
【リファーラル採用・アルムナイ採用の始め方】準備から運用までの完全ガイド
こんにちは!中途採用支援事業部 事業部長の大山です。
近年では、リファーラル採用やアルムナイ採用を取り入れる企業が増加しています。しかし、十分な準備をせずにこれらの採用活動を始めると、期待通りの成果を得られない場合があります。
そこで今回は、リファーラル採用やアルムナイ採用を始める際に、まず取り組むべきことについてご紹介します。
リファーラル採用・アルムナイ採用を始める前に考えるべきこと
まず取り組むべきことは、なぜリファーラル採用やアルムナイ採用を導入したいのか、その理由を明確にすることです。これらの採用方法にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、事前にしっかりと準備を整える必要があります。

リファーラル採用の場合
リファーラル採用を開始した際、社員に「知り合いを紹介してください」とお願いしても、多忙な業務の中で即座に対応してくれる人は少ないかもしれません。そのため、社員のモチベーションを高めるインセンティブの設計が重要です。同時に、これが企業にとってコストにどのような影響を与えるのかも慎重に検討しなければなりません。
また、リファーラル採用では、紹介される人物が家族など社員にとって非常に近しい関係である場合も考えられます。こうした事例に対しては、候補者を公平に評価する仕組みや、紹介した社員へのフォロー体制を整備することが必要です。
アルムナイ採用の場合
退職者の中には“ぜひ戻ってきてほしい人”もいれば、“復帰を歓迎しない人”も正直いるのが現実です。そして、期待する人材が運よく自発的に応募してくれる可能性は、基本的には極めて低いと考えるべきでしょう。
戻ってきてほしいと思う人材は、一般的に他社からも高く評価される優秀な人材であることが多いため、単に「アルムナイ採用を始めます」と告知するだけでは不十分です。そうした人材に対しては、どのようにアプローチするかを戦略的に考える必要があります。
一方で、残念ながら選考の過程で不採用となる可能性がある元社員への対応も重要です。こうした場合、不採用の理由をどのように伝えるかや、退職者に対してネガティブな印象を与えないためのコミュニケーション設計を工夫することが求められます。

以上を踏まえ、リファーラル採用やアルムナイ採用の導入は、そのメリットとデメリットを十分に理解した上で判断することが重要です。また、採用を成功させるためには、こうしたポイントを踏まえた仕組みや対応方針をしっかりと設計する必要があります。
リファーラル採用に必要な具体的準備

1.募集要件の最適化
リファーラル採用における採用基準は、企業の方針や職種によって大きく異なります。
たとえば、営業会社の場合、外部から採用する人材と比べてスペックが多少劣っていたとしても、社員の知り合いで将来性がありそうな人材であれば、必須要件を満たしていなくても採用するケースがあります。この場合、社内向けの求人情報において、要件を調整して提示することも可能です。
一方で、リファーラル採用を単なる採用手法の一つとして位置付ける場合は、募集要件を変えずに、そのままリファーラルで募集を行うケースもあります。
2.ミスマッチを防ぐために必要な認識の共有
一般的な採用面接では、候補者が自分の良い面だけを強調する傾向があるため、入社後に「想像していた仕事と違った」といったミスマッチが生じることがあります。しかし、リファーラル採用では、紹介者である社員から候補者の詳細な情報を得ることができるため、このようなミスマッチをある程度防ぐことが可能です。
特に、面接だけでは把握しにくい候補者の人柄や過去の経歴についても、紹介者を通じて具体的な情報を収集できる点は、リファーラル採用の大きなメリットの一つと言えます。
<POINT1>社員が候補者に対して企業文化や人事制度などを的確に説明できること
これには、社員自身が自社について深く理解し、自信を持って魅力を伝えられるよう準備することが欠かせません。
候補者への説明が具体的で魅力的であればあるほど、採用活動の効果は高まります。
<POINT2>社員が自社の採用基準を正しく認識していること
社員が友人や知人に声をかける際には、その相手が「自社にマッチしているかどうか」、つまり「選考を通過できる人材であるかどうか」をしっかり認識しておくことが重要です。

