遺書

葬儀には、自分の持っている中で一番お気に入りの服を着て、参列してください。喪服は禁止とします。

香典袋は、開けるときに楽しいので、可愛いキャラクターのポチ袋なんかにしてください。アンパンマンとかドラえもんとか。サンリオのだと、私がより喜ぶかと思います。中身は小銭だって構いません。ギザジュー100枚とかでもいいよ。見つけたとき、なんか特別な気分になるよね。

遺影に使う写真は、大学の卒業式の日、家族に囲まれながら撮ってもらったものがいいかな。今までで一番幸せそうな顔をしているので。

音楽は、アンパンマンのマーチ、もしくは童謡にしてください。私の姪っ子と甥っ子が喜ぶからね。ドラゴンボールのテーマソングなんかも入れておくといいかも。小さい子向けの曲ばかりだと「もう子どもじゃないから！」なんて言って、叱られたりするかもしれないので。

お願い。私の顔を覗くときは、どうか笑っていて。普段は恥ずかしくて言えないようなことを伝えてくれると、嬉しくなって生き返っちゃうかも。

あ、そうそう。棺桶の中には、父が買ってくれたマイメロのポシェットと、母とお揃いで買った綺麗なイヤリングを入れておいてください。姉から卒業祝いでもらったネイルチップと、妹がくれたブレスレットも入れて。部屋の棚に、姪っ子たちにもらった手紙をファイリングして置いてるから、それも忘れないでね。

他にも入れてほしいものはあるけど、それは今度また、こっそり取りに行くことにします。

式が終わったら、みんなでびっくりドンキーのハンバーグを食べよう。好きなのトッピングしていいよ。ハンバーグソースはもちろん、好きなだけかけ放題です。

でも、私の分だけは特別に、ママの作るハンバーグがいいなあ。この世で一番大好き。この世で一番美味しいの。きっと足りないと思うので、おかわりも用意するようにしてください。よろしくね、ママ。あ、いつもみたいにチーズ入れるの忘れないでね。

花はできるだけたくさん飾ってください。カスミ草とスズランは私の大好きな花なので、多めにするように。この辺はママに任せておけば安心だね。式が終わったら、それぞれ好きな花を持って帰ってください。気が向いたら、私が水をあげに行きます。

私の遺産は、みんなで好きに使ってください。私はバカだけど、極度の心配性なので、何かあったときのために貯金はしてあります。誰に相続するか記しておくのが一般的なのかもしれないけれど、私の大切な人たちならきっと大丈夫だね。上手にやってくれると思います。それで好きなもの買って、好きなもの食べて、好きに遊んでね。

私の部屋にある本で、古本屋さんを開いてくれる人を募集します。一冊ごとに読みたくなるような言葉を添えておくので、よろしくお願いします。大切にしてね。

悲しむ必要はないし、涙を流す必要もないからね。「あいついい奴やったな」とか「笑いの才能に長けてたな」とか、そのくらいでいいです。玉子焼きに添える大根おろしとか、焼きそばにかけるマヨネーズみたいな、あったらより美味しいけれど、なくても困らないくらいの感覚で、それで十分です。

お墓参りは、思い出したときに来てください。お供えは、グミがいいです。無類のグミ好きなので、基本的にどの種類でも喜びます。お気に入りはカンロのピュレリングとハリボーのグレープフルーツです。参考までに。

実はかなりの綺麗好きなので、気が向いたら、墓でも磨いておいてください。

最後に、大切な大切なお願いです。

私がいなくなった後、私の携帯の写真アプリを開いてください。その中の「宝物」というフォルダを見つけたら、あなたの大切な人たちでそれを共有してください。

私の見ていた世界を、みんなにも見てほしい。

みんなにとっての宝物にもなれば、すごくすごく嬉しいです。

もしも生まれ変わっても、私は私になりたいです。

私を愛してくれて、ありがとう。

私の大切なみんな、心から愛しています。

おやすみなさい。