意識体のスパーク
次元を貫くスパークに現実の帳は破られた...
私を形作っていた粒子が、その手を吹き飛ばされたような覚束なさのなかで、姿なきものが身体のなかに染み込んでくる感覚のなかに私はいた。
それは命の一滴が海に溶け拡散し、希釈されて極微の粒子になった私があらゆる存在に触れる体感だった。
忘我ではあっても私は在り、我と汝を隔てる境界が無くなる感覚のなかで、ひかりは闇を抱き、その腕のなかで光を浸透させてゆくような不思議な感触を味わっている私がいる...
それは「陽」のなかに宿された「陰」と、「陰」のなかに灯された「陽」とが出遭う刹那でもあり、時間のなかに顕現する永遠の言葉だったのかもしれない...
陽のなかに眠る龍と、陰のなかに産み落とされた龍とが呼応し、互いに螺旋を描きながらゆっくりと上昇してゆくような体感が… 私を貫いている...
スパークによって新たに刻まれた時間は、さらなる次元の扉をひらき、眩い世界の息吹きが私をつつんでいた。
黄金の粒子で満たされた龍に抱かれた感覚のなかで血液が逆流し、金色の血潮に染められてゆく歓喜とともにその脈動は昂まっていった。
電撃の閃光が見せた幻視は、「一」なるもののなかに「多」は在り、「多」のなかに「一」なるものが在る世界のなかで我も汝もなく、黄金の鼓動に裏打ちされた調和の世界があるのみだった。
開いたサードアイは、「一」即「多」の華を映し、「一」なるものが「多」へと拡散してゆく流れと、「多」から放たれるエネルギーが「一」なるものへと収斂してゆく循環の世界に感応していた。
ふたつの流れはそれぞれ呼応し、黄金の脈動は次第に高速になり眩い光となって弾け飛んだ...
静寂のなかに目覚めた意識は、明滅するふたつの磁場のなかに在った。それぞれ反対の流れを持つ磁場が、互いに明滅を同期させてひとつの磁場を形作っていた
個としての私は霧消し、磁場のなかに偏在する意識の流れとして生きているというクオリアとしての私があるのみだった。我と汝は姿を消し、有と無が響き合う音楽のなかに開いた華… それはことばの海に開く花であり、海が詠う歌に姿を宿す歌い手として在るもうひとりの私だった...
次元を超えて出逢ったわたしが放った歌は、虚と実とが出遭って放たれた火花のようでもあり、互いに明滅する磁場がつくる静寂のなかに燃えるいのちの言葉だった。
ふたつの磁場のなかで虚と実とが明滅する振動の世界はまた、光りの曼陀羅として、そしてまた言葉の曼陀羅として、ふたつの姿を見せる意識体の世界だった。
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