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マーケティングに欠かせないWebサイトのABテストの極意

金城鉄壁(きんじょうてっぺき)
→ 非常に堅固で、付け込むすきがないこと。

非常に堅固で付け込むすきがないとしても、それはその瞬間であって、それがずっと続くことはない。

盛者必衰という言葉があるとおり、継続させていくためには仕掛けを怠ってはいけない。

それをマーケティングとかブランディングというわけだが、ABテストというものがある。

ABテストとは、WebマーケティングにおけるCRO(コンバージョン率を最適化)手法の1つのことをいう。

現在表示されている、あるいは今から表示しようとしている情報をAパターン、その情報に変更を加えたものをBパータンとして、どちらの方が見た人に刺さるかをテストするというものだ。

簡単にいうと、Webサイトを2つ用意して、どっちがアクセスを集めるかをテストするというイメージだ。

このABテストは様々なところで取り入れられて、マーケティングにおいては非常に重要な要素だ。

マーケティングのデジタル活用

今の時代にデジタルマーケティングは欠かせない。

デジタルマーケティングの意味も広義なのでピンポイントで定義することは難しい。

  • 顧客満足度を高めた上でデジタル技術を活用して売れる仕組みをつくること

  • 消費者がサービスや商品を購入するに至るまでに企業が行う取り組みにデータを掛け合わせること

  • 消費者の行動をデータとして蓄積し活用することでマーケティングを高度化させること

  • デジタルメディアを活用したマーケティング活動全般のこと

  • 多種多様なメディア、チャネル、デジタル技術を有効に組み合わせ、最適なマーケティング成果を獲得すること

こう書いてもなかなか理解できないと思うので、もう少し砕いて説明しよう。

インターネットが普及し、1人1台スマホを持つ時代になった。

消費者は商品やサービスを購入する前に口コミやECサイトをチェックし、時間をかけて吟味するようになった。

また、実際の店舗に足を運び商品を確かめたり、口コミなどを参考にしながら、ECサイトで購入するケースも増えている。

つまり、消費行動が多様化しているので、店頭での販促やマス広告による宣伝やPRだけでは、消費に繋がらないようになってきた。

そこで登場したのが、オムニチャネルという考え方だ。

オムニチャネルは、従来のリアルとWebで分かれていた戦略、サービスを見直し、どのチャネルでも顧客に最適なサービスの提供とコミュニケーションを行っていく手法だ。

マス広告や実店舗での販売データだけではなく、インターネット広告やメールでのアプローチ、SNSを活用したマーケティングなど、デジタルツールをフル活用する。

こうして顧客との接点を作っていくのが、オムニチャネルだ。

デジタルマーケティングでは、オムニチャネルを通じた宣伝やPRだけではなく、同時に収集される膨大な消費者の行動データも蓄積される。

この蓄積されたデータの活用や分析も行っていく。

そのため、アナログ時代のマーケティング手法では見えてこなかった顧客の本音や興味関心の方向性、購買行動がより高い精度で把握できるようになっている。

こうして、あらゆるタイプの顧客に対して戦略的にマーケティングをすることが可能となるというわけだ。

WebサイトのABテスト

そんなデジタルマーケティングの一環として行われるのが、WebサイトのABテストだ。

改めてABテストを解説すると、同じ期間に2パターン以上のWebページを用意し、ユーザごとにランダムで出し分け、どちらが良い結果を残すかデータで比較検証する手法だ。

複数のWebページ案があり、そのどちらを採用するのか良し悪しに迷いがある場合に用いる。

そのメリットは、同期間でユーザの反応を比較できるため、外部条件を揃えやすいという点が挙げられる。

外部条件とはコントロールできない外部要因のことで、ABテストを行った場合、季節変動やユーザ属性を気にしなくてWebサイトを表示できるということだ。

最大の特徴は、テスト結果が数値で明確に出ることであり、複数案に対して白黒はっきりと決着がつけられることだろう。

定量的に明確な答えが出るという気持ち良さから、好んでABテストをする企業は多い。

ABテストに隠された罠

このABテストには、実は隠された罠がある。

それは、ほとんど差が出ないという結果である。

変数をできる限り減らし白黒つけようとすると、このジレンマに陥る。

例えば、ボタンのカラーを青と緑で比較したり、ファーストビューのテキストを少し変えたり、コンテンツの並びを替えたりといったディテールにこだわりすぎたテストを実施してしまう。

くり返しになるが、ここまで細部の部分までABテストをしてしまうと、結果にほとんど差が出ないということに繋がる。

もはや差がないのに、そこに対してなんらかの検証結果をそれっぽく入れて実行してしまうと、前のWebサイトの方がコンバージョンが高かったとなったりするわけだ。

ABテストに僅差で勝ったとしても、ビジネスインパクトはほとんどないということを見落としているのである。

ABテストを行う上での3つの極意

こういったABテストの隠された罠に陥らないようにするために重要な3つのポイントを挙げておこう。

それは、ABテストで数字の変化を見たいのであれば、ページ上部のゴールか導線を大きく変えるということだ。

最も重要なのは、ABテストで大きく数字を動かしたいのであれば、Webページ上部に手を加えることに尽きる。

ここで大切なのは、Webページの下部に変化を入れたとしてもほとんど数字に変化はないということだ。

考えれば当たり前なのだが、ページの下部へスクロールすればするほど、ユーザは流し読みになることは理解できるだろう。

そもそも最初に掴めなければ最後まで見る人などいないということである。

次に重要なのは、ゴールの設定だ。

BtoBのWebサイトであればお問い合わせ、ECサイトなら購入といった具合いにWebページのCV(コンバージョン)、つまり最終的な成果地点のことだ。

このゴールへの障壁が低ければ低いほど、ゴール到達数は増えるということを理解する必要がある。

例えば、資料請求というゴールは、お問い合わせというゴールよりも、2~3倍はたどり着きやすいというデータが出ている。

これは、お問い合わせは自分から聞きたいことがなければ入らないフォームに対して、資料請求は特に聞きたいことがなくても、取りあえずの情報収集として入るフォームだからである。

最後に意識しないといけないのは導線だ。

この導線というのは、特定のページにたどり着くまでのステップ数を指している。

ゴールに到達するまでのページ数を3ページから1ページまで減らせば、途中離脱していた割合の一部は確実に改善する。

例えば、複雑な階層構造のWebサイト、フォームの記入ステップが多いWebサイト、トップページ上部に大きな画像しかなくて振り分けが弱いサイトなどは、導線のショートカットによって改善が見込めるということだ。

ディテールまでこだわったABテストをする前に、この3つのポイントに意識を集中させてWebサイトを複数準備することを徹底した方がいい。

ABテストの比較方法

一定の期間行うABテストだが、その結果の数字が必ずしもダイレクトに反映されていると決めつけない方がいいという点も留意したい。

どちらかが上手くいっても機会損失の場面もあるし、なにかしらの偏りが出る可能性も否定できないという限界がある点だ。

そこで比較方法として注目されているのが、前後比較という手法だ。

前後比較とは、既存ページから新ページ案に切り替えてしまい、前後期間のデータで勝ち負けを比較する手法である。

成果が出るか横ばいなら、そのまま新しいページを維持すればいいし、数字が落ちたのなら元のページに戻せばいいということだ。

検証期間の機会損失を抑えることができ、成果を最大化できるというわけだ。

まとめ

ABテストはマーケティングにおいては欠かせない手法だ。

けれども、一定の期間、ディテールまでこだわったABテストを行うということは返って成果を下げる可能性があることを述べだ。

是非、新しいプロジェクトを始める際には参考にして欲しい。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。