Real and Complex Analysis セミナー(1)

Real and Complex Analysis セミナー(1)


Rudin"Real and Complex Analysis"をセミナーで読んでいくことになったので,発表の準備メモをセミナー前or後にアップしていく(いきたい).


expの性質

1.前回まで

指数関数を級数(マクローリン展開)の形で定義した.任意の複素数$${z}$$に対して,

$$
\displaystyle \exp(z)=\sum_{n=0}^\infty\frac{z^n}{n!}  \cdots(1)
$$

と定義する.級数$${(1)}$$は任意の複素数$${z}$$に対して絶対収束することから,加法定理

$$
\exp(a)\exp(b)=\exp(a+b)\quad(a,b\in\mathbb{C})
$$

が成り立つ.とくに,$${z\in\mathbb{C}}$$に対し,

$$
\exp(z)\exp(-z)=\exp(z-z)=\exp(0)=1
$$

が成り立つことに注意しておく.
以下$${\exp(z)}$$を$${e^z}$$と記す.


前回までに以下の3つを証明した.

$${(a)\forall z\in\mathbb{C},e^z\neq 0}$$
$${(b)(e^z)'=e^z}$$($${\exp}$$は自身を導関数にもつ)
$${(c)\exp}$$を実軸に制限した写像は単調増加で正の値をとる関数であり,
$${e^x\rightarrow\infty  (x\rightarrow\infty),\quad e^x\rightarrow 0   (x\rightarrow -\infty)}$$

$${(a)}$$は背理法による.
$${(b)}$$は導関数の定義および級数$${(1)}$$の変形により導出できる.
$${(c)}$$について,任意の実数$${x}$$で$${e^x>0}$$である($${x>0}$$のときは級数$${(1)}$$の形から明らか,$${x<0}$$のとき$${-x>0}$$であるから$${e^{-x}>0}$$であり,$${e^x\cdot e^{-x}=1}$$より$${e^x>0}$$.$${x=0}$$のとき$${e^0=1>0}$$)から正の値をとる関数であり,これと$${(b)}$$から単調増加がいえる.発散について,$${x>0}$$で$${\displaystyle e^x=1+x+\frac{x^2}{2!}+\cdots>x}$$より,$${M>0}$$に対して$${N=M}$$とおくと,$${x>N}$$のとき単調増加より$${e^x>e^N=e^M>M}$$となり$${e^x\rightarrow\infty  (x\rightarrow\infty)}$$.$${x\rightarrow-\infty}$$のとき$${-x\rightarrow\infty}$$より$${e^{-x}\rightarrow\infty}$$.$${\displaystyle e^x=\frac{1}{e^{-x}}}$$から$${e^x\rightarrow0}$$となる.

今回は残りの命題について証明していく.

2.(d)

$${(d)}$$ある正の数$${\pi}$$が存在して,$${e^{\frac{\pi i}{2}}=i}$$が成り立つ.
また,複素数$${z}$$について,$${\displaystyle e^z=1\Leftrightarrow\frac{z}{2\pi i}}$$が整数.

証明 まず,実数$${t}$$に対して,写像$${t\mapsto e^{it}}$$は実軸から単位円周にうつる写像であることを示す(本当はこの写像は全射であるが,ここではあくまで写像であることを示す.)
任意の実数$${t}$$に対して,$${(1)}$$より,$${e^{-it}}$$は$${e^{it}}$$の複素共役である,すなわち$${\displaystyle \overline{\sum_{n=0}^\infty \frac{(it)^n}{n!}}=\sum_{n=0}^\infty \frac{(-it)^n}{n!}}$$となる.

((ここで,$${\displaystyle\sum_{n=0}^\infty\frac{(-it)^n}{n!}=\sum_{n=0}^\infty\overline{\frac{(it)^n}{n!}}}$$とかける.複素共役における命題:$${z,w\in\mathbb{C}}$$に対し,$${\overline{z+w}=\overline{z}+\overline{w}}$$ からいえることは,あくまで$${n}$$個の複素数の和の共役をとったものが,$${n}$$個の複素共役の和で表されること,すなわち,$${\overline{z+w}=\overline{z}+\overline{w}}$$の「$${n}$$個バージョン」までなので,この極限をとったものについては新たに別の命題が必要となる.

