《連載#3》子どもを”怒らない”ための方法
こんにちは!タノ🦒です。元小学校の先生です。
2021年3月に退職して、5月からは新しい教育現場で働きます。
この連載では最新の教育情報と実践での効果を組み合わせて
「学べる」「役立つ」「たまに面白い」教育情報を
教育現場で働く方・先生を志す方・子育て中の方向けに
お伝えします。
連載#3は、”怒らないための方法”です。
頑張って解説イラストも描いたので、最後まで読んでください(*^▽^*)
#プレッシャー
1、怒らないための方法①(習慣化へ)
子どもに「こうなってほしい」と思った時、
習慣化への流れです。
(1)どうなってほしいか考える
↓
(2)一緒に話して価値観を共有する
具体的にルール化する(一緒に)
↓
(3)注意→気づかせる
↓
(4)ほめる(勇気づけ)
↓
(5)ルールについて話し合う
↓
(6)続けていくと習慣になる
今回は、イラストを描きました。
《文章で解説》
怒る=”相手をコントロールする行為”です。
私たちは相手をコントロールするために怒ります。操るのです。
”怒ること”は即効性はありますが、連発すると効果が薄れます。
怖いものもいずれは慣れるか、もしくは心が離れます・・・
だから、”怒る”は最終手段です。→ファイナルウェポン!!
といっても怒っちゃう。
じゃあ、まずなんで怒るのかを考えてみましょう!
例えば、勉強をしていないでダラダラしている子がいるなら、
怒りの原因は
子どもが「声をかけないと勉強をしないこと」です。
求める姿は、
「自分で勉強をしてほしい」です。
さらに、なぜ「自分で勉強をしてほしい」かと言えば、
「勉強とは自分の意思でするもの」だという考えがあり、
そうなっていないのに対して「自分がイライラする」からです。
ここまで分かったら、対象の子どもと話をします。
「いや、無理!話を聞こうとしない」
という場合もあるかと思います。
指導上、自分で学習や生活面で自分から取り組むことが難しい子がいました。
Rさんとします。前の学年でもよく怒られていました。
Rさんとした算数の課題の時の話です。
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タ「ちょっと勉強のことであなたの考えも聞かせて」
R「?」
タ「勉強しなさい!って毎回言われるの、正直どう?」
R「正直いや。やる気なくす」
タ「私も毎回言ってるのはいやだし、勉強は自分でやらないと意味がないよね」
R「うん」
タ「じゃあ、一緒にどうするか決めよう」
→このあたりでRさんは怒られるのではなく話を聞いてくれるのだと理解します。
タ「どのタイミングなら自分でできそう?」
R「うーーん。△△の時かな」
タ「それなら自分で毎日できそう?」
R「うーーん。やってみる」
タ「じゃあ、あなたが決めたタイミングでやってみよう」
タ「声かけはいるかな?」
R「あんまりいらないけど、もし忘れてたら言って欲しい」
タ「分かった、続けないと習慣にならないから、
1週間続けてどうだったかまた話をしようね」
R「分かった」
タ「忘れないように書いたから、見えるところに貼っておくね」
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もちろん、Rさんが劇的に変化するわけではありません。
ですが、学習、生活面で、このような言い方を心がけました。
すると、タノとRさんの間の
”叱る側”対”叱られる側”の対立構造が減りました。
一度ルール化して、取り決めをしたので、叱ることが減るのです。
また、叱る・注意ではなく、
なるべく”気づかせる”ようにしました。
「早くやりなさい」から、
「次にやること説明いる?」「そろそろやる時間だけど助けはいる?」
「もうやって大丈夫だよー」「もうすぐ時間だよー」
と言う風に、”気づかせる”言葉に変えました。
中でも「助けようか?」という言葉は有効です。
味方だということを伝え、さらに選択肢を与え、やる状況に持っていきます。
そして、できた時には、
連載#1#2で話した”ほめる””勇気づけ”をして「強化」します。
もし、決めたルールが難しい時と感じた時は、
見直して、また話し合って修正をしています。
これを繰り返すことで、習慣になっていきます。
2、4つのステージ
ここで大きいのは、変化までは時間がかかりますが、
確実にステージが上がっていくことです。
タノが思う行動のステージは以下の通りです。
ステージ1 ルールがなくて、やることが分からなくて、やらない
ステージ2 ルールはあるが、内容が曖昧で分からずに、やらない
ステージ3 ルールがあって、やることが分かってるが、やれない
ステージ4 ルールがあって、やることが分かっていて、やれる
ルールが共通認識できれば、
ステージ1からステージ2、ステージ3まで進むことができます。
そして、あとは、
心理学の「強化」や話し合い、継続の工夫を行うことで、
習慣にしていきます。
それができたら、怒ったり、大人が介入することが減っていきます。
ステージ4の状態ですね。
3、怒らないための工夫② (仕掛学)
さらに、怒らなくてすむ工夫を紹介します。
それは、やらざるを得ない環境や仕掛けを作ることです。
例えば机が整理されていることや、
やることが資格的に見えるようになっていることが環境整備です。
そして、仕掛け。
仕掛学というものがあります。
これを、環境に取り入たり、行動をシステム化するとイライラがなくなります。
仕掛け学とは?
例えば、玄関の靴を揃えて欲しい時どうするか。
何回言ってもできない、忘れてしまう。
けど、大人にもそう言うことってありますよね。
そこで、シートを靴の形に切り取って玄関の床に貼る。
すると、そこに合わせたいという心理は働いて、何も言わなくても揃えてしまう。
お気に入りのキャラクターを貼れば、さらに効果はアップ!
これが仕掛け学です。
他にもファイルボックスに斜めの線を引く。
ゴミ箱にバスケットゴール。
レジにソーシャルディスタンスのためのすごろく。
https://hurari19.com/archives/9426
このように、人の心理を利用した仕掛けも有効な手段です。
すでに場が整っていたり、ちょっとした工夫で楽しくなったりするような。
目で見てわかることも大切です。
時間の構造化や視覚化、やることの流れが一目で分かることは大切です!
4、まとめ(でも、怒って良い)
・・・いかがだったでしょうか?
怒ることはファイナルウェポン。
その前にできることは結構あります。
「簡単には変わらない」ことも事実。
でも、味方を変えるだけで、心のあり方も変わってきます!
子どもと対立する”怒る”以外の選択肢を
たくさん持っておくとGOODなのです!(*^▽^*)
ちなみに、タノは怒らない先生かというと、
人権に反する・法律に違反する・3回言ってもけじめをつけられない時
は、猶予なしで激怒りしていました。
そこで、”怒らない”と伝わらないので。
”ほめる”時の笑顔と同じくらい、
怒ってる・それは悪いことだと、”怒り”を伝えることも大切だと思っています。
ここまで、”怒らない”ための手段を書きましたが、
”怒る”ことは悪いことではないので、
”ここは怒る”という線引きがぶれないことが大切かなと思います!
「人の邪魔したらアウト!」
「それは人としてダメです」とかですね!
怒る以外の選択肢をもって、
怒った自分を責めずに、
必要な時に怒って、子どもたちに向き合えたら良いと思います!
今回はここまで!
読んでくださってありがとうございます💡
タノ🦒でした!またね!