太陽がなかなか沈まない国④(スペイン旅行回想記)
スペインにやってきて早4日。古都・トレドの絶景を堪能した僕らは、いよいよ首都・マドリードへと向かう。
前回のお話
①首都・マドリード
トレドからマドリードは近い。電車で1時間もかからないほどだ。
金欠学生には高すぎるという理由で昨夜は泣く泣く諦めたパラドールのバーの朝食バイキングでたらふく食べ、名物のエッグベネディクトまで平らげる。
そして案の定食べすぎで気持ち悪くなり、後悔の念が惜別の情を少し上書きしながらもパラドール・デ・トレドに別れを告げ、マドリード行きの電車に乗り込んだ。
もう一度、トレドを訪れることがあれば間違いなくパラドールに泊まるだろう。
マドリードはバルセロナより内陸で、30度に近づく。
汗ばむのには十分な気温で、少し不快な湿度が体に纏わりついていた。(日本ほどではないが)
ひとまず中心地のアパートホステルに荷物を預け、プエルタ・デル・ソルに繰り出す。
プエルタ・デル・ソル。直訳すれば「太陽の門」ということなのだろうが、その通り8月のマドリードは、日差しが眩しかった。
この日のお目当ては、王宮とプラド美術館だった。
スペイン広場でメトロを降り、王宮へ向かう。
王宮は大きく聳え立っており、眺める分にはカメラを向ける場所に困らなかった。
入場するまでに少し並ぶ必要があったので、日陰で暇を潰しながらdespacitoに合わせて曲芸している曲芸師を遠目で眺めていた。
王宮の内部は、そこまで自分の心を打たなかったように思う。
もちろん素晴らしいバロック様式の歴史的建築物であり、ゴヤやベラスケスといった名だたる画家の作品がある場所なのだが、あまりに自分の生活様式とかけ離れているというか、豪華絢爛さに少し気圧されるような気すらしていた。
やはり日本人には侘び寂びが似合うのだろうかなどと思いつつ、王宮を鑑賞した。
②ベラスケス、その細部へのこだわり
王宮を歩き疲れ、次なる目的地であるプラド美術館へと向かうべく、マドリードの中心地に戻ってくる。
そろそろスペイン料理のバルサミコ酢とオリーブオイルのオンパレードに嫌気が差して来ていた僕ともう1人は、バーガーキングに駆け込みハンバーガーを胃にぶち込んだ。
おまけにllaollaoというジェラート屋でヨーグルトジェラートまで楽しんだ後、ようやくプラド美術館へと足を運んだ。
プラド美術館については、そこまで知識があるわけではなかった。
《裸のマハ》の美術史上の価値なんて知らなかったし、当時は世界史の資料集で見た程度で、ソフィア王立美術館にあるピカソのゲルニカの方が見たいと思っていたぐらいだった。
しかし、その程度の浅い興味の人間でも何かを感じる作品がいくつかはあるのだからプラド美術館なのである。
最も頭に残ったのは、スペイン宮廷画家ディエゴ・ベラスケスの《ラス・メニーナス》だった。訳すと「女官たち」といった題名の絵であるが、とにかくその作品の大きさとそれに対する細部までの精密な書き込み具合が目を離さなかった。
手前の王女や女官たちはもちろん、鏡に映り込んだ夫婦や壁の絵画、そして陰影の使い方に至るまで、全てに洗練された技術のようなものを素人ながらに感じた。とにかくベラスケスの絵に圧倒されていた。
ベラスケスの絵の前に15分くらいはいただろうか。巨大な美術館に歩きつかれ、2時間くらいで見終わってしまった。が、また見たいと思えるところだった。
観光を終えて、宿近くのフードコートでトルティーヤを食べて帰った。
明日はセゴビア水道橋を見ることにしていた。
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