命題1.複素数列$${(z_n)_{n\in\mathbb{N}}}$$が$${\alpha\in\mathbb{C}}$$に収束するとき,$${\displaystyle\overline{\lim_{n\rightarrow\infty} z_n}=\lim_{n\rightarrow \infty}\overline{z_n}=\overline{\alpha}}$$が成り立つ.

証明 $${z_n=x_n+iy_n  (x_n,y_n\in\mathbb{R(n=1,2,\cdots)})}$$とおく.$${(z_n)_{n\in\mathbb{N}}}$$が$${\alpha=x+iy  (x,y\in\mathbb{R})}$$に収束するとき,$${x_n\rightarrow x  (n\rightarrow \infty)}$$,$${y_n\rightarrow y  (n\rightarrow\infty)}$$である.
このとき,$${\overline{z_n}=x_n-iy_n}$$より,$${x_n\rightarrow x  (n\rightarrow \infty),  -y_n\rightarrow -y  (n\rightarrow\infty)}$$であるので,$${\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}\overline{z_n}=x-iy=\overline{\alpha}}$$となる.$${\blacksquare}$$

命題2.級数$${\displaystyle \sum_{n=0}^\infty z_n}$$が収束するとき,$${\displaystyle \overline{\sum_{n=0}^\infty z_n}=\sum_{n=0}^\infty \overline{z_n}}$$が成り立つ.

証明 $${\displaystyle s_m=\sum_{n=0}^m z_n}$$とおくと,$${\displaystyle\lim_{m\rightarrow \infty}s_m=\sum_{n=0}^\infty z_n}$$より$${\displaystyle\overline{\lim_{n\rightarrow\infty} s_m}=\overline{\sum_{n=0}^\infty z_n}}$$
また,$${\displaystyle\overline{s_m}=\overline{\sum_{n=0}^m z_n}=\sum_{n=0}^m\overline{z_n}}$$より$${\displaystyle\lim_{m\rightarrow \infty }\overline{s_m}=\sum_{n=0}^\infty \overline{z_n}}$$となる.
$${\therefore}$$命題1より,$${\displaystyle \overline{\sum_{n=0}^\infty z_n}=\sum_{n=0}^\infty \overline{z_n}}$$が成り立つ.$${\blacksquare}$$

以上より,
$${\displaystyle \overline{e^{it}}=\overline{\sum_{n=0}^\infty \frac{(it)^n}{n!}}=\sum_{n=0}^\infty \overline{\left(\frac{(it)^n}{n!}\right)}=\sum_{n=0}^\infty\frac{(-it)^n}{n!}=e^{-it}}$$となる.))

したがって,$${\left|e^{it}\right|^2=e^{it}\overline{e^{it}}=e^{it}\cdot e^{-it}=e^{it-it}=e^0=1}$$
$${\displaystyle \left|e^{it}\right|\geq 0}$$より,$${\displaystyle \left|e^{it}\right|=1  \cdots (2)}$$
よって,実数$${t}$$に対して,$${e^{it}}$$は単位円周へうつる.

次に,$${e^{it}}$$の実部・虚部として$${\cos{t},  \sin{t}}$$を定義する:

