短編小説 「膝上16センチメートル」
わたしの名前はミヤビ。高校2年生、ロングの黒髪を風になびかせながら、いつものようにスカートを膝上16cmまで上げて高校へ歩いている。このスカートの長さがわたしの正義。
しかし、今年の夏休み明けからは、すべてが変わることになっていた。高校の方針で、我々の愛すべきセーラー服がパンツスタイルの制服に変わるというのだ。クラスメイトたちは、新しい制服にワクワクしているようだったけど、わたしにとっては絶対に受け入れられない変更だった。
「ミヤビ、新しい制服、どう思う?」と友人のサキが聞いてきた。
「わたしはセーラー服が好きだよ。新しい制服なんて要らないんだから」とキッパリと返答した。
新学期が始まる日、クラスメイトたちは新しいパンツスタイルの制服で登校してきた。しかし、わたしは意地でも膝上16cmのセーラー服を着て堂々と登校した。
教室に入ると、みんなの視線がわたしに注がれた。何人かは驚き、何人かはわたしを心配そうに見ていた。でも、わたしは自分の信念を曲げるつもりはないんだから。
先生が教室に入ってきて、わたしを見つけると、「ミヤビさん、なぜ新しい制服を着ていないの?」と問いかけてきた。
「わたしの正義はこのセーラー服とスカートの長さなんです。新しい制服なんて、わたしには合わない。わたしはセーラー服と膝上16cmのスカートが好きなんです」
先生は眉をひそめて、「学校のルールは守るべきです。自分の正義を主張するのはいいことです。ですが、ここは学校、ルールに従ってもらいます」
「嫌です。それに今、この時期に制服を変えることはなかったはずです」
先生は一瞬言葉を失い、他の生徒たちも興味津々でわたしと先生のやりとりを見ていた。先生が再び言葉を紡ぎだす。
「学校の方針ですルールは守ってください。それに、制服は学校からの支給品です。生徒にも保護者にも金銭的な負担はありません」
「見た目と気持ちの問題です。わたしがこの高校に入学したのはセーラー服とスカートがはけるからです」
先生は深くため息をつき、「ミヤビさん、意見は理解できます。だが、ルールはルール。それに、もしセーラー服が認められたとしても、あなたのスカートの丈は問題があります。特別に認められたとして、丈を伸ばす気はありますか?」
「それはちょっと…」とわたしは答えつつも、先生の厳しい目を感じ、一瞬迷った。そして、今日はとりあえずお咎めなしで終わった。しかし、この議論はまだ終わらないんだから。
翌日も、わたしはセーラー服で膝上16cmで学校に登校した。しかし、この日は事態は少しずつ複雑になっていった。校門に校長先生が立っていて、わたしを待ちかねていた。
「ミヤビさん、あなたは新しい制服の取り決めを守るべきだ。なぜ守らないの?」
わたしは堂々と答えた。「新しい制服は確かに学校の方針ですが、わたしの正義はセーラー服とスカートの丈の長さです。絶対に譲れないものがあるんです」
校長先生は少し困ったようにしていたが、「明日からは新しい制服で来るように」とだけ言って、校門を通してくれた。
学校中の話題は、わたしの制服問題で持ちきり。一部の生徒たちはわたしを支持し、「ミヤビの絶対正義」となるムーブメントが起き始めていた。何人かの女子生徒が、わたしのスタイルを真似てセーラー服で膝上16cmで登校し始めたのだ。
一方、教師陣はこの問題をどう解決すべきか、頭を悩ませていた。そして、学校はある提案を生徒たちに持ちかけてきた。
「ミヤビさんと支持者たちと、新しい制服と旧来のセーラー服、どちらが学校の正義かを決めるためのディベート大会を開催しましょう」
そして、ディベート大会の日、体育館は大勢の女子生徒たちで埋め尽くされていた。わたしはセーラー服派の代表として、自分の信念を伝えるために立った。
対立する新制服派の代表の校長は、スマートな言葉を使って新しい制服の痴漢の誘発性などの合理性や機能性を訴えた。しかし、わたしは心の中で固く決意していた。わたしの正義、それは、セーラー服と膝上16cmのスカート。
「みんな、服装はただの布切れ。でも、その中には私たちの思いや価値観が詰まっている。わたしの正義はセーラー服と、この膝上16cmのスカート。これがわたしの絶対正義」
ディベートが終わった後、生徒たちはどちらの意見にも共感している様子だった。そして、最終的に学校は一つの結論に達した。
「制服は基本として新しいものを導入しますが、希望者は旧来のセーラー服も選択できるようにします。ただし、過度な丈の短さは認めません」
わたしの抵抗は、学校の新しい方針を少し変えることができた。わたしは自分の正義を貫くことの大切さを、改めて感じたのだった。
それと、わたしも少し学校側に譲歩した。
その結果、明日からは膝上15cmで登校することにした。膝上16cmではなくなったけど、セーラー服とスカートは守ることができた。
膝上15cm、それが、わたしの新しい絶対正義。
時間を割いてくれて、ありがとうございました。
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