孔子の為政 それもまた政治
ある人が孔子に「先生は、どうして政治に関わらないのですか?」と聞いた。孔子は言った。「『書』に『孝よ、ああ孝よ、兄弟も仲良し』とある。(家庭が円満なことは)政治に影響するのだから、それもまた政治だ。どうして(無理に)政治をしようとするのか」
『論語』為政篇にあるこの孔子の言葉は、表舞台で活躍出来なかったことの負け惜しみだろうか。いや、たとえ孔子が地位を得たとしても、救えるのは一国の一代に過ぎない。しかし、人の心から世を乱す原因を取り除けば、その恩恵は国境も時代も超越する。失敗が孔子を哲学に導き、結果より根本を重んじさせたのではないか。