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自分の知らない日本の世界を知った映画「My Small Land」

この映画を見るまで、恥ずかしながら出入国在留管理庁や難民認定制度って言葉を知りませんでした。

ただ少しずつ、多様化という言葉を流行りの言葉としてよく耳にしていたし、コロナ禍になるまでは実際に日本に住む外国人も増えてきている印象を持っていました。

■あらすじ  
突然、難民認定が許可されず、埼玉から出ることも仕事に就くこともできなくなった日本で暮らすクルド人の家族の話。
ただ日本で普通に過ごそうとしているだけなのに、クルド人が日本に暮らすことは罪なのか?

1人のクルド人の物語に見えて、これは日本に対する映画であると思う。

My Small Landは日本の家庭で生まれた日本人では感じられないもう一つの日本の姿を映した映画のようだった。
日本の家庭で生まれた日本人であれば他府県への移動や、病気になった際の保険、仕事につくことなど何も制限はない。
しかし、難民認定されず仮放免の人とっては制限だらけで、破れば無期限に収容される。

映画自体はフィクションやけど、実際にこういう人たちが日本で住んでいる事実が存在することに衝撃を受けました。

多様性、多様性って口だけなのか?
ここが変だぞ日本人と思う一方、
どんな人も受け入れてしまうとテロ組織みたいな人たちまで許可してしまう可能性があるので、一概には言い切れない複雑な問題であることも考えさせられた。

サーニャの視点で見ると、日本に対する不満もありつつ、クルド人側への不満も共感できた。

通訳がわりにサーニャに依頼する人や同じクルド人だからという理由で許嫁を決められたり、いやいやいつの時代やねんって想いも感じた。

まさにサーニャにとっては生きにくい世界だと思う。

また悪意の無い、何気ない「日本語上手ですね」という言葉なども実は隠れ差別用語なんだと気付かされた。

キャストについては、
主演のクルド人でありながら、ドイツ人と嘘をつきながら高校生のチョーラク・サーリャを演じるのは嵐莉菜さん。
ご自身の母親がドイツと日本にルーツを持ち、父親がイラン、イラク、ロシアのミックスという環境のためか、俳優デビューとは思えない複雑な心情をリアル演じられていた。

そして、父・妹・弟もオーディションでキャストを選ばれている家族も実は嵐さんの実際の家族が演じていたらしい。ケンカシーンはもはや普段と同じ感覚やったらしい。
オーディションとはいえ、素晴らしいキャスティングだと思う。

特に家族4人でラーメンを食べるシーンは本当に素敵だった。
難民認定が許可されず、先が見えなくなって不満だらけの中でも、家族がそろえば困難な壁を乗り換える力を感じさせるシーンだった。

そのほか、熱い想いはありつつ、不器用で頑張れしか言えない担任の先生、難民認定が許可されない理由を全く説明できず、ただマニュアルに従う窓口など、どこか不満を感じながら、ルールの元には従うことしかできない人たちも、こういう人居る居るって共感させられた。

可哀想と思いつつも、自分の身を守るために言葉で応援するしかできない世の中。

そもそもこんな社会が存在していたことさえ、知らなかったし、おそらく同じようにまだまだ知らない人も多いと思う。

できるだけ多くの日本人に見てほしい映画だと思いました。

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