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映画『ピアノマニア』

2009年/製作国:オーストリア・ドイツ/上映時間:74分 ドキュメンタリー作品
原題
 PIANOMANIA
監督 ロベルト・シビス リリアン・フランク



予告編


レビュー

 ピアノの調律師、シュテファン・クニュップファーが主役のドキュメンタリー作品。
 音楽好きは楽しめる作品と思います。
 出演するピアニスト達の音へのこだわり。そしてそれを全力でサポートしようとする調律師の関係は、観ていて微笑ましい。
 
 古楽器に関する適切な解釈を聴くことも出来、本作をきっかけに古楽の世界に興味を持たれる方が増えると嬉しいなぁと思います。
 個人的に古楽が大好きなため「コンサート・グランドピアノは魅力的です。4000人収容のホールで弾ける楽器は他にはありません。でも音の大きさは音色の乏しさと直結します」という古楽好きがニヤリとするセリフに思わず、「そうそう、ある意味等価交換・・・」とつぶやいてしまいました。
 
 また本作の鑑賞により、音色は(音楽は)様々な人との共同作業で創り出すものであり、共有することよって更にその価値を増してゆくものであるということに、改めて思いを巡らせることが出来ました。
 
 話は飛びますけれども、古楽奏者のグスタフ・レオンハルトは、コンサートの休憩時間中にご自分にてチェンバロの調律をなさっておりました。
 人によっては、そこまで行きつくようです。
 
 話がまとまりませんけれども、Steinway & Sonsのピアノの音色はやはり素晴らしかったですし、個人的にはC. Bechstein Pianofortefabrik(ドビュッシーは「ピアノ音楽はベヒシュタインのためだけに書かれるべきだ」とまで評したそうです)と双璧です(もちろん他にも好きなピアノはありますけれども
、好みの録音にまだ出会えておりません)。
 ピアノの音色は製作者や材質の影響も大きく、その個体差はとても激しいですけれども、自分の体に染みる音を、好みのピアニストの演奏にて聴いたときの悦楽は、病みつきとなる魔力を秘めているように思います。
 
 本作鑑賞後、ピエール=ロラン・エマール のドビュッシーとバッハを、調律師の存在を感じながら聴きました。
 とても楽しい一時ひとときとなりました。

 

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