サビアンシンボルと二十四節気ー大暑
梅雨からいきなり酷暑に突入。この急激な季節の切り替わりに、ついていかれない人が多いのでは。
この季節になるとよく聞かれる言葉が“心頭滅却すれば火もまた涼し”。
由来はこの漢詩からと云われています。
夏日題悟空上人院 夏日 悟空上人の院に題す 杜荀鶴
三伏閉門披一衲 三伏 門を閉ざして一衲(いちのう)を披(き)る
兼無松竹蔭房廊 兼ねて松竹の房廊を蔭(おお)う無し
安禅不必須山水 安禅は必ずしも山水を須(もち)いず
滅却心頭火自涼 心頭を滅却すれば火も自ら涼し
暑い三伏の時でも、(悟空上人は)戸を閉め切って僧衣を着ている。
その上、松や竹など樹木が部屋や廊下に影を落とす事も無い。
しかし座禅の安らかな境地は、必ずしも静かな山や川を必要とはしない。
雑念さえ消し去ってしまえば、火でさえも涼しく感じるものだ。
※ 三伏...夏至後の第三庚(かのえ)を初伏、第四の庚を中伏、立秋後
初めての庚を末伏といい、これらを合わせて三伏と云います。
つまり夏の一番暑い時期のこと。
※ 3句、4句目はとくに有名になり中国禅宗の書『碧巌録』にも
収録されていると聞きます。
大暑の期間は、西洋占星術では獅子座前半です。
獅子座1度から15度をサビアンシンボル研究者のルディアは
発火のシーンとしています。
スタートの1度は「脳溢血の症状」!
この夏の暑さで熱中症で倒れる人が続出していますが、ある意味
シンボルがフィジカルな実感をともなって感じられるかもしれません。
獅子座はそれほどに強烈なサインです。
続く2度は「伝染病で休校になり子供たちが遊んでいる」。
個人の爆発的なエネルギーは周囲にまで及び生命力が旺盛になります。
6度「古風な服装の婦人と最先端のファッションをまとった娘」。
私の好きなシンボルです。周囲という水平方向だけでなく、過去と未来
の時間軸を行き交うことに刺激されて、今を確認し世界を広げていく、と
理解しています。ギャップがあればこそです。
13度「海辺のコテージのロッキングチェアで揺れている老船長」では
拡大していったエネルギーが内側の精神性に向かって充実していく事を
表現しています。この度数は日本の72候で「大雨時行(たいうときどきにふる)」にあたりますが、大雨によって涼を得るように、溢れるエネルギーが精神へと深く浸みこんで沈静化していくのを感じるのは私だけでしょうか。
シーン最後の15度「カーニバルの最終日、メインストリートに人が押し寄せる」はいよいよ獅子座のピーク。お祭り好きの人なら、想像しただけでワクワク感がこみあげてくるのでは。
最後に冒頭の漢詩とシンボルの流れを考えてみましょう。
サビアンシンボルでは、季節のとらえ方が禅の“心頭滅却すれば~“とは
趣が異なるものの、エネルギーが増幅するときは盛大に広がり、しかし
そのエネルギーの圧を以て精神性をも深めていく、というところで禅の
精神と13度の老船長とが繋がっていくように思えます。
獅子座は強烈な存在感ゆえに、一見暑苦しいと思われがちですが、その
熱さを世界を広げながら同時に精神の奥へも向け、熱さは失わずに
しかし静かに沈めていく姿が魅力的であり獅子座の真骨頂なのかも
しれません。