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クロウリー×アジラフェル二次小説。

おはようございます、雲州鳩です。アマプラ独占配信のBBC製作「グッドオーメンズ」の二次創作表紙と小説の途中までになります。

天使アジラフェルが女性化してますが、元々天使族に性別はないので、いつかどこかの地球にて人間に生まれ変わったかもしれない二人の、ちょっと面倒くさいピュアラブコメディストーリーにしました。

文章はまだまだ、加筆修正前の骨組みだけです。



「その、言いにくいんだけどねアンソニー。例のCMの話は無かったことにして欲しい」
「んあ!?」

ロンドンの再開発地域ど真ん中に、次世代グローバルシティとして建てられた65階建てのパプティマスビル。その中層階に入っている大手広告代理店にて、34歳のアンソニー・J ・クロウリー・デイモンは、ほぼ確定と思われていたCM製作の担当を外された。

「ふざっけんな! サンプルデータ観せたら、これで通すっつーてただろ!」
「本当に申し訳なく思う。でも上の決定なんだ。他のクリエイターの作品がプロデューサーの目に留まってしまって。君のチームとは長い付き合いだし、僕も頑張ってみたんだが……」
「…………誰だ」
「うん?」

いつも漆黒の装いを、スラリとした痩身にスタイリッシュにまとう赤銅色のヘアメッシュをロングヘアにまとめているクロウリーは、地獄の底から這い出る悪魔の如く、表情を歪めて低い唸り声を吐き出した。

「その、他のクリエイターってのは! どこのクソファッ(規制音)だ!」

ヒィ、とオフィスチェアから飛び上がったアシスタント・ディレクターは、
「こ、これを見て」と、デスク上のiMacディスプレイにムービーを展開させる。

怒りにブルブルと肩を震わせ、顔面を歪めていたクロクリーの顔面から少しずつ赤みが引き呼吸が深くなり、やがて長い両腕がダラリと力を無くす。

「……君のデモ版も当然、いつもながら素晴らしい出来上がりだったよ。会議でも最初にお偉いさん達の意見がほぼ一致して、君の作品に決まりかけた。だけど、YouTubeでこの数ヶ月話題になっているこのビジョンと音楽が流れた瞬間に、室内の雰囲気がガラッと変わったんだ」
「…………だろうな。オレでも言葉を失うぜ」
「知ってるのか? この作者を」
「アホ抜かせ! YouTubeで六万人ユーザーお抱えの超有名クリエイターじゃねぇか! 会ったこたねぇがな!」

マウスをクリックしたクロウリーは何度も凝視しつつ、その映像をサングラス越しに見つめる。

「間違いねぇ、アンジェリック・フェールの手描きアニメだろう」



アンソニー・クロウリー・デイモンは、幼い頃からイラストや漫画を得意とし、また、理数系でも特出した成績にてマサチューセッツ工科大学へ留学。卒業後にロンドンの有名美術大学にて3CGを学んだ。その後もハリウッドの一流アニメスタジオにて腕を磨き、二十代後半にして栄誉ある芸術賞も数々受け取っている。

コンピューターの立体CGと、AIでのカラー彩色をメインに生み出される最新アニメ画像はほぼ実物の人間像と変わらないリアルさを誇り、欧米のみならず日本や中国、韓国でも話題のアーティスト達を飾るクリップビデオにオファーされ、大金を稼ぎ出していた。
既に「ギャラに大金を必要とする、本物の俳優は不要」などと、映画業界を震撼させるほどに。

「このコピー、DLしていいか」
「ああ、もちろん。だが外部には出さないでくれよ」
「俺はプロだぞ。んなコトすっか」


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雲州鳩
マダム、ムッシュ、貧しい哀れなガンダムオタクにお恵みを……。

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