世の中に、一つでも多くのコミュニティを創り出すために、スタジアムのCTOに就きました
こんにちは、株式会社スタジアム 取締役CTO の 小林 一樹です。
2016年8月1日、CTOと主夫を両立するエンジニアが名古屋で創業するまでを書いてから、6年半経過しました。
この間、株式会社スタメンのCTOに就任してから、エンジニア、プロダクトマネージャー、デザイナーが在籍するプロダクト部門を立ち上げ、いくつかのプロダクトを役割を変えながらリリースし、事業と組織が成長しながらみんなで売上を伸ばし、2020年12月には東証マザーズに4年半で上場することができました。
そして現在、株式会社スタメンの取締役を任期満了で退任し、2023年1月に設立された株式会社スタジアムの取締役CTOとして、再びスタートアップの現場に戻っています。
今回の投稿では、スタメンのCTOを引き継ぎ、スタジアムのCTOに就任するまでの経緯と、スタジアムでの仕事についてご紹介させてください。
スタメンCTOのバトンを渡すまで
創業時の経緯もあって、社長の加藤には当初より部門の立ち上げ後にCTOを引き継ぐまでを目標にすると伝えていました。
ちょうど、スタメンの創業が40歳の年でしたので、5年後の45歳までには引き継ぎが完了している。そんなイメージでした。
創業時からCTOを引き継ぐことを念頭に入れている人も珍しいかと思いますが、家庭の都合だけでなく、組織のボトルネックが自分にならないように、自分より優秀な人を採用して託したいという思いもありました。
2016-2018年はとにかくプロダクトと開発部門を作ることを優先し、2019年からは開発部門の拡大に伴いマネージャーの育成とチームの組成に注力していました。
2020年の3月には現任の松谷にCTOを交代し、私はVPoEとしてエンジニア、プロダクトマネージャー、デザイナーを含めたチームの運営に注力することにしました。
CTOの交代は、松谷が受賞した AWS summit Tokyo - Startup Architecture Of The Year 2019 の副賞として、2019年末に訪問した AWS re:Invent (ラスベガス)で伝えました。未経験で学生インターンから始めた松谷が、どんどん成長していくのは頼もしかったし、二人で行ったラスベガスは、非常に良い思い出になりました。
CTO交代の経緯や思いは、【創業CTO×現在のCTOの対談】CTOのあるべき姿を語る!創業4年目のITベンチャー企業がCTOの世代交代を決断したワケも 参考にしていただけましたら幸いです。
そして、2022年1月から開発部門をまるごと松谷さんに委譲し、企画部門は現TUNAGのプロダクトオーナーの二階堂さんに委譲して、当初の5年という予定は少し超えましたが、無事CTOとプロダクト部門の責任者を交代することができました。
下記が私のGithub の 活動履歴 ですが、engineer → engineer manager → VPoE + product manager → engineer という遷移がよくわかります
この間、エンジニアとして2つ、プロダクトマネージャーとして2つのサービスを立ち上げ、そのうちひとつが 現在関わっている FANTS になります。
理想のマネージャー像
CTOの松谷をはじめ、スタメン(グループ)のエンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャーのみんなは、優秀で、熱意があり、チームやプロダクトへの思いも強く、何より一緒に仕事して楽しい「いいヤツ」です。現在の姿は、2016年の創業時には想像すらできなかった良いチームだと思います。きっかけの一人として誇りに思うし、何より集まってくれた皆さんにとても感謝しています。
これまでいろんな会社とチームでマネージャーとして仕事をする中で、優秀な人が「一騎当千」の活躍で、非連続な成果を出すのを目の当たりにしてきました。
そういった中で、私は「自分が頑張るより、優秀なチームを作り、チームで目標に向かった方がずっと大きな成果がでる」と思うようになり、マネジメントの意義や価値・効果を体験して今に至ります。
30代の頃、私のマネージャーしてのイメージは「触媒」でした。化学反応の触媒のように、少量だけどうまくチームに関与することで、メンバー間の連携の効果を大きく増加させられるような存在。料理で言う塩や胡椒のような、主役を活かすために無くてはならない存在です。
ここ数年のイメージは「演出家」です。経営理念や事業理念に向けて、大枠の「あらすじ」を描いて事業やチームのミッションを定め、優秀で個性的な役者でチームを作り、舞台は演者であるチームメンバーに任せて、私は特等席の舞台袖で眺めている。
ぞれぞれのメンバーが個性を活かしてイキイキと動き、チームとして相互連携しながら、当初のあらすじの想像を超えて、良い仕事をしてくれるのを見ているのは楽しいです。
組織や事業の方向性を定めて、それに共感する強いチームを作り、仲間を信じてお任せし、私は必要に応じて微調整する。こういったマネジメントの奥深さと影響力に、CTO / VPoEとしての醍醐味を感じ、自分がボトルネックにならないこと、成長する人たちの芽を会社・上司が詰まないことを意識するようになり、私自身のマネジメントスタイルとなっていきました。
次のミッションは何だ?
