中医学で考える、心身の不調の原因について
今回から少しずつですが、【病因】についての話を書いていこうと思います。
身体のバランスが崩れると、いろいろな疾病が発生しますが、その原因を「病因」と呼びます。身体という言葉の中には、もちろんメンタルも含まれていますよ。
心と体を分けて考えないのが、中医学でしたね。
中医学は、マクロの視点で本当に細かい体内のバランスを診ている医学です。そして、そのマクロの視点は体内のバランスだけではなく、病因に対しても同じように注がれているため、中医学での病因の範囲はとても広く、様々な影響を病因として考えています。
「不定愁訴」と呼ばれる原因不明の不調も、中医学の視点では疾病であり、中医学の理論を基に病因を判断することが出来ます。病因を判断出来るからこそ、改善に向けてのステップを進めていくことが出来る、と言うわけです。
また、一つの不調によって発生した状態が、その後に違う病気を引き起こす原因となったりすることもあります。そのようなことを防ぐ「未病先防(みびょうせんぼう)」というのも中医学の得意分野ですよ。
中医学での「病因」の分類
中医学での病因は、大きく「外因・内因・不内外因」という3つに分けられます。
外因(がいいん)
・・・体の外側から邪気が侵入したもの、外感とも呼びます。
内因(ないいん)
・・・精神的に傷ついたもの、内傷とも呼びます。
不内外因(ふないがいいん)
・・・飲食や過労、外傷、体内で産生された病理産物など、内傷に含まれます。
メンタルの不調の「病因」
3つの大きな病因の分類の中で、メンタルの不調は何によって起こると思いますか?「悲しいことがあった」「イライラすることがあった」など、精神的に傷ついた状態である「内傷」がメンタルの不調の原因になっている、と思われている方が大多数です。
しかし、実際は「外因」や「不内外因」によって不調が発生し、それがメンタルへも波及しているということは本当によくあります。逆に、精神的に傷ついた状態「内傷」がメンタルから肉体的な不調を引き起こしているということも、もちろんあります。
まとめ
今回はとてもざっくりと、中医学の「病因」についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?わたしたちの心と体は、いつでも双方向に影響しあっています。心を整える時にも、体を整える時にも、どちら側からもサポートをしてあげるのが良いなぁと感じているこの頃です。
同じ疾病を抱えていたとしても、病因が人それぞれ違っているということは中医学ではよくある話です。その人の病因、そしてその人の今の状態を把握した上で、食事や養生などをお伝えしています。わたしを含め、漢方の先生方が安易に「これがいいよ」とおすすめしないのはそのためです。ご自身の状態にあった養生や漢方薬を知りたい!という方は、専門家の先生に相談しましょう◎
次回は「外因」について、少し詳しく書いていこうと思います。