この2点の認識を社員と共有することが、リファーラル採用を円滑に進めるための鍵となります。
アルムナイ採用に必要な具体的準備
1.リスト作成
FacebookなどのSNSを通じて既に繋がりがあり、ある程度のデータベースが整っている場合は、幅広い告知を行うことが一般的です。
たとえば、SNS上で「アルムナイイベントを開催します」と発信し、「興味がある方はぜひ声をかけてください」というメッセージを広く届けます。
この場合、在籍時の評価にはこだわらず、多くの人に声をかけるのが特徴です。ここでは、イベント自体はオープンに実施しますが、特に戻ってきてほしい人材には、個別に声をかけることが重要になります。
一方で、退職者リストから「今本当に戻ってきてほしい人」を厳選し、そのメンバーに対して特別感を持たせたアプローチを行うケースもあります。この場合、「数ある人の中から特に戻ってきてほしい人材として声をかけています」という特別なメッセージを伝え、直接的にリターンを促すイベントを開催します。
どちらのアプローチを取る場合でも、アルムナイ採用の仕組みを自社の採用ページやシステムに組み込むことが前提です。そのうえで、質の高い人材に登録してもらうための工夫が求められます。
特に重要なのは、「どのような人を採用したいのか」という明確な基準を策定することです。また、その基準に基づいて採用プロセスを運用するためには、適切なシステムを選定し、導入することも欠かせません。
2.給与設定

給与設定はデリケートに進める必要があります。
そのため、退職時の給与を基に、「当時同程度の評価を受けていた社員が現在どの程度の給与になっているか」という自社基準を算出し、退職者の「現在の想定年収」をシミュレーションすることが重要です。
<例1>退職時の年収が700万円だった場合
同じ期待値を持っていた社員が現在年収1000万円に達しているのであれば、「この退職者も年収1000万円程度になっている可能性がある」と仮説を立てます。ただし、ここで重要なのは、現社員の年収を上回るような給与設定をしないことです。
これを誤ると、「アルムナイとして戻った方が高い年収を得られる」と現社員が感じ、士気の低下や退職率の上昇につながる可能性があります。実際に、この設定を誤った企業では、優秀な社員の流出を招いた事例もあります。
こうしたリスクを防ぐためには、「会社として何を優先するべきか」を明確にし、経営層と人事部門がしっかり話し合いながら給与設定を進めることが不可欠です。
<例2>退職時と異なる部署で採用する場合
第1事業部から第4事業部までのように複数の事業部がある場合、第3事業部を退職した社員が、「事業部には不満があって辞めたが、会社自体は好きだから第1事業部なら戻ってもいい」と考えるケースがあります。こうした横移動を許容するかどうかは、社員の満足度や異動の公平性なども考慮しながら総合的に判断する必要があります。
また、このケースで問題になるのが給与のバランスです。
例えば、第3事業部を辞めた時の年収が800万円で、第1事業部で再雇用された際に900万円に上がるような状況が生まれると、「第3事業部の給与が低い」という印象が広まる可能性があり、このような事態を防ぐためには、全社的に統一した基準で給与を決定することが必要になります。
3.退職者インタビューの蓄積
アルムナイの方々は、何かしらネガティブな理由を抱えつつ退職したケースが多いため、採用の際には「そのネガティブな要素が解消されているか」「長期的に活躍できる見込みがあるか」を見極めることが重要です。しかし、この見極めは簡単ではありません。
そのため、アルムナイ採用を始めるにあたっては、退職者のインタビューを蓄積しておくことが非常に大切です。退職時のログを記録しておけば、アルムナイとして戻ってきた際に振り返りを行い、適切な対応を取ることができます。
また、一度退職した会社に戻る際には、家族から反対を受けるケースも少なくありません。こうした場合に備え、「会社がどのように変わったのか」「以前とは異なる条件がどのように改善されたのか」を、本人が家族に納得感を持って説明できるよう、適切なコミュニケーションを設計することも必要です。
まとめ

「ただ声をかければ良い」という単純な発想で進めるものではなく、リファーラル採用やアルムナイ採用は、綿密な設計と多方面への配慮が必要です。一見簡単そうに見えて、実は非常に複雑で繊細な部分でもあります。
もし、これからリファーラル採用やアルムナイ採用を始めようとしている、または既に導入したもののうまくいっていないという場合は、ぜひ参考にしてみてください。
ーーーーーーー
【コーポレートサイトにも中途採用におけるナレッジ記事を掲載しています!】