短編小説 「スカートを脱ぎたい」

スっと冬の冷たい風が太ももを撫でてスカートをひらりと揺らした。風の冷たさに体がぎゅっと強張り、じわっとパンツに暖かさを感じた。いつもというかなんというか簡単にちびっと漏れる。今日はナプキンなしお気に入りの水色パンツにシミが残るかな。外に漏れ出るかなツンっと鼻にくるアンモニア臭が。

もし高校生の頃にスカートから臭いが漏れ出たなら男子が「誰か漏らしたぞ」とたとえ授業中だろうと冷やかすかもしれない。でも今なら、SNSで「私の漏らしたパンツいる？」とか投稿したら、すぐに誰かが「買います」とか言ってくるだろうな。実際、売ったことあるし……。手段や倫理を考えなければ金を稼ぐのは楽ね。でもキモい。私も買う人も興味ある人も。

スカートは誰得なの？

そういや昔の学園ドラマを観たり、それを題材にしたアニメを観ていると憧れる服装がある。リーゼント頭にメンチきかせた顔面の男子学生が穿いてるボンタン。あのフワッと膨らんだズボンがカッコいいというかなんかかわいい。なんの機能性もないだろうけど穿きたい。

　「機能性もないのに穿くの？」と聞かれたら、「スカート穿いてるから」と答えればいい。スカートだってなんの機能性もない。特に真冬なんかは極寒。だけど穿くわけわからんけど。盗撮されようが臭いが漏れようが穿いてる。だから機能性なんか気にしない。私はボンタンを穿きたい。

スカートはもうこりごり。ああでも夏の暑い時にスカートの中をウチワであおいだりすると涼しくて気持ちいいから夏はいいかな。でも夏以外で穿くメリットってあるかな。冬は寒い。盗撮はされる。満員電車でスカートの中に手を突っ込まれる。視線が気になるからあぐらもかけない。

スカートを脱ぎたい。誰も強制していないから勝手に脱げばいいか。ボンタンを穿けばいいか。スカジャンを着ればいいか。ちょっと極端ね。そんなんじゃ誰も近づいてこないね。

街にいるスカートを穿いてる女性たちのスカートをズボッと脱がしてやりたい。もしくはめくってやりたい。めくって男に女の擦りきれそうパンツを見せてやりたい。勝負の日以外は結構ひどいよ女のパンツは。ついでにたるんだケツも見せてやりたいわ。

ああスカート脱ぎたい。ついでにブラも。

どこぞの秋元が曲にしてないかな。「スカートを脱がさないで」とか「スカートを穿きたくない」とかのタイトルで、かわいい高校生ぐらいの女の子に歌わせて踊らせて選挙とかやってないかな。歌詞は「スカート脱いでもズボンは穿かないで」とか……。

スカート脱いで背広でも着ようかな。ついでに女やめようかな。めんどうだし。セクハラあるし。血液ドバドバ出てくるし。くしゃみとかでチビっちゃうし。クズ男甘えかしちゃうし。クズ男に騙されちゃうし。
トイレしてるところ撮らせてとかクズ男に言われるし。クズ男好きになっちゃうし。クズ男愛しちゃうし。クズ男になってみたいし。女に甘えてみたいし。アレをアレに突っ込んでみたいし。

スカート脱ぎたいし。

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