私のようタイプのマネージャーには「信頼できる仲間に委ねた後に自分は何をするか」という大きな問題があります。
2022年春、開発・企画部門の部長を交代した後の空いた時間で、私は社内の1on1コーチ(鼎談)と、新規事業の漏洩チェッカーのWindowsクライアントの開発を一人でコツコツ行っていました。
鼎談をしているとみんなの成長やキャリアについて話題にすることも多く、自分について考えるきっかけになります。
また、Windows での C# による .NETアプリ開発は、はじめての経験で新鮮味もありましたが、久々に開発にどっぷり浸かる毎日の中、これまでの20年近くを振り返ったり、次のミッション、キャリアについてたくさん考えました。
当時の思いをまとめると下記のようなことになります。
45歳であっても仕事人生はまだ半分! 残りの仕事人生を消化試合にしたくない。
これまでの経歴は過去。残り半分でも自分のトラックレコードを超えていきたい。
久々に開発をガッツリやってみて、やっぱり開発現場は楽しいなー。
演出家も良いけど、そろそろ開発の現場に戻りたいなー。
エンジニアである限り、技術的なキャッチアップを適宜しないと老害になる。開発から遠のいている間、世の中の進歩から遅れちゃったなー。
経営、組織、事業、開発のそれぞれで、スタメン創業期の成功と失敗を、別の組織で改善したらもっとうまく行かないか。
現CTOの松谷が組織や技術を強い意思を持って変える中で、前任の小林がいるのはやりづらいなぁ。
正直に書くと、2022年の夏頃には、当時の代表の加藤に2023年3月の株主総会で取締役を退任する意向を伝えていました。
在任中は現在の仕事にコミットし、次のキャリアをどうするかは退任後に決めようと考えていましたが、普段いろんな会社から相談される中で、他社の経営者の方から誘っていただくことが何度かありました。
ところが、ありがたく誘っていただいてもワクワクせずにどこか冷めてる。逆に、スタメンという会社・プロダクト・役員や社員といった仲間たちへ愛着を感じている自分に気づき戸惑う。そんな2022年の夏から秋だったかと思います。
そんなとき、2022年10月、突然森山にランチに誘われ、FANTS事業部を分社化すること、小林に経営メンバーとして参加して欲しいことを相談されます。
特に、森山がFANTSのお客様であるジュビロ磐田様を訪問した際、ヤマハスタジアムを歩きながらスタジアムの高揚感やそこで生まれる様々なドラマを想像し、そんな会社にしたいという思いから「株式会社スタジアム」という社名にしたと聞いたとき、熱意を持って語る森山を前に、想定外にワクワクしている自分に驚きました。
森山をはじめとする愛着あるスタメンの仲間たちが、スタジアムという新しい挑戦の場を得てスタートしようとしている。事業も組織もこれからのスタジアムでは、これまでゼロから組織や事業を作ってきた小林の経験が活かせるし、強く求めてくれている。
新しいチャレンジとして、スタジアムを選ぶのが、スタジアムのみんなにも、スタメングループにも良いのではないか。こう考えて、スタジアムの取締役CTOに就任し、次のミッションにすることにしました。
株式会社スタジアムでのミッション
株式会社スタジアムは、2023年4月1日時点で、役員2名と社員9名の合計11名の小さな会社です。役員は代表の森山と小林の二人、経営企画部長の内ヶ島を加えて3人で経営チームを作っています。開発チームは、私を含めて4人で、モバイルとWebアプリケーションとその基盤を運営しながら、新規開発をしています。
会社設立して三ヶ月で、事業も組織も成長はしているけど完成までは程遠い。まさにスタートアップで、毎日いろんなことが起き、あっという間に一週間が終わる日々です。
