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天気にまつわるエトセトラ

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天気と文化、地域に伝わる伝承のまとめです。
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#ガストフロント

積乱雲との位置関係を測る

梅雨明け以降の関東地方は雷雨が多発していますが、発達した積乱雲の目安でもあるガストフロント(アーチ雲)の見える位置で積乱雲との位置関係を測ってみました。基本的な情報ですが、ガストフロントは積乱雲が吹き出す冷気と周囲の暖気の境目に出来る局地的な前線です。強い冷気を噴出した際にその先端に出来るため、積乱雲の発達具合を測る目安にもなります。 2024年7月27日に埼玉県方面から東進してきた積乱雲が茨城県西部で発達、18:30分には目視でガストフロントを確認、その後雨が降り出すま1

1週間の追跡まとめ

先週は全国的に雷雨が多い1週間でしたが、私の地元北関東でも連日雷鳴が轟いていました。梅雨明け以降本格的な雷シーズンに入り、特に7/22~7/27日には激しい雷雨が続き、一部で突風や冠水による被害も出ています。 2024年7月22日(月) 夕方から夜の初めにかけて積乱雲が発達、いちど北上して栃木県南部でガストフロントをキャッチします。 19時過ぎに積乱雲が南下してきたので茨城県方面に移動しました。 2024年7月25日(木) 夕方になり茨城県と栃木県の県境付近で積乱雲

北関東のライサマ大暴れ

7月10日から13日にかけて北関東では激しい雷雨にみまわれ、4日間全てに突風被害が発生しました。12日を除く3日間積乱雲を追って出動していましたが、いくつもの積乱雲が次々にわいてくるような状況で、竜巻注意情報を知らせる防災無線が鳴り響く中で撮影を行いました。余談ですが12日は不覚にも午前中に熱中症になってしまい、午後になっても体調不良が続き出動することが出来ませんでした。 7月10日レポート 7月10日、午後になると北関東の山沿いで次々に積乱雲が発生、夕方になると平野部

ディープなアーチ雲の世界

以前は一部の人にしか知られていなかったアーチ雲ですが、ここ10年ほどで多くに人に知られたように思います。アーチ雲は積乱雲の周囲にできる帯状の雲で、積乱雲から吹き下ろす冷気と周囲の暖気との境目(前線)が可視化した雲です。 積乱雲の発達がピークをむかえると、上昇気流が弱まり下降気流が優勢になります。上昇気流の支えがなくなることで、雲の内部で上下動を繰り返していた雨粒や雹が冷気と一緒に勢いよく地上に下降してきます(ダウンバースト)。地上に衝突した冷気は四方に広がり、周囲の暖気と衝

突風は竜巻だけじゃない

5月下旬から6月中旬にかけて、上空寒気の影響で関東地方の各地で荒れ模様でした。季節の変わり目には天気が荒れますが、今年は特に激しかったように感じます。5月27日には群馬県南部の太田市、邑楽郡邑楽町、邑楽郡千代田町、邑楽郡明和町、館林市で現象区別不明の突風が、同27日に茨城県筑西市でダウンバーストまたはガストフロントによる突風が発生しています。大粒の雹による被害が多発した6月2日には、埼玉県北部の深谷市、大里郡寄居町でダウンバーストまたはガストフロントによる突風が発生しています

積乱雲のおなら

積乱雲の下では度々激しい現象が起こりますが、夏の北関東でよく起こるのが、落雷、ダウンバースト、ガストフロントです。その中でも被害が広範囲に及ぶダウンバーストは厄介です。 私がダウンバーストという言葉を初めて聞いたのは、忘れもしない1996年7月15日に地元の茨城県下館市(現筑西市)から栃木県小山市にかけて発生した国内最大級のダウンバーストでした。当時のスケールでF2、60m/sを超えるような突風です。被害幅は1,500mから3,000m、被害域は2.5kmから4km、住宅被