舞台 袴DE☆アンビシャス!2022 葉月智子の、まだ見ぬ地平の先
7月13日から18日まで、ここ池袋の、BIG TREE THEATERで上演された、
袴DE☆アンビシャス!2022
小生も昨日のうちにレポを作り上げて、
作品の素晴らしさを書き残させてもらったのだが、
最後に書ききれなかったことがあるので、
簡単にそれを書き上げて完結させておきたい。
それは、我が贔屓の3Bjunior出身者である、
葉月智子
ちょもの、今作での小生の所感などであるが、
全9公演中3公演を観ただけ、
しかも今回は、その人一人だけを観続けるという、
ロックオン観賞(と小生は名付けている)はしていないので、
彼女の舞台でのすべてを観切れたわけではないものなので、
そのあたりは素人の備忘録ということでご容赦を。
まずは、制作の宇田川美樹さんからの再演発表で、
風座車サジコ役として出演すると知ったときは、
昨日記事にも書いたけど、喜び半分心配半分。
今年の再演に燃える継続出演者たちで完成されたところに、
新参者として入ってゆくのはどうだろうか?ということだったんだけど、
他4人の交代出演組にかつての共演者も多く、
そもそも宇田川さんにも過去2作お世話になっているので、
今思えば、外野の要らぬ下世話なおせっかいにもならなかったかな。
ただ、千秋楽後の感想(千秋楽だけ全キャスト感想があったのね)では、
ちょも曰く「(オープニングアクトの)ダンスを踊るのが心配だった」
というように、あのダンスが一番の悩みだったとか。
何度か心折れそうになり帰りたいと思った、とも言っていたけど、
これは本人の謙遜です!
3Bjr時代の26人フォーメーションの経験は無駄ではないし、
そもそも、おっとりしている風に見えてダンスの動きとか、
素人の眼にも、そんなに引けをとっていないと思うのね。
さらに、これは余裕なのか、あるいはリズムを取る工夫なのか、
ダンスの時に、
歌詞も一緒に口ずさんで踊っているのよ!
これは、見た限りちょもだけだった
余裕にせよ工夫にせよ、どちらであっても、
観ている方にすれば、彼女の特色として印象に残ることになるのは、
次の仕事につながる可能性とかも含めて、良いものに違いないと思うしね。
役どころのサジコというのは、
主人公の所属するチームの敵役のキャプテン。
これは小生の反省点でもあるんだけど、
昨年は初演を目にしたと大見え切ったものの、
やはり正直言って、サジコについて印象に残っているのは、
実質的なチームの指導者たる銀河景ツルギにことごとく食ってかかる、
チームの輪も乱す自己中心な部員という点だけだったの。
演じられた梅原サエリさんもその時が初見の方だったし、
ああ、まだまだ舞台の見方が甘いなと言わざるをえないのね。
で、今作は、贔屓筋の彼女が演じたんだけど、
まあ、これはね、正直贔屓の盛りすぎなヨイショではあるけど、
えっ!
サジコって、こんなにも小憎たらしくて嫌味な女で、
だけど脆さも持ち合わせている甘えん坊な女で、
結局は憎めないチャ―ミングな女子だったのかよ!