この時期のスタートアップでは、明確な仕事の境界線は無く、お互いに各自の役割を意識しながらも、気づいたことを話し、問題に対処し、一つ一つ事業を成長させていく必要があります。
代表の森山のパートナーとして、開発チームのマネージャーとして、4人のエンジニアの一人として、若い社員のメンターとして、私のミッションは非常に広いのですが、逆に言えば、たくさん自分を必要としてくれていると思っています。
ちょうど創業直後に TECH KEYPERSON というメディアにインタビューしていただき、下記のようなことを書いてます。
スタジアムの経営理念は「一人でも多くの人に、感動を届け、幸せを広げる」です。
スタジアムでの仕事を通して、世の中に多くの人に感動を幸せを広げ、
お客様や社員など関わってくださったすべての人に、スタジアムという会社が存在して良かったと思っていただきたいと考えています。
そのために、取締役CTOとして、経営、技術、組織など様々な課題に愚直に取り組んで、早く大きく会社と事業を成長させることが現在の私のミッションです。
FANTSの可能性
FANTSは、オンラインコミュニティのためのプラットフォームです。芸能人が主催するオンラインサロンや、水族館やプロスポーツチームのファンクラブ、ゴルフや英会話などのオンラインスクールなど、様々なコミュニティがFANTSを通して運営されています。
私は新卒入社のヤフーで、ゲーム、チャットなどコミュニティサービスのエンジニアとしてキャリアをスタートし、グリーではSNSやソーシャルゲームを作り、エイチームでは車の口コミサイトを作っていました。
スタメンでは、企業向けの社内SNS「TUNAG」を作り、現在は、オンラインコミュニティプラットフォームであるFANTSを作っています。
こう振り返ってみると、意図したわけではありませんがキャリアの大半をコミュニティサービスに関わってきました。その間の約20年間で、インターネットでのコミュニケーションは、ますます日常となり、むしろリアルなコミュニケーションよりも、ネットでのコミュニケーションの方が多くなったとさえ思えます。
「サードプレイス」という言葉があります。自宅や職場とは違った、居心地のよい第3の居場所を意味する言葉ですが、サードプレイスがインターネット上にあっても良いと思います。
インターネットは基本オープンな場ですが、オープンゆえの課題も多く、FANTSのような会員制によるクローズドな場は、熱量の高さ、居心地の良さなどの点でコミュニティ運営に適していることも多いと感じます。
そして、サブスクリプション(継続課金)の仕組みによって、コミュニティオーナー様への支援もできます。まさに、FANTSはサードプレイスを作るための理想的なプラットフォームとも言えます。
今後、インターネット上のコミュニケーションはさらに増え、人々のコミュニティ活動もインターネット上にもっと広がっていきます。そんなニーズに対して、FANTSをもっと良いプロダクトにして、応えていきたい。
私たちは、FANTSのビジョンとして「世の中に、一つでも多くのコミュニティを創り出す。」を掲げています。
FANTSが大きくなることで、多くのコミュニティが創り出され、たくさんの人のサードプレイスとして日常的に使われる。そんな世の中を実現し、FANTSを通して多くの人に感動を届け、幸せを広げ行きたいと思います。
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スタジアムでは、エンジニア や オンラインコミュニティのプロデューサー、ディレクター、セールスやマーケティング、バックオフィス(経理)など、いろんな職種で募集中です。
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