$$
\cos{t}=\mathrm{Re}[e^{it}],  \sin{t}=\mathrm{Im}[e^{it}]
$$

このことから,オイラーの等式

$$
e^{it}=\cos{t}+i\sin{t}  \cdots(3)
$$

が成り立つ.
後で使うため,$${\cos,  \sin}$$の微分を定義しておく.
$${\displaystyle\cos{t}=\mathrm{Re}[e^{it}]=\frac{e^{it}+\overline{e^{it}}}{2}=\frac{e^{it}+e^{-it}}{2}}$$,
$${\displaystyle \sin{t}=\mathrm{Im}[e^{it}]=\frac{e^{it}-\overline{e^{it}}}{2i}=\frac{e^{it}-e^{-it}}{2i}\left(=-i\cdot\frac{e^{it}-e^{-it}}{2}\right)}$$より,
$${\displaystyle (\cos{t})'=\frac{ie^{it}-ie^{-it}}{2}=i\cdot\frac{e^{it}-e^{-it}}{2}=-\sin{t}}$$,
$${\displaystyle (\sin{t})'=\frac{ie^{it}+ie^{-it}}{2i}=\frac{e^{it}+e^{-it}}{2}=\cos{t}}$$
となる.

いよいよ$${\pi}$$の存在を示していく.

$$
\begin{align}
\notag e^{it}&=\sum_{n=0}^\infty\frac{(it)^n}{n!}\\
\notag&=1+(it)+\frac{(it)^2}{2!}+\frac{(it)^3}{3!}+\frac{(it)^4}{4!}+\cdots\\
\notag&=1+(it)-\frac{t^2}{2!}-\frac{it^3}{3!}+\frac{t^4}{4!}+\cdots
\end{align}
$$

より,$${\displaystyle\cos{t}=\mathrm{Re}[e^{it}]=1-\frac{t^2}{2!}+\frac{t^4}{4!}-\cdots\quad\cdots(4)}$$となる.
以下$${t=2}$$のときを考える.級数$${(4)}$$の項は,最初の項を除いて絶対値がしだいに小さくなり,その符号は交互に変わる.
実際,絶対値が次第に小さくなることについて,$${\displaystyle a_n=\frac{2^{2n}}{(2n)!}}$$で定められる$${(a_n)_{n\geq1}}$$は単調に減少する.
$${\displaystyle \left(a_n-a_{n+1}=\frac{2^{2n}}{(2n)!}-\frac{2^{2n+2}}{(2n+2)!}=\frac{\left((2n+2)(2n+1)-4\right)\cdot 2^{2n}}{(2n+2)!}>0\right)}$$
したがって,

$$
\begin{align}
\notag \cos{2}&=1-\frac{2^2}{2!}+\frac{2^4}{4!}+\sum_{n=3}^\infty\frac{(-1)^n2^{2n}}{(2n)!}\\
\notag &=-\frac{1}{3}-\sum_{n=3}^\infty(a_n-a_{n+1})\\
\notag &<-\frac{1}{3}
\end{align}
$$

$${\cos}$$は任意の$${t}$$で微分可能であったからとくに連続であり,これと$${\cos{0}=1}$$(級数$${(4)}$$からわかる)より,$${\cos{t}=0}$$なる$${t\in[0,2]}$$が存在する.
ここで,$${A=\{t\in[0,2]|\cos{t}=0\}}$$とすると,$${A}$$は$${\mathbb{R}}$$の有界閉集合である.実際,
(有界)$${A\subset[0,2]}$$より,$${A}$$は有界.
(閉集合)$${f:[0,2]\ni t\mapsto \cos{t}\in \mathbb{R}}$$と定める.このとき,
$${A=\{t\in[0,2]|f(t)=0\}=f^{-1}\left(\{0\}\right)}$$である.
$${\{0\}}$$は閉集合であるから,連続写像の定義より,その逆像$${f^{-1}\left(\{0\}\right)}$$も閉集合である.
$${\therefore A}$$は有界閉集合であるから,$${t_0=\min{A}}$$が存在する.$${t_0}$$は,$${\cos{t}=0}$$をみたす$${t\in[0,2]}$$の中で最小のものである.
もちろん$${\cos{t_0}=0}$$である.$${(2)}$$および$${(3)}$$より,

$$
\left|e^{it_0}\right|=\left|\cos{t_0}+i\sin{t_0}\right|=\left|\sin{t_0}\right|=1
$$

