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明日この世界が終わるとしても
不確かなものに脅かされて、確かなものを疑うなんて愚かだ。
人は孤独が生み出した愛に救われて、きっとまた別の誰かを救うのだろう。
誰かの一番でいたい。何かで一番になりたいと思うよりも、それはもっとずっと強い欲のような気がする。だから人は恋をして、自分が一番でいられる場所に身を置くのだろう。
誰も一番にはせず、誰の一番にもなろうとしない彼は、いつもどこか何かを欲しているような目をしている。彼の視線の先には何があるのだろうか。誰が映っているのだろうか。知りたいと思ってしまうのは、いつかの自分とどこか類似していると感じるからだろうか。
花の写真が突然送られてきたとき、人はだいたい「綺麗だね」とか「花好きなの?」とか、ある程度の決まった返答をする。
私が何の前触れもなく「ねえ見てひまわり」って送った写真に「誰が見てもひまわり」って返ってきたから、それがどうにも可笑しくて、思わず笑ってしまった。
楽しくなって「ねえ見てカーネーション」って別の写真を送ったら「優里のMVに出てきそう」って返ってきて、あ、私この人好きだなって思った。
日曜日。彼も時間を持て余していたみたいで、LINEのメッセージに既読の文字が付きっぱなしだったから、お昼から寝る直前までずっとくだらないやり取りをした。フィギュアとソフビの違いについて話した。ソフトビニールの略称がソフビだということを初めて知った。
彼が次々とラーメンの写真を送ってくるから、てっきり好きなのかと思って、私の好きなラーメン屋の情報を共有した。そしたら、ラーメンはそれほど好きではないと言い出すから、携帯を片手に思わずまた笑ってしまった。
着飾らない人って素敵。好き。おかげでつまらない一日が、なんとなく記憶に残る良い日になった。いつか彼と分厚めのチャーシュー入りのラーメンを食べに行きたい。
深夜にどうしても観たくなったある映画。
愛し合っている男女が激しく求め合うシーンで、涙が止まらなくなった。
彼の笑顔がたまらなく好き。彼が微笑むだけで、世界中の人が幸せになれると思う。
これまでもこの先もきっと、私にとって彼以上の人はいないし、彼以上に好きになれる人には出逢えないと思う。
そんなことを考えながら眠る夜が、たまらなく、どうしようもなく愛おしかった。
話の前置きが必要ない人との会話って、何よりも楽で心地が好い。そういう人って無条件に私を甘やかしてくれるから、どうにもこうにも離れられなくなってしまうの。まるで麻薬みたい。
寂しいときに連絡をしてみたり、わがままを言ってみたり、弱音を吐いてみたり、そんなことが容易にできてしまう。不思議で、安心する。
人から理解されないことの方がはるかに多い人生だったから、自分自身を表現することに臆病になった。
言葉を発する前に一度頭の中で考えて、そのまま飲み込んでしまうことが増えていった。
人に言えないから、自分だけのノートに気持ちを書き殴って、置き場所に困った感情を落ち着かせた。
ずっと私の理解者は私だけだと、そう思いながら生きてきた。
そんな私にも理解者だと思える人が何人もできた。
頭で考える前に発した言葉を受け止めてくれる人がいて、私の観点を独特だと笑ってくれる人がいて、不安に共感して寄り添ってくれる人がいる。
私にとっての小さな幸せを、私以上に喜んでくれる人がいる。
もしも明日この世界が終わるとしても、私はきっと今日と同じように人を愛することをやめない。
大切にしたい。今日も明日も明後日も、この愛おしい日々と彼らを。
私のために、明日を生きてね。