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恋愛短編小説 「余計な一言は命取り」
「余計な一言が多い」と彼女に言われフラれた。それからというもの、何がそんなに悪かったのかよくわからない。
まあ、確かに、僕はハッキリと物を言うタイプだ。例えば彼女が「私、太ったかな?」と聞いてきたとき、正直に「うん、ちょっとね」と答えたことがあった。でも、そんなの悪意があってのことじゃない。正直なだけだ。だけど、彼女はそんな僕の言葉をいつもよく思っていなかったみたいだ。
「あなたは他人の気持ちがわからないの?」彼女はよくそう言った。でも、僕はわかってるつもりだった。ただ、言葉にするといつもうまくいかない。言った後で、「あ、あれじゃダメだったかな?」と思うこともしばしば。
ある日、彼女がロングヘアーからショートヘアーの髪型にしたときのこと。僕は素直に「前のほうがよかったかな」と言ってしまった。彼女は一瞬、何も言わなかったけど、その表情がすべてを物語っていた。僕はまたやってしまったと気づいた。
その後、「余計な一言が多い」と彼女は言って、僕との関係を終わらせた。
今、ひとりで公園のベンチに座って、ふと空を見上げる。空は広くて、どこまでも青かった。彼女と見た飛行機雲を思い出す。あのときもきっと、何か余計なことを言ってしまってたのだろう。
「なんで、ちゃんと伝えられないんだろうな」と僕は独り言を言う。僕は理解しているつもりでも、本当は理解していないのかもしれない。他人の気持ちを想像することが、実はとても難しいことなのかもしれない。
彼女はいつも僕に耐えてくれていたのだろう。
僕の「正直」が、時には彼女を傷つけていたことを、僕は認めなくてはならない。彼女の「余計な一言が多い」という言葉が、今になってやっと少し理解できるような気がする。
僕は彼女にもう一度、話をしようと思う。すべてが元に戻るわけではないけれど、せめて、彼女がどう感じていたのかを聞きたい。そして、僕がどれだけ彼女のことを考えているかを伝えたい。それが、彼女との関係を修復する最初の一歩になるかもしれない。
人間関係は難しいな。
でも、だからこそ、一緒に過ごす時間が有意義で、価値があると僕は思う。僕はこれから、もっと慎重に、そして思いやりを持って言葉を選ぼうと思う。誰かを傷つけないように、もっと他人の気持ちを理解する努力をしなくてはならない。
彼女との次の会話は、きっと難しいだろう。だけど、その会話が僕自身を成長させてくれると信じている。何より、彼女が笑ってくれることを、心から願っている。
時間を割いてくれてありがとうございました。