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一昔前にバズった般若心経の現代語訳とは?

五蘊皆空(ごうんかいくう)
→ 人間界の現象、存在は実体などなく全てのものは空であるという仏教の言葉。

こういった人生を悟ったような言い回しの四字熟語にときどき出くわす。

そういった言葉のほどんどは四字熟語という特性が故に仏教の言葉だ。

聞き慣れない、五蘊(ごうん)には初めて出会ったが、人の体と精神を構成する5つの要素のことを指すそうだ。

全ての物質をいう「色」、感覚をいう「受」、心の中に浮かぶ像をいう「想」、欲求をいう「行」、意識をいう「識」の5つで出典は般若心経だという。

私は無宗教なので、まあそんな考え方もあるよねくらいの感覚なのだが、般若心経という言葉にもちょくちょく出くわす。

ということで、よく理解していない般若心経について、調べてみることにした。

今さら聞けない般若心経ってなぁに?

仏教にはいくつものお経があるが、そのうち日本人にもっとも知られているのが、おそらく般若心経だろう。

それでは、そもそもの根本にある、お経とはなんなのだろうか。

簡単に説明すると、お経とは、お釈迦様の教えをまとめた経典のことを意味していて、般若心経もその中の1つだという位置づけになる。

そんな般若心経は、正しくは、般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみったしんぎょう)という。

般若波羅蜜多について説く経典は多くあり、それらを総称して般若経典と呼ぶ。

般若経典は紀元前後に作られ始め、12世紀頃まで作られていた。

少しややこしいのでまとめていくが、まず、お経というものが最上位にあって経典と同義だと思えばいい。

般若心経はその中の1つで、般若経典の神髄を短くまとめたとする経典を指す。

原書は、西遊記に出てくる三蔵法師として有名な玄奘(げんじょう)がインドから中国に持ち帰った、大般若経だとされている。

三蔵法師はサンスクリット語で書かれていた大般若心経を漢語に訳し、600巻ほどにしたためた。

そして、その600巻のエッセンスをわずか300字弱で表現しているのが般若心経だ。

つまり、般若心経には、仏教の真髄となる教えが、たった300文字程度で凝縮されているというわけだ。

般若心経が書かれた起源

実は般若心経がいつどこで書かれたのかは、明確になっていない。

インドで観音信仰が広がり、仏教が密教化していった5〜6世紀頃に書かれたと推測されている。

4〜5世紀に生きた鳩摩羅什によるとされる漢訳本があるため、もっとはやい時期に成立していたと思われていた。

けれども、最近の研究で羅什訳は後の時代の偽作の可能性が強く、般若心経の成立が確実に確認できるのは7世紀初頭頃になってからだとするのが通説となっている。

般若心経には、玄奘訳のように観音菩薩の説法に当たる本文だけからなる、小本と、本文の前後に物語の基本的な設定に当たる序文やエピローグを含んだ、大本の2つの系列がある。

歴史的には、最初に般若経典から神髄だけを抽出した、小本が作られて、後に経典として体裁の整った大本が作られたとされている。

般若心経を唱える意味

般若心経を含め、お経を唱えることは先祖供養に繋がると考えられている。

般若心経を葬儀や法要の際に聞いたことがあるという人もいるかと思うが、仏教では、輪廻転生すると考えられている。

輪廻転生とは、人が何度も生死をくり返し、新しい生命に生まれ変わることを意味している。

つまり、輪廻転生をした亡くなった人は幼い子供と同じ存在となる。

そのため、亡くなった人に、お経を唱え栄養を与えるという考え方をするわけだ。

また、僧侶がお釈迦様の説いた教えを葬儀の場で伝えるということも、般若心経を唱える意味の1つだとされているし、生きている人を力づけるという意味もある。

なお、般若心経の正式名称は、般若波羅蜜多心経だということは上述したとおりだが、分解すると、それぞれ次のような意味になる。

  • 般若(はんにゃ):智慧(ちえ)、真実や本質を見抜く力

  • 波羅蜜多(はらみた):彼岸(悟りの境地)にいたる

  • 心経(しんぎょう):大切な教え

要するに、般若心経は、真実や本質を見抜く力によって悟りの境地にいたるための大切な教えという意味を持っているのである。

この大切な教えとして、空の思想に基づいて、現世の苦しみから解放されて安らかに生きていくためにはどうしたら良いかを般若心経の中で伝えている。

空(くう)の思想とは?

