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【子ども】社会の課題を解決する?私たちにお任せあれ!(中学生のハローワーク2021年5月)

初のゲストを迎えた5月。「プロのナンデモ企画屋さん」とはこの日が初対面。なんだかよく知らない人が画面に写っていると、なんとなくよそよそしい子どもたち。だって、このときはまだ知らなかったから。中学生でもプロの仕事ができるってことを。


企画って何?

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まずは、企画屋さんから、アイスブレークと自己紹介も交えつつ「企画とは」のお話。自己紹介を聞いてなんかすごい人そう・・・と思ったら、珍しい楽器が登場し、何それ~!って和んだ。楽器の正体は口琴。びよんびよよ~んという音が、真面目そうな姿の企画屋さんとのギャップを奏でる。子どもたちはクスクス笑ったり、目を丸くしてお母さんと顔を見合せたり。

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(↑口琴 初見では、鳴らし方はわからない!)

そうして、企画屋さんの話に引き込まれ、なるほど・・・と聞いていると、あっという間に話はおしまい。画面には、「子どもクラスの皆さんは、企画を考えてください」の文字。それぞれが考えてきた宿題から、子どもクラスの企画として1つに絞りこむ時間になったのだ。
「『なるほどな~』と思って聞いていたら、「企画とは」の3つが何だったか忘れちゃった!」
と言う私に、
「たぶん、これで合ってると思う~」
と中学3年生。下を向いて何か書いているから、話を聞かずにテスト勉強しているのかと思っていたら、ちゃんとメモを取っていたのだった。

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疑ってごめんなさい。そして、いつも頼りになるなあ。


企画を考えよう

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子どもたちが宿題で考えてきた企画を、それぞれ発表してもらう。コロナ禍で会えないおばあちゃんを喜ばせる、お母さんにスマホを買ってもらう、youtubeでゲーム配信してみる・・・どれもその子らしい企画だった。「好きなこと・得意なことを企画に」って、さっき教わったところだけれど、教わる前からできていた!こういう展開は、自信に直結する。私たち、才能あるかも!?って。

その中でも、「これが気になる」という話になったのは、プログラミング体験といろんな画材で絵を描く企画だった。それならば、いっそ、くっつけてみようか?と提案すると、「あ、じゃあ~」と話が膨らんでいく。

最終的に決まったのは、「みんなで一つのデジタル紙芝居を作る」というもの。いろんな画材を部屋中に並べてどれでも使える環境をつくり(もちろんパソコンも含む)、できた絵にアテレコして一つの動画にするらしい。これなら、youtubeで配信もできるし、おばあちゃんにプレゼントすることもできる。今思えば、編集に必要だから!って説得すれば、お母さんはスマホを買ってくれるかもしれないな。時間に追われて、無理矢理進めた感じもあったけれど、とりあえず、5人の意見を一つにまとめて企画案を作った・・・ことになるかな!?


緊急企画会議!私たちの企画、どう?

プロのナンデモ企画屋さんに、子どもクラスで考えた企画を発表し、アドバイスをいただく。発表担当になった中学3年生は、あれ?いつ練習した?と尋ねたくなるくらい、流暢に話していた。

そして開かれた、緊急企画会議。

「この企画が実現するとどんないいことがある?」
「仲良くなれる」
「仲良くなるって、いいことなの?」

企画屋さんったら、大人でも答えにくい問いを!答えに詰まったら、助け船を出さなくっちゃ!と思って私が構えていると、
「え、逆に、仲悪いのって嫌じゃないですか」
と中学3年生が即答している。確かに、「仲が悪い方がいい」なんて言う人には出会ったことがない。ああいえばこういう、みたいな答え方も中学生らしくて、めちゃくちゃいい。おもしろい。

そんな感じのやり取りをしてできたのが、

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中学生は人とのつながりを求めている。何かに長時間没頭するような経験も足りない。だから、私たちはこの企画を打ち出す。中学生が世界中のいろんな人と出会い、一つの作品を作る事を通して達成感を得られるように!
***

というもの。「こういうことが言えると、賛同した大人が出資してくれるかもしれない」と聞いて、子どもたちはニヤリとする。

そうやって、たっぷりの自信をつけさせてもらってから、企画とはどういうものなのか、さらに学びを深めていった。

満足そうな表情を見せる子、下を向いて反応がわからない子、子どもたちの反応はいろいろ。子どもだけで話し合ったときに「コロナ禍で人に会いづらい」と投げかけてくれた中学2年生は、ずーっと下を向いたまま。こういうとき、オンラインの難しさが前面に出てくるなあ。先に出た課題の通り、私は彼らとの繋がりに飢えている。


プロって?

最後の締めくくりは「プロってなんだろう?」の問いだった。

手を抜いてその場しのぎの仕事をする大人・・・中学生って特にそういうのに敏感で、嫌悪感をあらわにする。その対極にいれば、尊敬の眼差しで見てくれる。
そんな時期の子どもたちの心に、プロの仕事を見せてくださった企画屋さんの言葉はどう響いただろうか。子どもたちは、この問いにどんな答えを持っただろうか。

大人クラスが「私たちは宿題だらけ~!頑張らなくっちゃ!」と言う姿を見て、おまけに「子どもクラスはお褒めの言葉をいただきました」と報告され、子どもたちはなんだか嬉しそうだった。これは、私たちが隠さずに見せておきたい姿でもある。大人は理想に向かって、自分で自分を育てているんだよ。大変だとしても、私たちは崇高なものを追い求めていくよ。

学校みたいに事後感想文を書く時間は設定せず、子どもたちそれぞれの余韻に任せておしまい。
「私たち、大人よりすごいやん!」
「中学生だって、プロの仕事ができるんだ」
そんな気持ちにさせてもらった2時間だったんじゃないかな、と子どもたちを見ていた私は思う。感想文は書かないけれど、どんな感想を持ったのかは尋ねてみよう。大人も含めて、感想の紹介はまた別の記事で。


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えりか先生。神戸シュタイナーハウスでは、子どもクラスを担当。
小学校教員を経て、現在は放課後等デイサービスで障害児支援にあたりつつ、神戸・京都において日曜クラスの先生としても活躍中。
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