「日常の風景から世界を再構築する」:イノベーションフォーラムを開催します
青山学院大学大学院ビジネススクール(ABS)では、2023年度 第1回青山イノベーションフォーラムとして「日常の風景から世界を再構築する」を10月17日(火)18:30より開催します。この記事では、登壇いただくアーティストの毛利悠子さんについて紹介します。
毛利悠子さんによる特別講義
このフォーラムは、私が担当している「イノベーションとアート」の講義を拡大し、特別講師として、現代アートのアーティストであり、東京藝術大学准教授でもある毛利悠子さんをお招きして、グローバル社会を新たな視点から捉えて、世界を再構築することについて考えます。
毛利悠子さんは、日常の風景の中に美的要素を見出し、普遍的なコンセプトを創出し、世界を再構築しようと取り組んでいます。このような活動が評価され、2024年にイタリアのベネツィアで開催される、ベネツィア・ビエンナーレの日本館代表に選出されました。
日常の風景から描かれる斬新なコンセプト
2022年5月28日〜6月26日まで行われた「新しいエコロジーとアート」展で、毛利さんが制作した作品《Decomposition》は、フルーツに電極を指し、音を生み出す斬新なアートです。この作品のアイデアは、2006年に大阪・日本橋の電気街で行った展覧会で生まれました。電子部品のジャンク屋でさまざまな抵抗器を見つけ、ここにナスやキュウリが置いてあると面白いと考えたのです。野菜には水分が電気抵抗を生むことに着目したのです。
野菜やフルーツに電極を挿してみた結果、内部の水分量が常に揺らいでいて、抵抗値が変動することを発見しました。
Sonic Pi(ソニックパイ)という音のプログラミングソフトを用いて、フルーツの抵抗値を読み取り音程を変ました。
この作品の重要な要素は、フルーツ内の水分の流動性。毛利さんの興味は「動き」にあります。代表作ともいえる《モレモレ》は、水の動きを制御しようとする試みが思いがけない彫刻を生み出したと言います。
世界を再構築する
毛利さんは、「動き」に焦点をあててみると、日本は多面的な問題を二極化して議論しがちなところに違和感を感じるようになったと言います。
《Decomposition》や《モレモレ》のように、小さな振動の積み重ねにより、多面的な視点を提供し、現在の状況に微細な抵抗を加えていくことが、世界を再構築する最初の「動き」になるのです。
本フォーラムでは、日常の風景を起点に微細な抵抗を積み重ねることで、世界を再構築するその思考について、より深くお話していただけると思います。
*なお、本フォーラムは、ABS在学生、修了生、およびABSへの出願を検討されている方に参加いただけます。