【子ども】美しい形①オンラインで伝わるもの、伝わらないもの
オンライン開催への舵を切ったはいいが、わからないことだらけ。そもそも、「熱」を大切にしてきた神戸シュタイナーハウスなのに、パソコン画面だけで伝わるのか?という、根本的な問題も。それでも思い切って始めてみたところ、課題は山積みだった・・・。
野菜なら家にあるかな
植物について、最後のまとめはオンラインですることになった。五芒星や六芒星にこだわりたいが、バラやチューリップの花なんて普通の家には無いだろう。
道の駅の生花コーナーを一通り見て、どこの家にも当たり前にある植物なんて無いと諦め、野菜コーナーへ移動したところ・・・あるある!どこの家にもある植物。小松菜にホウレンソウ、大根に人参、どれも美しい五芒星を見せてくれる植物たちだ。
(↑ 小松菜の切り口。インクをつけてスタンプにしたら、バラの絵ができる。)
よし、野菜を使おう。そう心に決めて野菜コーナーを見ていると、五芒星の多いこと。中でもゴボウが感動的で、真ん中の茎がはっきりとした☆の形だった(写真が無くて本当に残念)。この発見は、ぜひ子どもたちに伝えたい。パソコンの前で、ユーチューバーを真似て”ピントが合う映し方”を練習しながら、ワクワクが止まらなかった。
急に進む方向を変えると
さて、オンラインで開催するとなれば、保護者の方はもちろん、ご家族の協力も不可欠。機器も環境も整えてもらおうと思ったら、大変な労力だ。おまけに、シュタイナー界隈では、子どもにIT機器を使わせることには賛否がある。神戸シュタイナーハウスは学校ではないので、不参加の道を選んだとしても学びの場は他にいくらでもある。さらに、小学校卒業・中学校入学の時期も重なった。
そんな諸々の理由から、残念ながら、オンラインに舵を切ったと同時に参加する子が減ってしまった。急に方向性が変わったのだから、無理もない。では、対面ならそうはならなかったのか?というと、また別の問題が大きく(会場は使えない、県をまたいでの移動は自粛・・・)、こればかりは何が最善だったのか、今でもよくわからない。
一つ言えるのは、いつでも戻ってきて良いからね、ということ。世界中、どこの誰とでも繋がることができるようになった今、心の中に故郷があれば、それで十分なのかもしれない。子どもたちは小学校を卒業したけれど、私はその故郷となる、帰る場所として、もう少し居続けよう。
問題は山積み
そんな前向きな気持ちと残念な気持ちをあわせ持ったまま、オンライン授業はスタート。始まりの笛を吹いて、歌を歌って、なんとかかんとか進めてみたが、いろんな問題が浮上してきた。
一つ目は、音が途切れる問題。これは、設定を変えることでクリアできた。私たちが使用しているzoomは、元々は会議用に開発されたプログラムなので、歌や楽器の音は拾わないよう設定されているらしい。そのほかにも、マイクを揃え、部屋を変え、パソコン周りのことに興味のなかった私だけれど、できることは何でも調べたり人に聞いたりして、試してみることにした。
もう一つは、絵が見えにくい問題。パソコン用の小さなスタンド照明を追加したものの、黒板には光が届かない。また、私の背景になってしまっていることも影響しているのかいないのか、とにかく、ぼんやりして見えるらしい。
「バラの花を描くときは・・・」
とチョークを動かすと、子どもたちの頭の上に???が浮かぶ。そうか。こちらの問題もあるけれど、彼らの見ている画像がどの程度の画質なのか。パソコンなのか、スマホなのか。スマホだとしたらチョークの細かい動きなんか見えるわけがないし、通信環境によっては、動きが途切れてさっぱりわからないだろう。
これには頭を抱えた。黒板の写真を撮り、それを「共有」という形で表示させることで、画質の問題は少しはクリアできたものの、リアルタイムでチョークの動きを見てもらうことは難しかった。
(↑ 絵の周りにフォルメンを描いてみると、これは見えるようだった。コントラストがはっきりしたものが良いらしい。)
こうなったら、もう、微妙なグラデーションや、これまで取り組んできた”全体を色づけたときに浮かび上がる形を写し取る”ような書き方は諦めるしかない。黒板の黒と、チョークの白がはっきりと見分けられる絵、つまり、フォルメン線描がオンライン授業に適している、という結論に至ったのだった。
やっと解決したと思ったら
そうして、「五芒星のフォルメンを描き、野菜のデザインを描きこんで仕上げる」という一つのプログラムを見つけ、なんとかオンラインでも、子どもたちと一緒に絵を描く道が拓けた。
しかし、最後まで気付かなかった問題が一つ。カメラの角度が、垂直ではなかったということだ。
後日、対面になってから、子どもたちのスケッチブックを見せてもらったところ、五芒星の角度が、真正面から見た形ではない。下の2つの角の間が広すぎて、上の角が小さすぎる。斜め下から見上げたような形をしているのだ。描いた本人も、私の黒板画を見て首をかしげている。これは、パソコンのカメラが少し傾いていたために、黒板を見上げるような角度で撮影していて、それを見ながら描いたために微妙に角度をつけてしまった・・・ということなのだろう。
今度こそ
来年度はオンライン開催。カメラの角度については、気づくのが遅かったために解決策を講じることができなかったけれど、今ならもう少しうまくやれると思う。名誉挽回のチャンス到来だ。
来年度について、詳しくはこちら。
―――――――――――
えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。
小学校教員を経て、現在は放課後等デイサービスで障害児支援にあたりつつ、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。
―――――――――――