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【転職としての星野リゾートvol.3】 顧客満足をとるか、収益を取るか

写真はトマム

ホテル”運営”会社としての覚悟

星野リゾートはホテル運営会社である。
すなわち、ほとんど多くの場合、「所有」と「運営」の一体型ホテル経営ではなく、所有と運営を切り離し、その中でも運営の担当をする。

さらに言えば、所有と運営の一体型の場合には、リスクが大きい分リターンも大きい。所有と運営の分離型の場合には、リスクが小さい分リターンも小さい。

例えばの話だが、あなたは「念願だったジェラート屋を経営すること」を考えてみて欲しい。
ジェラート屋のための土地を購入し、新築の店舗を出し、さらに実際のジェラート作りと販売にも携わる。これは一体型の経営だ。
一方、オーナーや不動産が土地と店舗のお金を出し(貸し)、あなたはジェラート作りと販売に専念する。これは分離型の経営だ。

星野リゾートは分離型であるが、その最大の特徴は、スケールメリットを活かせること。つまりは、束でブランド力を高めることができるし、蓄積されたノウハウを横展開することもできる。

収益性 vs 満足度の二項対立

さて、ホテル運営会社が持続的に事業を拡大し続けるには、
①収益
②顧客満足度

を高い水準で保ち続ける必要がある。

しかしながら、両者は犬と猿、水に油のような関係性で語られることがある。こんなシチュエーションのように。

「収益をあげるということは、人件費を抑えればいい。人件費を抑えるということは顧客と接する時間を削れば良いのではないか。だけど、接客時間が減れば顧客満足度も下がるのではないか。」

みなさんは、これについてどのように考えるだろうか。

サービス業界においては、上記と似たような議論がよく交わされる。
収益にばかり目が眩むと、最終的には出費の大元である人件費に話が及ぶ。これを「金の亡者」と呼ぼう。
他方、お客様第一であり、働いている人は二の次。とにかくお客様のために持ちうる全ての時間で我々ができる最大限のことをしようという人もいる。これを「サービス志向の亡霊」と呼ぼう。

さあ、金の亡者 vs サービス志向の亡霊はいずれが勝つのか。
勝者はどちらか。
議論は永久に続く。to be continued……と、平行線に陥ることもままならない。
さてここで、問い直したいのが、
収益と顧客満足度は対立構造にあるのか、ということである。

これらの議論は、時間(=金)という一つの指標で議論されている。
どういうことかというと、
・収益(金)を上げるには、売上(金)をあげるか支出(金)を抑えるか
・顧客満足度を上げるには、接客(時間)をいかに増やせるか
ということが論点となっている。

本当にそうだろうか。
この議論はどちら側にどの程度傾けるかという「バランス(前記事)」の問題なのだろうか。同じ直線上に乗っている議論なのだろうか。

一つだけ反例をあげて締めよう。

あるところに、こだわった食事を出したいのに原価が高すぎたり、時期や需要変化による食材の価格変動が読みきれないとーーっても収益性の悪いレストランがありました。
さらに悪いことには、接客する人材を揃えることができず、お客様に高いクオリティでお料理提供ができない状態のようです。
このレストランは、現状を打破するために、以下のように考えました。

  • 毎回同じ料理を出すのはやめよう。

  • 質よりも料理の種類でカバーできるのではないか。また1皿あたりの量は少なくしよう。

  • スタッフが料理提供をするのではなく、お客様自身で料理を選んでもらえるようにすれば良いのではないか。

この条件で何が出来上がったかお分かりだろうか。
このレストランは、「ブッフェスタイル」での料理提供を始めることになったのである。

これにより「収益」も「顧客満足度」も高まった。

さあ、そんな両取りできるような施策はあなたの身の回りにないだろうか。


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