ってものを体現してくれたのよね。
敵役は2作品目で、今作は声を荒げるだけでなく、
言葉も下衆なものを発するし、アクションでも人を怪我させるし、
怪我させたことに後悔なく笑みを浮かべるし、
自分のミスを棚に上げて、味方のミスを責めるしと、
およそ、彼女は悪いなあってものを残してくれたと思う。
それでいて、後半、自身のミスで退場した後に、
弱さを表現する一環だったんだと思うけど、
相手チームから買収したキャプテン・セオンにウザ絡みして、
慰め癒してというかまちょぶりを影芝居で発揮するとか、
これが最高に素晴らしかった。
この時の相手役の松木わかはさんが、もちろん、
ちょものそうした芝居に応じて、受け入れてくれてたからこそであるけれど、
思えば、こんな影芝居も、余裕があってこそできるんだろうね。
あるいは、松木さんが開眼させてくれたものかもしれないけど、
毎公演ごとに、それを究めていったのも、ちょもの度胸や技量があってこそとも言えるしね。
この松木さんも、先記事で書いたとおり、今作では、
小生的にはコメディリリーフではNo.1だと思うほどの素晴らしさ。
セリフに対しての、突っ込みのセリフ・動きの返し方とか、
日常の自然な反応のし方に近い、リアルに感じられたのよね。
9月に主演的な作品があり、他の演者も小生が知った中では好みの方も多く、
予定は開けておいたので、楽しみです。
なお、重ねて言うけど、
もちろん昨年の梅原さんも、あの初演のときから、
こうしたものを表現されていたことは間違いないだろうし、
ちょもだけが突出して良かった、ということでもない、
ただ贔屓のし倒し、という部分があることは自戒も込めて言っておかないとね。
あ、影の小芝居といえばもうひとつ、
これもベテランの、味方チームの分析家のタカ役のクシダ杏沙さんとも、
小生千秋楽でようやく発見できたことも触れておかないと。
タカに対しては、サジコも一目置いているようで、
ちょもの演技からも、畏敬の念的なものを感じ取れたんだけど、
そのクシダさんも、やはり影芝居に応じてくれていたのもありがたかった。
そのクシダさん、先記事でも書いたけど、
チームの1年、常に死場所を求めるサダ(喜屋武蓮さん)が、
本望であるコートに倒れ、まさに死に際ってところで、
見事な散り際だ、って言うんだけど、
千秋楽では、心なしか、かすかに涙をこらえる感が垣間見えたのね。
40代で学生です、と自身も挨拶でいわれたとおりベテランでも、
1年越しの千秋楽、稽古やらで一定期間協業した役者さんともこれでお別れ、
そんな思いが去来する生の公演ならではの感慨があるんだろうなと、
その辺でも小生もホロリしたね。
そしてもう一人、
この方については、昨日の先記事で、ひとこと触れることを忘れてしまい、
大変申し訳なかったので、ちょもと絡めてながら、言及させてほしい。
サジコからしたら相手チームのアンビシャス、
同じ羽子板持ちの、火天宮ツノ役の斉藤有希さん。
昨年公演では、煙管で肺が真っ黒じゃ、が印象的で、
とにかく元気づける役どころを、ホントに大きな声で演じていたけど、
宇田川さん他みなさんから「ゆきち」の愛称で信頼されている、
こちらも30歳前後の中堅の役者さん(最近結婚されたとのこと)。
彼女も劇中2度も怪我するんだけど、そのときのアクションが、
側転したり、直前ですっと勢いを殺して転倒してダメージを軽減したり、
こちらも身体能力の高さをうかがわせる身のこなしが素敵だった。
でも、演劇一筋の方のようなので、多分今作と違う、
動きが少ない・静かな芝居なんかでも、それなりの印象を残すんだろうな、
と思わせられるのよね。
ちょものサジコが最初に襲ったり、
サジコ退場のきっかけの1対1のシーン、
稽古でも手合わせする機会もあっただろうから、
得たものも多いんじゃないかしら?
ただ、今日現在、この2人のツーショが無いので、
ちょもが人見知り発動でもしてないかが不安かも!?
これら紹介させてもらった3名はもとより、
この22名(もえのあずきさん含めて)の共演者に、
顔合わせから稽古、本番を通じて、確実に、
役者として受け入れてもらえるものを、
披露したことは間違いないと思えるし、
小生には、自信を秘めて臨んだと思えたちょも。
次回作「朗読劇 エターナルメロディ」もすでに決まっていて、
そこでは、かつて3Bjrとして苦楽を共にした、
公野舞華
との活動終了後の再会が待っている。
そこでは、どうか遠慮しないで、
随分とちょもは先に行ったという姿を、
きみちゃんに見せつけてほしい。
そこからが、後を追うものの、
スタートラインになるはずだから。
葉月智子の、
役者としての、
まだ見ぬ地平の先には、
何が待っているんだろうか