であるので$${\sin{t_0}=\pm1}$$となる.
$${\cos}$$は任意の$${t}$$で連続,$${\cos{0}=1}$$,および$${t_0}$$は$${t\in[0,2]}$$ではじめて$${\cos{t}=0}$$をみたす$${t}$$であったから,$${(0,t_0)}$$で$${\cos{t}>0}$$である.
ここで,$${(\sin{t})'=\cos{t}}$$より,$${(0,t_0)}$$で$${\sin{t}}$$は単調に増加し,$${\sin{0}=0}$$より,$${\sin{t_0}>0}$$である.ゆえに$${\sin{t_0}=1}$$である.
$${\pi=2t_0}$$と定義すると,

$$
e^{\frac{\pi i}{2}}=e^{it_0}=\cos{t_0}+i\sin{t_0}=i
$$

となる.


次に,複素数$${z}$$に対して,$${\displaystyle e^z=1\Leftrightarrow \frac{z}{2\pi i}}$$が整数.を示す.

$${(\Leftarrow)e^{\frac{\pi i}{2}}=i}$$より,$${e^{\pi i}=e^{\frac{\pi i}{2}+\frac{\pi i}{2}}=e^{\frac{\pi i}{2}}\cdot e^{\frac{\pi i}{2}}=i^2=-1,}$$
$${e^{2\pi i}=e^{\pi i+\pi i}=e^{\pi i}\cdot e^{\pi i}=(-1)^2=1  \cdots (5)}$$となる.
ゆえに,すべての整数$${n}$$に対して,

$$
e^{2\pi i n}=1^n=1
$$

となる.このことから,$${\displaystyle \frac{z}{2\pi i}}$$が整数のとき,$${\displaystyle \frac{z}{2\pi i}=n}$$とおいて,$${e^{z}=e^{2\pi i n}=1}$$となる.

$${(\Rightarrow)z=x+iy  (x,y\in \mathbb{R})}$$とおくと,$${e^z=e^x\cdot e^{iy}}$$であり,
$${|e^z|=|e^x||e^{iy}|=|e^x|=e^x}$$となる.(2つ目の等号は$${|e^{iy}|=1  (y\in\mathbb{R})}$$により,3つ目の等号は$${e^x>0  (x\in\mathbb{R})}$$による.)
$${e^z=1}$$のとき,$${|e^z|=1}$$より$${e^x=1}$$となるので,$${x\in\mathbb{R}}$$により$${x=0}$$である.このとき,$${\displaystyle \frac{z}{2\pi i}=\frac{iy}{2\pi i}=\frac{y}{2\pi}}$$が整数になることを示す.
任意の実数$${y}$$に対して,整数$${n}$$が存在して,$${\displaystyle n\leq \frac{y}{2\pi}< n+1}$$  となる.
$${t=y-2\pi n}$$とおくと,$${0\leq  t<2\pi}$$である.$${e^z=1}$$のとき,$${t=0}$$を示したいので,$${0<t<2\pi}$$のとき,$${e^z=e^{iy}=e^{it-2\pi in}=e^{it}\cdot e^{-2\pi in}=e^{it}\neq 1}$$となることを示す.
$${0 < t < 2\pi}$$として,$${e^{\frac{it}{4}}=u+iv  (u,v\in \mathbb{R})}$$とおくと,$${\displaystyle 0<\frac{t}{4}<\frac{\pi}{2}=t_0}$$より,$${\displaystyle \cos{\frac{t}{4}}=u > 0}$$,同様に,$${\displaystyle \sin{\frac{t}{4}}=v > 0}$$である.また,$${\displaystyle \left|e^{\frac{it}{4}}\right|=1}$$より,$${u^2+v^2=1}$$となる.
このとき,$${e^{it}=u^4-6u^2v^2+v^4+4iuv\left(u^2-v^2\right)}$$となる.
いま,$${e^{it}=1}$$と仮定すると,$${e^{it}}$$は実数より,$${u^2=v^2}$$,かつ$${u^2+v^2=1}$$より,$${\displaystyle u^2=v^2=\frac{1}{2}}$$.
このとき$${\displaystyle e^{it}=\frac{1}{4}-6\cdot\frac{1}{2}\cdot \frac{1}{2}+\frac{1}{4}=-1}$$となり矛盾.ゆえに$${e^{it}\neq 1}$$である.
$${\therefore e^z=1}$$のとき,$${t=0}$$,すなわち$${\displaystyle \frac{y}{2\pi}}$$が整数となる.

