
【詩】生きたページの音が好き
誰にも言わないようにと約束した
小指と小指を隠し込むように
厚めの表紙はしっかり閉ざされている
今に繋がるそれまでを
必死に生きたあの子と真正面からの再会
開くページは懐かしい匂いがして
丁度良く燻されてたり、
埃が混じっていたり、
心地良くて、ワクワクして、緊張する
それは新しい教科書よりも
古い絵本を開いたときの感覚
私が叫ぶ、私が語る、私が生きる
恥ずかしさと共に急いで駆け抜けるページも
それを超えて指差して笑ってしまうページも
すべてすべてが愛おしい
あなたのそばに、
今の私がいれたら
どれほど心強かっただろう。
少し先を生きた私も
そう思ってくれていると信じて
いつだって最も近くて最も遠い
彼女に寄り添い
今日も描く
今を生きるページを
また一枚、また一枚
めくる音は美しい