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映画『ジャンヌダルク裁判』

1962年/製作国:フランス/上映時間:65分 
原題
 LE PROCES DE JEANNE D'ARC
監督 ロベール・ブレッソン




予告編(海外版)


STORY

 フランスの王位継承と領土をめぐる百年戦争において、オルレアンの地を解放に導いた救世主、ジャンヌ。1431年、戦いの中で捕らえられた彼女は、イングランドに引き渡され、異端審問を受けることになる。司教たちの悪意に満ちた尋問に追い詰められるが、彼女は信仰心を捨てずに火刑に処せられてしまう。裁判官たちへの異議、法廷への異議、裁判自体への異議。
 ロベール・ブレッソン監督がジャンヌ・ダルクの「史上最大の裁判」をストイックに描く。

Blu-rayの解説より


レビュー

 ブレッソンのモデルを選ぶ目は確かで、ジャンヌ・ダルク役のフロランス・カレーズ(ドゥレ)は、後に実力派の小説家となった。

 戦争シーン(アクションシーン)を一切描かずに(たとえ予算があっても描かなかったはず)、残されている正確な裁判の記録を元にして、ジャンヌ・ダルクの独りきりの闘い(こういうのを「一騎当千」と云うのだと思う)を描いた傑作。

 カール・テオドア・ドライヤーの『裁かるゝジャンヌ(LA PASSION DE JEANNE D'ARC)』のように、司祭役に醜い外見の者たちを起用せず、観客の感情を誘導しなかった(煽らなかった)ことも、流石としか言いようがない。
 また当時の司祭たちは知識階級であったから、無知な怪物のような外見はしていなかったであろうし、例え「ドライヤーは司祭たちの内面の様相を外見を用いて表現したのだ」と言われたとしても、ブレッソンがそのような稚拙な表現を用いずにより明確に、そして正確に司祭たちの内面(の腐敗)を射た後では、説得力はない。
 司祭たちとジャンヌ・ダルクの言葉のやり取りを観れば、どちらに「正義」と「真の信仰」があったのかは、一目瞭然なのだから。

 本作には無駄が無い。
 そしてそれ故に、ジャンヌ・ダルクの「光」がある。




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