以上より,$${(d)}$$は示された.$${\blacksquare}$$


3.(e)

$${(e)\exp}$$は周期$${2\pi i}$$の周期関数である.

証明 $${(d)}$$の証明中$${(5)}$$より,すべての複素数$${z}$$に対して,

$$
e^{z+2\pi i}=e^z\cdot e^{2\pi i }=e^z
$$

より,$${\exp}$$は周期$${2\pi i}$$の周期関数である.$${\blacksquare}$$


4.(f)

$${(f)}$$写像$${t\mapsto e^{it}}$$は実軸から単位円周への全射である.

証明 すでに$${t\mapsto e^{it}}$$は実軸から単位円周への写像であることは示した.全射であることを示すには,$${|w|=1}$$なる任意の$${w\in\mathbb{C}}$$に対して,$${t\in\mathbb{R}}$$が存在して,$${w=e^{it}}$$となることをいえばよい.
$${w=u+iv  (u,v\in\mathbb{R})}$$とする.$${|w|=1}$$より,$${u^2+v^2=1}$$である.

$${u\geq0}$$かつ$${v\geq0}$$のときを考える.$${u\leq1}$$であるから,$${\pi}$$の定義より,$${\displaystyle 0\le t_1\le\frac{\pi}{2}}$$なる$${t_1}$$が存在し,$${\cos{t_1}=u}$$となる.このとき,$${(3)}$$より,$${|e^{it}|^2=\cos^2{t_1}+\sin^2{t_1}=1}$$であるから,
$${\sin^2{t_1}=1-\cos^2{t_1}=1-u^2=v^2}$$.$${\displaystyle 0\le t_1\le \frac{\pi}{2}}$$より,$${\sin{t_1}\geq0}$$であるから,$${\sin{t_1}=v}$$である.このとき,$${w=\cos{t_1}+i\sin{t_1}=e^{it_1}}$$.

$${u<0}$$かつ$${v\geq0}$$のときを考える.このとき$${-iw=v-iu}$$となる.
$${|-iw|=|w|=1}$$より,$${v^2+u^2=1}$$である.$${v\leq1}$$であるから,同様に,$${\displaystyle 0\le t_2\le\frac{\pi}{2}}$$なる$${t_2}$$が存在し,$${\cos{t_2}=v}$$となる.このとき,$${\sin^2{t_2}=1-v^2=u^2}$$.$${\displaystyle 0\le t_2\le \frac{\pi}{2}}$$より,$${\sin{t_2}\geq0}$$であるから,$${\sin{t_2}=-u}$$である.
ゆえに$${-iw=\cos{t_2}+i\sin{t_2}=e^{it_2}}$$より,$${w=e^{i\left(t_2+\frac{\pi}{2}\right)}}$$
$${\left(-i=\overline{i}=\overline{e^{\frac{\pi i}{2}}}=e^{-\frac{\pi i}{2}}\right)}$$
$${\displaystyle t_2'=t_2+\frac{\pi}{2}}$$とおけば,$${w=e^{it_2'}}$$となる.

同様に,$${u\geq0}$$かつ$${v<0}$$のとき,$${u<0}$$かつ$${v<0}$$のときは,それぞれ$${iw,-w}$$を考えることにより,$${iw=e^{it_3},-w=e^{it_4}}$$となる$${t_3,t_4\in\mathbb{R}}$$が存在するので,$${\displaystyle t_3'=t_3-\frac{\pi}{2},  t_4'=t_4-\pi}$$とおけば,$${w=e^{it_3'},  w=e^{it_4'}}$$となる.

$${\therefore |w|=1}$$なる任意の$${w\in \mathbb{C}}$$に対して,$${t\in\mathbb{R}}$$が存在して,$${w=e^{it}}$$となる.すなわち写像$${t\mapsto e^{it}}$$は実軸から単位円周への全射である.$${\blacksquare}$$


5.(g)

$${(g) w}$$が$${0}$$でない複素数のとき,$${z\in\mathbb{C}}$$が存在して,$${w=e^{z}}$$となる.

