「学びのための評価〜東京コミュニティスクールにおける探究の実践から考える〜」セミナー動画+一部文字起こし
本記事は、2023年7月4日開催したオンラインセミナー「学びのための評価〜東京コミュニティスクールにおける実践から考える〜」のアーカイブ動画と、文字起こし(一部)です。
セミナー「学びのための評価〜東京コミュニティスクールにおける実践から考える〜」
「東京コミュニティスクール」とは
「東京コミュニティスクール(以下TCS)」は、2004年に東京都杉並区にて開校された、幼児・小学生対象の全日制マイクロスクールです。開校時の児童は3名、一軒家にて、文字通り"小"(さな)学校として、その歴史をスタートしました。
今ほど普及していなかった「探究(テーマ学習)」を開校当初より実践、数値化が難しい子どもの成長をどうやって評価するか、今も日々の実践の中で振り返り研鑽を重ね続けています。
セミナーのテーマ「学びを促進するための評価」
本セミナーではTCSの創立者である久保一之氏(KAZUさん)と、教員の中島敦子氏(あっちゃん)を招いて、以下の内容をお話しいただきました。
TCSの学び …以下に文字起こし(一部編集)
探究(テーマ学習)の実践例 …例年、TCS1年生が最初に経験するテーマ学習「紅葉山見っけ隊」を取り上げて
TCSの評価 …アセスメントポリシーや大事にしているカルチャーなど
本記事は、セクション1「東京コミュニティスクールの学び」をスライド写真付きの文字起こし(一部編集)、セミナー全体のアーカイブ動画を含みます。
1. 東京コミュニティスクールの学び[久保から]
学びの様子
東京コミュニティスクールの学びの全体像について、雰囲気を感じていただくために、写真をお見せしたいと思います。
初等部52名、小さな小さな学校です。
コメタン(米作りの探究)田植え。水が抜けたりいろんなことがあるのですが、米作りをして年末に餅つきを行うこともしています。
テーマ学習「治の力」。現地・現物・現人を大切にしています。国会議事堂に行った時の写真です。
編集者注)他にも、「編集の達人」「TCS大運動会」「ホースキャンプ」「算数」の写真もご紹介いただきました。
学習環境の概要
この、!・?・[もやもや]で表されている3つのマークは学びのアンテナと読んでいて、とても重要な要素です。
この学びのアンテナを持った学習者が、ある程度設定された学習内容(カリキュラム)について、リソースを使いながら、スタッフと学んでいく。自然と関わりながら、コミュニティがその学びを支えます。
それを自和自和《じわじわ》という時間軸で学んでいき、少しずつ学んでいきます。これが東京コミュニティスクールの学習環境の全体像となります。
教育理念・育む人材像
今、出てきた 自和自和《じわじわ》という言葉。これは、東京コミュニティスクールの教育理念になります。
「自分らしさを活かし、人や社会や自然との和(つながり)を楽しみ、ともに学び着実に成長する。」
という意味が込められた造語です。
”着実に”、”じわじわと”というところを大切にしています。
子どもたちは、覚えることやできることが早かったりすることもあります。だからこそ、小学校6年間で完成を目指すようなこと、中学受験を目指すような短い目標ではなくて、その子なりのスピードで、前よりも着実に成長することを目指していきます。
そういったことの結果として、「学び続ける人」「創造し続ける人」を育みたいと考えて、東京コミュニティスクールは設立されました。
では、「学び続ける人」「創造し続ける人」をどうやって育むのか、といった時に出てくるのが、ラーニングフレームワーク(学びの要素の全体像)です。
フレームワーク…評価のサイクル、概念、スキル、知性、スピリットなど
赤色の部分、「モチベーション」→「習得」→「実体験」→「生きる力」という4つの評価サイクルが今回のテーマになります。学び続けるには「モチベーション」が重要で、それがどうなっているのか分析する時に使います。
ではどのように分析したら見えてくるのか。
まず「はじめる力(Act)」。子どもたちを後押しする部分です。
「なんでもいいから始めてみようよ」
仮に三日坊主でも構わない。三日坊主も120回すれば、360日何かやっていることになります。
失敗しても、飽きてもいいから何かやってみようよ。
これが、東京コミュニティスクールの基本スタンスです。
何かを始めた後、未知のものを理解するための鍵が、緑色の部分の「概念(Inquiry Keys)」です。「探究の鍵」と言い換えても良いかもしれません。
特性や構造についてどうなっているのか(Form)
機能や役割はどうなのか(Function)
原因や理由はなんだろうか(Causation)
どう変わったか(Change)
私たちの生活とどう関連・影響するのか(Connection)
私の観点はこうだけど他の人はどうだろうか(Perspective)
これらを武器として、未知のものに向かっていきます。
それから、「スキル(Skills)」です。
先ほどの「概念」もですが、東京コミュニティスクールは何でも6つにする特徴があります。各スキルごとに6個ずつ設定がされています。
思考スキル
リサーチスキル
コミュニケーションスキル
身体的スキル
社会的スキル
自己管理スキル
これらが学びの中に計画的に張り巡らされており、スキルを獲得していくことができます。
他に、「知性(Intelligences)」があります。
知性と聞くと、言語や算数などの教科領域がイメージされると思います。我々も教科の内容をやりますが、重要視しているのは「探究領域(Life themes)」といって、人生で探究するものを、「自主自律」「時空因縁」「意思表現」「万象究理」「社会寄与」「共存共生」6つの領域で設定しています。
6つの領域を、6年間でこのようなかたちでプログラムにしています。
横軸に、「自主自律:私たち自身の探究」であったり、「時空因縁:私たちと場所の繋がりや、過去や未来への繋がり」であったり、「意思表現:人との繋がり」であったり、「万象究理:万物はどういう仕組みになっているのか」、そして「社会寄与:私たちはどのように社会と関わるのか」、「共存共生:この地球上のいろんな生物とどのように共存共生していくのか」、といったことがあり、これらを6年間で深めていきます。
このスライドに表示されているのは、探究のテーマタイトルです。それぞれのテーマで、概念(セントラルアイデア)を学んでいきます。
例えば、自主自律の1年生『I am Special, YOU are special』というテーマでは、
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