2022年7月の参議院選挙前におさらいしておきたい立法の基礎
犯罪を裁くためには、一定のルールが必要だということは理解できるだろう。
学生時代に三権分立という言葉を習ったことがあると思うが、あなたはきちんと説明できるだろうか。
三権分立とは、国の権力を3つにわける仕組みのことをいう。
立法権
行政権
司法権
3つとは上記に書いたとおりで、これは、国の権力が1つの機関に集中すると濫用される恐れがあるため、3つの権力が互いに抑制し、均衡を保つことを目的としている。
つまり、3つの権力が互いに抑制し、均衡を保つことで権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障しようとする考え方である。
具体的には、立法権は国会にあり、行政権は内閣にあり、司法権は裁判所にある。
立法権を持つ国会には、内閣不信任決議、内閣総理大臣の指名を行うことができる一方で、行政権を持つ内閣は、衆議院の解散、国会の招集、国会に対する連帯責任を問えるといった具合だ。
今回は2022年7月に行われる国会議員を決める参議院選挙前に、立法権を持つ国会について考えてみよう。
立法権を持つ国会の重要性
国会の地位は、全国民を代表する選挙された議員により組織されており、国民の代表機関であるといえる。
こうした背景から国会については、憲法では国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関であると定められている。
つまり、法律は国会でのみ定めることができるというわけだ。
それに伴い、国会は衆議院と参議院の2つの議院から構成されている。
これを二院制と呼ぶわけだが、大きく3つの利点があるといわれている。
国民の様々な意見をより広く反映させることができる
2つの議院が審議することで重要な決定を慎重に行える
1つの議院の行き過ぎを抑えたり、足りないところを補うことができる
こうして、二院制によって国会が開かれるわけだが、活動する期間を会期という。
毎年1月から、常会(通常国会)が開かれ、必要に応じて、臨時会(臨時国会)や特別会(特別国会)も開かれる。
他にも、衆議院の解散中、国に緊急の問題が起こった場合に参議院だけで集まる参議院の緊急集会もある。
法律ができるまでのフロー
こうして国会で法律がつくられていくわけだが、そのフローについては下記のとおりだ。
まず、法律案(法案)の作成、提出がされるわけだが、法律の基となる法律案を提出できるのは、国会議員(衆議院議員、参議院議員、両院の委員会等)と内閣だけだ。
そして、法律案の作成に当たっては、政策を実現する手段として法律をつくることが適当か、憲法に適合しているか、他の法制度と調和がとれるかなど、多角的に検討される。
その後、法律独特の様式や用語を用いて条文の形式で作成されるという流れだ。
つくられた法律案は、国会の会期中に提出することができる。
国会議員が法律案を提出する場合は自身の所属する議院の議長に、内閣が法律案を提出する場合は内閣総理大臣から衆議院または参議院どちらか一方の議院の議長に提出する。
次に、国会審議となるのだが、国会の審議は、最初に法律案が提出された議院から始まる。
法律案を受け取った議長は、まず、その内容にふさわしい委員会を選んで法律案の審査を担当させ、これを付託という。
委員会は、法律案について詳しく専門的に審査した後、採決を行い委員会として結論を出すのである。
委員会の審査が終わった法律案は、本会議で審議される。
本会議では、委員会での審査結果を踏まえ、議員全員で採決を行い、議院としての最終的な意思を決定する。
最初の議院の審議が終わった法律案は、もう一方の議院に送られ、同じように委員会の審査、本会議の審議が行われる。
このように、法律案は、衆議院と参議院の両院で別々に審議され、原則として両院の意思(議決)が一致すると法律として成立するというわけだ。
そして、法律案は、審議の過程で修正されたり、否決されたりすることも当然ある。
また、常に両院の意思が一致するとは限らず、憲法では、衆議院の出席議員の3分の2以上の多数による再議決や両院協議会の制度を定めているということも併せて覚えておくといいだろう。
晴れて成立した法律は、天皇によって公布され、官報に掲載され国民に知らされる。
法律が実際の社会で運用が始まることを施行というが、通常は国民への周知の観点から公布後一定期間をおいて施行されている。
今さら聞けない法律の体系とは?
まず、日本の法体系は、憲法を頂点としたピラミッド型で制定されていることは確実に押さえておきたい。
つまり、全ての法律は、憲法に違反することはできず、憲法の基本は国を縛るものなので、憲法上の権利を侵害する立法行為や行政対応は許されないということだ。
そして、法律の体系のうち、その規律対象(Who = 誰)を区分する機能を持つもので、法律学上、公法と私法という区分が存在する。
公法:国や公共団体等の公的機関と私人(個人や企業等)を規律する法律
私法:私人と私人との関係を規律する法律
公法の例は、憲法や租税法等の行政関連法などであり、私法の例は、民法、商法、会社法などが挙げられる。
視点としては、公的機関と私人を規律するのか、私人と私人を規律するのかという点である。
次に、法律体系のうち、実体法と手続法という区分がある。
実体法:法律関係それ自体の内容を定める法律
手続法:実体法が定める法律関係を実現するための手続を定める法律
実体法の例は、民法、商法、刑法等などであり、手続法の例は、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政不服審査法、行政事件訴訟法などが挙げられる。
わかりやすくいうと、お金の貸し借りの場面で揉めたときを想定して欲しい。
お金を返してくれという権利が生じる要件を定めたものが実体法で、そのお金を返してくれという権利を実現するための手続(裁判等)について定めたものが手続法ということだ。
さらに法律には、一般法と特別法という区分がある。
一般法:ある法領域においてより広い規定をしているもの
特別法:一般法と同一の法領域内の一部について一般法が規定していない事項や一般法と異なる事項を規定しているもの
ここは少々ややこしいのだが、上述した私法の例でいうと、民法が私人と私人を規律する最も大きな法律(一般法)である。
ただし、私人と私人を規律する法律でも、私人が株式会社の場合には、会社法の定めで特別な手続(取締役会の承認等)が必要となる場合がある。
このことから、民法と会社法の関係が、一般法と特別法の関係にあるという代表例だとされている。
他にも、一般法と特別法の関係でいうと、民法と借地借家法、民法と商法、民法と消費者契約法、民法と労働契約法律といったあたりが挙げられる。
なによりも重要なことは、特別法は一般法を破るということだ。
つまり、特別法は政策性の観点から別の規定を置いたものなので、そのより狭い領域については、特別法の適用が優先するというわけだ。
まとめ
2022年7月に行われる参議院選挙の結果がどうなるか、もちろん蓋を開けてみないとわからないが、今までとは少し違った角度からの立候補者がいることから、盛り上がりが期待されている。
このあたりのやり方については賛否両論あることについては理解するが、国民が選挙に関心を持つことはいいことであることは事実だろう。
特に若者たちが自分たちにはなにもできないと思っている部分を少しずつでも変えていかなければ、なにも変わることはないし、閉塞感が漂う日本であることがいいという人はいないだろう。
広島県にも安芸高田市という市があり、石丸伸二市長は39歳と政治の世界では若い市長として、度々炎上ネタになっている。
個人的には、おおよそ至極真っ当なことを主張するだけでなく、実行力もある市長なので応援もしているし、地元の広島ということもあり、なにかしら機会があれば絡んでみたい人の1人だ。
とはいえ、石丸伸二市長も39歳なので、決して若くはない。
彼が若いといわれていたことが懐かしいといえるような政治の世界、エリアが増えていくことを期待しているし、そういう方向に私も動いていこうと思っている。
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