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【エッセイ】抜けが悪い写真が好きです。


好みや流行は日々変わるものだ。

個人的に感じたことだけど、最近抜けの悪い写真が流行ってるかな?

実際インスタなんかをパーっと見るとフィルム調のエッセンスが散りばめられたポートレートがよく見受けられるし。

そもそも「抜け」とはなんなのかって改めて調べてみると、くっきりした写真であるかということを意味するところらしい。

抜け感ないって言いはするけどすごく曖昧な言葉だなって思う。僕は「ぼやっとしてる」とか「色味が薄い」ってニュアンスで使ってた。

実際のところ「抜け」を構成する要素を分析すると「解像度」「シャープさ」そして「コントラスト」辺りだろうか。

最後のコントラストが特に「抜け感」を表現するにおいて重要なファクターだと思う。

余談だが、僕は数年前からずっとハイコントラストバキバキシャープ色味濃い写真が最高主義という厄介な宗教を信仰していた為、過去の写真を見ていても「んん……?」という暗雲のような思いが心中を漂う。


この辺りはいかにもバキバキ主義で、くっきり写ってるのが良い写真という思想に毒されていた。これはこれで良いんだけどね。

ポートレートにおいてもそれは如実で、ライティングはエッジ意識かつ陰影を強く意識しすぎていたと思う。

そんな中でも気に入った写真はいわゆる「抜け感の悪い写真」というか「きちんと撮れていないような写真」だった。

けれど、どうすればそういう写真が撮れるのかがずっとわからなくていろいろ試行錯誤した。

グリーンやセピアを出してみたり、前ボケや逆光を使ってみたり……果てはオールドレンズを使うしかないのかとか富士フイルムのXシリーズにあるフィルムシミュレーションしかないのかと考えて買う一歩手前。

ところが今日、「フラットな写真を撮って後で加工してみよう」という気分になった。

これも余談だが、先日仕事で撮っていた写真を先輩が見て「違和感がある」と指摘してくれた。

その日の僕はちょうどアシスタントに近いサブのカメラマンだったので「自分が普段、仕事外で撮っている感じで撮ってみよう」といろいろ試していたのだ。

だからこそ一度見直す為に立ち返って一番フラットな状態で撮ってみようと今日思い至れたわけだ。

ホワイトバランスはオート。ピクチャースタイルも初期値。カラーも弄らず露出のみ適正で。

まあこんな感じか。
最近ローソンとコラボしたヨルシカのカプチーノ。ヨルシカ好きすぎて。

しかしこの写真、何か近い。反逆光で撮ってるからふんわり感は出てるけどちょっと暗いかな……。

そう思ってガッツリ編集しようとした時にふと見当たったのが「コントラスト」の項目。

いつもは上げるものだけど、なんとなく下げてみたら

これやん!!!!!

となった。

写真を知らない人には加工前も加工後もほとんど同じように見えるのかもしれない。

ただ、僕にとっては眼から鱗が落ちたようだった。彩度を自然に保ちつつ明るすぎず、どこか曖昧な空気。

ずっと自分が四苦八苦して表現したかった空気がこんなにも簡単に出せるなんて……。

しかもそれは僕が「抜けが悪い」の「悪い」を額面通りに受け取って敬遠してたことが原因だったのだ。過去の自分を殴りたい。そしてありがとうヨルシカ、、


〜今回のまとめ(教訓)〜

たまには一度フラットな状態で物事を見てみる。発見ってそういう時に起こるべくして起こるものだと思う。写真に限らず。


今回の記事はここまで。ほなまた。

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