証明 $${w\neq 0}$$のとき,$${\displaystyle \alpha=\frac{w}{|w|}}$$とおく.このとき,$${w=|w|\alpha}$$である.
ここで,$${|w|>0}$$および$${(c)}$$より,$${x\in\mathbb{R}}$$が存在して,$${|w|=e^x}$$となる.
$${|\alpha |=1}$$であるので$${\displaystyle \left(|\alpha|^2=\alpha\overline{\alpha}=\frac{w}{|w|}\cdot\overline{\left(\frac{w}{|w|}\right)}=\frac{w\overline{w}}{|w|^2}=1\right)}$$,
$${(f)}$$より,$${y\in\mathbb{R}}$$が存在して,$${\alpha=e^{iy}}$$となる.
$${\therefore x,y\in\mathbb{R}}$$が存在して,

$$
w=|w|\alpha=e^x\cdot e^{iy}=e^{x+iy}
$$

となる.$${z=x+iy}$$とおけば題意は示される.$${\blacksquare}$$



1/(1+x^2)の実数直線上での積分

次に,$${\displaystyle \frac{1}{1+x^2}}$$の実数直線上での積分を考えていく.これを評価するために,$${\displaystyle\left(-\frac{\pi}{2},  \frac{\pi}{2}\right)}$$で$${\displaystyle\varphi(t)=\frac{\sin{t}}{\cos{t}}}$$とすると,

$$
\begin{align}
\notag \varphi'&=\frac{(\sin{t})'\cos{t}-\sin{t}(\cos{t})'}{\cos^2{t}}\\
\notag &=\frac{\cos^2{t}+\sin^2{t}}{\cos^2{t}}\\
\notag &=1+\left(\frac{\sin{t}}{\cos{t}}\right)^2\\
\notag &=1+\varphi^2  (>0)
\end{align}
$$

となる.$${\varphi}$$は$${\displaystyle\left(-\frac{\pi}{2},  \frac{\pi}{2}\right)}$$で単調増加関数であり$${(\varphi'>0)}$$,$${\displaystyle\left(-\frac{\pi}{2},  \frac{\pi}{2}\right)}$$から$${(-\infty,  \infty)}$$への全射な写像である($${\displaystyle \lim_{t\nearrow\frac{\pi}{2}}\varphi(t)=\infty,  \lim_{t\searrow-\frac{\pi}{2}}\varphi(t)=-\infty}$$より,任意の実数$${x}$$に対して$${\displaystyle t\in\left(-\frac{\pi}{2},  \frac{\pi}{2}\right)}$$が存在して$${x=\varphi(t)}$$となる)から次を得る:

$$
\int_{-\infty}^{\infty}\frac{dx}{1+x^2}=\int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}\frac{\varphi'(t)  dt}{1+\varphi^2(t)}=\int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}dt=\pi.
$$


メモ,感想

  • $${z=x+iy  (x,y\in\mathbb{R})}$$のようにかくときはz=x+iyと()の間を半角英字2マス分空けると見やすい

  • 複素共役は\overline{}

  • 等号揃え複数行は\begin{align}\notag ~&=~\\ (改行)\notag&=~\\ …\end{align}でやる

  • \varphi,\varepsilon

  • 右上がり矢印は\nearrow,右下がり矢印は\searrow

  • 元の対応の矢印は\mapsto

  • \mathrm{Re},\mathrm{Im}で斜体を直す

  • 今回の発表は結構うまくいった.次回は§1から.

  • tex打ち込み,案外分量多かった…誤植も多そう.できるだけ頑張って続けたいけど

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