タンパク・低糖質食品、プロバイオティクス製品の開発を強化。
即席・冷凍食品の市場拡大:家庭向け・業務用の冷凍食品ラインナップを拡充。
プレミアム食品の展開:産地直送の高品質食品や高級ブランド商品の強化。
② 繊維・アパレル市場:サステナブルファッション・D2Cモデルをターゲット
アパレル市場では、環境配慮型の製品とデジタルチャネルを活用した販売戦略を推進しています。
サステナブル素材の活用:オーガニックコットン・再生ポリエステルを活用した商品開発。
D2C市場の開拓:自社ブランド・パートナーブランドを活用し、ECプラットフォームを強化。
スポーツ・機能性ウェア市場の成長:アウトドア・フィットネスウェアの需要増加に対応。
③ 生活消費財・ヘルスケア市場:パーソナライズ商品・機能性製品をターゲット
生活消費財・ヘルスケア市場では、個別化・高付加価値化のニーズに対応しています。
パーソナライズ化粧品・スキンケア商品の開発:AIを活用した肌診断サービスを導入。
ヘルスケア市場の拡大:ウェアラブルデバイスや健康管理アプリとの連携を強化。
エコフレンドリー消費財の開発:生分解性洗剤・再利用可能な包装材の導入。
Positioning(市場での立ち位置)
伊藤忠商事は、非資源分野において「メーカー機能と流通機能の融合」を強みとし、B2C・B2B市場で独自のポジショニングを確立しています。
① 食品市場:高付加価値食品と流通ネットワークの強化
ファミリーマート・プリマハムなどの流通網を活用し、安定した供給体制を確立。
機能性食品・プレミアム食品を強化し、高付加価値戦略を推進。
② 繊維・アパレル市場:サステナブル素材とデジタル販売の融合
ユニクロとの協業により、素材供給と製品開発を強化。
D2Cブランドを活用し、オンライン販売を拡大。
③ 生活消費財・ヘルスケア市場:付加価値とデジタルの融合
パーソナライズ商品の提供で競争力を向上。
ヘルスケア領域でのデータ活用を進め、新たなサービスを展開。
まとめ
伊藤忠商事は、食品・繊維・消費財・ヘルスケア市場での競争力を高めるため、ターゲット市場を明確化し、成長分野への投資を進めています。特に、健康食品・即席食品の拡充、サステナブルファッション・D2Cの推進、パーソナライズヘルスケア商品の展開が成長戦略の鍵となっています。
次回は、4P分析を用いて、伊藤忠商事の価格戦略とプロモーション施策を詳しく分析していきます。