空とは、実態のないことを指している。

これだけ聞いてもピンとこないと思うので、例を挙げるとすると、猫がいないという場合を想定して欲しい。

猫がいないといわれたら、家の中から猫がいなくなったとか、いつもいる場所に猫がいないとか、猫がどこにいないかが問題なわけだ。

けれども、空というのは、猫という概念そのものがない考え方のことをいう。

つまり、あらゆるものは存在しているように見えるが、実は神も世界も肉体も言語すらも実在していないというのが、空の思想なのである。

くり返しになるが、空(くう)は、からっぽという意味ではなく、実体がない、定まった形がないことを意味している。

般若心経では、全ての物事は変化し続け、そして変化し続けるが物事の本質は変わらず存在するということを伝えているのだ。

歳を重ねて老いて外見や様々な能力が低下したとしても、周囲からどう評価されようとも、良い気分または良くない気分だろうとも、私は私という考え方だ。

変化という現象に捉われず、本質に気付きなさいという教えである。

それから、物事に執着したり、1つの価値観に捉われてしまう必要はないということも教えている。

例えるなら、ダイヤモンドが美しいと思うのは、ダイヤモンドが初めから美しいのではなく、人間が勝手に美しいと決めているだけでだという考え方だ。

もっというならば、その美しいと感じる心の動きも人それぞれで、定まった評価があるわけでもないということだ。

一昔前にバズった般若心経の現代語訳

とまあ、般若心経について、講釈をたれてきたわけだが、原文と解説を知りたいのであれば、ググればいくらでも出てくるので、興味のある人はググってほしい。

興味を持ってもらうためには、わかりやすい現代語訳が必要だ。

ということで、2010年9月、ニコニコ動画に投稿された動画、初音ミクアレンジの般若心経ロックへのコメントでバズった、般若心経の現代語訳がある。

この世は空しいモンだ、痛みも悲しみも最初から空っぽなのさ。
この世は変わり行くモンだ。
苦を楽に変える事だってできる。
揺らぐ心にこだわっちゃダメさ。
それが「無」ってやつさ。
生きてりゃ色々あるさ。
辛いモノを見ないようにするのは難しい。
でも、そんなもんその場に置いていけよ。

とまあ、簡単にまとめるとこうなるわけだが、せっかくなので、般若心経の全文を若者言葉風にアレンジした全文も載せておこう。

超スゲェ楽になれる方法を知りたいか?
誰でも幸せに生きる方法のヒントだ。
もっと力を抜いて楽になるんだ。
苦しみも辛さも全てはいい加減な幻さ、安心しろよ。
この世は空しいモンだ。
痛みも悲しみも最初から空っぽなのさ。
この世は変わり行くモンだ。
苦を楽に変える事だってできる。
汚れることもありゃ背負い込むことだってある。
だから抱え込んだモンを捨てちまうこともできるはずだ。
この世がどれだけいい加減か分かったか?
苦しみとか病とか、そんなモンにこだわるなよ。
見えてるものにこだわるな。
聞こえるものにしがみつくな。
味や香りなんて人それぞれだろ?
なんのアテにもなりゃしない。
揺らぐ心にこだわっちゃダメさ。
それが「無」ってやつさ。
生きてりゃ、いろいろあるさ。
辛いモノを見ないようにするのは難しい。
でも、そんなもんその場に置いていけよ。
先のことは誰にも見えねぇ。
無理して照らそうとしなくていいのさ。
見えない事を愉しめばいいだろ。
それが生きてる実感ってヤツなんだよ。
正しく生きるのは確かに難しいかもな。
でも、明るく生きるのは誰にだってできるんだよ。
菩薩として生きるコツがあるんだ、苦しんで生きる必要なんてねぇよ。
愉しんで生きる菩薩になれよ。
全く恐れを知らなくなったらロクな事にならねぇけどな。
適度な恐怖だって生きていくのに役立つモンさ。
勘違いするなよ。
非情になれって言ってるんじゃねぇ。
夢や空想や慈悲の心を忘れるな。
それができりゃ涅槃(ねはん)はどこにだってある。
生き方はなにも変わらねぇ、ただ受け止め方が変わるのさ。
心の余裕を持てば誰でもブッダになれるんだぜ。
この般若を覚えとけ。
短い言葉だ。
意味なんて知らなくていい、細けぇことはいいんだよ。
苦しみが小さくなったらそれで上等だろ。
嘘もデタラメも全て認めちまえば苦しみは無くなる、そういうモンなのさ。
今までの前置きは全部忘れても良いぜ。
でも、これだけは覚えとけ。
気が向いたら呟いてみろ。
心の中で唱えるだけでもいいんだぜ。
いいか、耳かっぽじってよく聞けよ?
「唱えよ、心は消え、魂は静まり、全ては此処にあり、全てを越えたものなり」
「悟りはそのとき叶うだろう」
「全てはこの真言に成就する」
心配すんな。
大丈夫だ。

まとめ

般若心経に興味がなかった人も、若者たちにも伝わりやすく現代語訳した部分を見てもらえたら、なんとなく勇気がもらえたのではないだろうか。

私も全く般若心経など興味がなかったのだが、とある人からこの現代語訳を教えてもらい、つい共有したくなった次第だ。


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