患者の予後を予測することをテーマとした線形代数の問題と研究題材の検討
2年生以降,先端医療学コースで研究を行う。その題材を予後予測とするのはどうだろうかと思い始めている。予後予測により要観察期間を提案できる。
要観察期間について
2016年に全国がんセンター協議会が発表した集計結果を見てみる。
胃がんの5年生存率は70.9%,10年生存率は69.0%。大腸がんの5年生存率は72.1%,10年生存率は69.8%。胃がんと大腸がんでは5年と10年で生存率はあまり変わりない。5年後生存する患者さんのほとんどは10年後も生存しているため,観察は必要ない(生存していても寛解していないかもしれないため,このように断言できるかは私には分からない)。
一方で乳がんの5年生存率は88.7%,10年生存率は80.4%,肺がんのそれは39.5%と33.2%であり,肝臓がんでは32.2%と15.3%となっている。5年と10年で生存率の違いが大きい。つまり5年後生存できても10年後には死亡してしまう患者さんが少なくない。5年後から10年後は要観察期間に該当するのである。
このように生存者の割合が分かれば要観察期間が見える。要観察期間を必要最小限に抑えられれば,患者さんにとって不必要な医療負担,心理的負担を減らせる。また,ある時点で寛解していない方の割合が分かれば医療費や医療資源需給を試算できる。
線形代数の問題
予後を計算する方法としてマルコフモデルを使うものがある。その単純な例として,線形代数の期末試験に対する私の予想問題を提示する(実際,確率漸化式の問題が出たため予想は的中した)。
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