#gift感想
紅玉いづき先生の作品に『gift』という小説がある。
10年以上前に非商業作品としてコミケで頒布された作品だった。
そこから長い年月の眠りを経て、昨年、クラウドファンディングという形で再刊行された。
そして今年、電子書籍(Kindle版)がリリースされた。
電子書籍のリリース記念、そしてクラウドファンディングの終幕を記念した感想キャンペーンが企画されたので書いてみんとす。
(締切全然気にしてなくて締切当日慌てて書いている愚か者ですみません……)
登場人物とあらすじ
主要な登場人物。
平田開闢:人形師。女性。同じく人形師であった祖父から技術と名前を継いだ。
宮本晴久:カメラマン。男性。開闢の人形を撮る。
真木遊成:恋愛小説家。男性。良く喋る。晴久とは高校の同級生。
夢宮チロル:音楽家。女性。子供のような独特な喋り方をする。
4者4様のクリエイターたち。
4人の中でも主人公は人形師・平田開闢とカメラマン・宮本晴久。
人との接点を拒むふたりが、人形とカメラを通して心を通わせあっていく物語。
……なんだけど、一番良く喋るのは恋愛小説家・真木遊成。なんなら作中、真木単体のエピソードもあって主人公全然出てこないターンが結構長かったりする。
真木遊成と夢宮チロルの物語は、創作者の苦悩・葛藤の物語だ。
真木遊成と夢宮チロル
10年前当時、一番好きだったエピソードも真木遊成回でして。
14話「BGM」、15話「Alien」、16話「Elevator」、17話「THIS IS MINE」。
14話から17話にかけて、真木遊成が小説を書けず苦悩するシーンが続く。
天才音楽家・夢宮チロルとの対比。
チロルの棘のある言葉に、真木遊成と一緒に心を傷つけられる。
でも、その痛みこそが物語の面白さでもあって。
私は紅玉いづき先生に憧れて、当時から小説を書いていて。
周りにも漫画だったりイラストだったり映像だったりいろんな創作をする友達がたくさんいて。
ものをつくる。創作。その楽しさと苦しさ。
それらを体現するような物語がこのエピソードであり『gitf』だったから大好きだった。
真木遊成の気持ちが分かる、し、分かりたい。自分もこうでありたい。こうなりたい。強い憧れ。
きっと、同じように創作が好きな人、ものをつくったり書いたり描いたり撮ったりなにかを作り上げたりするのが好きな人に刺さるし届いてほしい。
そんな物語が詰まってる。
平田開闢と宮本晴久
10年前は前述の通り真木遊成のことが特に好きだったのだけど、今改めて読んでみると開闢が可愛くて仕方ない。
前述の通り、ふたりは人形とカメラを通して結ばれていく物語なのだけど。
ふたりとも口数が多くなく、そしてあまり人と群れることを好まないキャラクターでありながら、少しずつ歩み寄っていく過程が可愛くて可愛くて。
宮本晴久は「不言実行」というか、サプライズ好きというとちょっと語弊があるんだけど、言わずにまず行動しちゃうっていう。
開闢はそれに対して大きなリアクションはしないんだけど嫌がりもせず、淡々と受け入れるのだけどその「受け入れる」という行為そのものが好意の裏返しなんだな〜可愛いな〜〜っとキュンとするわけです。
この淡々とした中にあるさり気ないふたりの関係性に気づける歳になりました、私も。開闢かわいいよ開闢。
おわりに
このふたつのエピソードを見て「あ、いいな」と思ったひとは是非『gift』読んでみてください。
真木夢宮の物語と平田宮本の物語、それぞれ刺さる人が違うと思います。どっちも良いよ。
友人各位は声掛けてくれたら紙の本貸せます。声掛けてくれ。たのむ〜〜〜