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書籍『ヒトは〈家畜化〉して進化した―私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』

ブライアン・ヘア (著), ヴァネッサ・ウッズ (著), 藤原 多伽夫 (翻訳)
出版社 白揚社‏
発売日 2022/6/3
単行本 336ページ



目次

はじめに
・適正生存
・最も友好的な人類

第1章 他者の考えについて考える
・愛犬との日々
・すごいイヌ
・アイコンタクトと指さし

第2章 友好的であることの力
・家畜化
・友好的なキツネ
・やってきたオオカミ

第3章 人間のいとこ
・サンクチュアリのボノボ
・ボノボとチンパンジーの違い
・争いのない暮らし

第4章 家畜化された心
・自分をコントロールする
・顔に残る家畜化の跡
・色素の変化

第5章 いつまでも子ども
・発達の裏側で
・神経堤
・早く始まり、長く続く成長
・風船のような赤ちゃんの頭
・見知らぬ友達
・家族のように感じる集団
・もっとも親切な人が勝つ

第6章 人間扱いされない人
・非人間化はどこでも起きる
・他者を人間扱いしない脳
・どんな時代や文化でも見られる性質
・誰もが影響を受けやすい

第7章 不気味の谷
・新たな偏見の文化
・脅しから暴力まで
・相互の非人間化
・人間を品種改良する

第8章 最高の自由
・オルタナ右翼の台頭
・左派にも右派にもならなくていい
・接触の効能
・大統領の孫娘
・都会の暮らしの動物

第9章 友だちの輪
・動物とのつながり
・ディンゴは私たちの母

謝辞
訳者あとがき
原注
図版の出典
索引

本書より



内容紹介

 ヒトは「自己家畜化」によって友好的になり、見知らぬ人とも協力できるよう進化した。相手の心を思いやり、仲間と技術や文化を共有できたおかげでヒトは繁栄し、他の人類が絶滅しても生きのびることができた。しかし、その友好性には負の側面もある。ヒトは自分の集団が他集団に脅かされたと感じると、相手を「非人間化」し、残虐な行為をするようになるのだ。なぜヒトは地球上で最も寛容であると同時に、最も残酷な種になったのか?自己家畜化仮説を軸に、ヒトの進化と本性の深奥に斬り込む。

本書より


レビュー

 本書はまず「はじめに」にて『ジグソー法』について語り、その目指すところを示します。
 目次を確認していただくとわかるように、最終章の第9章「友だちの輪」となっていることから、スタートとゴールの位置を確認することはたやすく、そこまでの道のりにワクワクしながら読み進めました。

⇩ 『ジグソー法』とは

 ちなみに「自己家畜化」の定義は、本書「訳者あとがき」より引用すると、

 人間が野生動物を選抜して交配し、飼いならしていく過程を「家畜化」と呼び、家畜化された動物にはさまざまな変化が生じる。そうした変化が自然淘汰を通じて起きた場合、「自己家畜化」と呼ぶ。

となっております。
 また「自己家畜化」という用語は、一見自己社畜化じこしゃちくか的な「搾取のかぎりを尽くされてやがて命までをも奪われる」というような、何か「過酷な奴隷人生」や「ディストピア社会」を連想してしまいかねない雰囲気を纏っておりますけれども、実は全く違って、ヒトの「友好性」というものが「自己家畜化」により進化し、そのことによる協力関係の強化(繋がり)によりヒトに「繁栄」が齎された、という考えに基づき、使用されている用語となります。

 そして、友好性がヒトにとって有利な進化戦略となった過程を研究するため、人為的に家畜化されたキツネほか、人のように自己家畜化したと考えられるイヌとボノボに目を向けた。

 という流れにて論は進行してゆくのですけれども、どうなるか……という。
 その面白い過程と結論に関しましては、是非本書にてお楽しみください。

 

余談
①チンパンジーとボノボの雄の顔の違いには笑ってしまう。
「もしお友達になるなら絶対ボノボ」って思っちゃうもの(笑)

②個人的な本書のキーワードは『「接触」の重要性』
 最近ずっと考え続けていたテーマであったため、とても学びとなりました

③本記事記載の「目次」は、今回も当然のように「こだわりの手打ち」です
 にしても「目次」、本好きからするとめちゃ重要な箇所なのに、何故に全文記載されないのかしら……(「こだわりの手打ち」をアッサリやめて「機械化(コピペ)」して楽したい(笑))
 ネットにて本を購入する際、「目次」を観れない場合は本の全体像を把握出来ないため、購入は中(特に「目次」)を確認してから書店で……ということになりがち
 記載してはいけない理由でもあるのかな?(私、記載しちゃってるけど……)



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