裁量労働制について(後編)
こんにちは。SSKCの有路です。
先月は専門業務型裁量労働制と企画型裁量労働制についてお話しましたが、今回は引き続いて、来年2024年4月に改正となる内容についての記事となります。
どのような改正内容なのかをざっくりと知りたいという方向けです。詳しい内容や手続きについては厚生労働省HPから確認できます。
専門業務型の改正
専門業務型裁量労働制の方のみに関係する改正は以下の通りです。
・M&Aアドバイザー業務追加
以前の記事にも書きましたが、専門業務型裁量労働制は特定の業務を行っている方のみ適用可能な制度です。例えば、研究者、公認会計士、弁護士等です。
そして改正によって「銀行又は証券会社における顧客の合併及び買収に関する調査又は分析及びこれに基づく合併及び買収に関する考案及び助言の業務(いわゆるM&Aアドバイザーの業務)」が新たに追加されることになりました。
いわゆるM&Aアドバイザー、とピンとこない方もいるかもしれませんが、会社を合併や買収する際に色々サポートされる方です。
・労使協定の事項の追加
改正以降、労使協定に以下の事項を追加する必要があります。
新たに裁量労働制を結ぶ方はもちろん、継続して結ぶ方も再度労使協定をし直す必要があります。
1.労働者本人の同意を得ること
2.労働者が同意しなかった場合に不利益な取扱いをしてはならないこと
3.同意の撤回の手続きと撤回に関する記録を残しておくこと
1と2の事項は専門型にはすでに義務付けられているため、専門型にも同じように義務付けられるようになりました。この改正によって労働者が裁量労働制で不利になり辛くなったかと思います。
企画業務型の改正
企画業務型裁量労働制の方のみに関係する改正は以下の通りです。
・労使委員会の事項の追加
先ほど専門業務型の事項3の内容に加え、賃金・評価制度が変わる際に労使委員会に説明を行う必要がある旨が追加されました。
・労使委員会の開催と定期報告の頻度の改正
労使委員会の開催頻度を6か月以内ごとに1回とすること、定期報告を「決議が行われた日」から6か月以内ごとに1回から、「決議の有効期間の始期」から起算して、所感は6か月以内、その後は1年以内に1回と変更となりました。
定期報告とは、労働者が働きすぎていないか、勤務時間や健康のための措置について報告するものです。
専門業務型、企画業務型に共通する改正
・健康確保措置の強化
労働者が健康的に働き続けられるよう、実施しなければならない健康・福祉確保措置というものがあり、裁量労働制を結ぶためにはどれかを組み合わせて実施することが提案されました。
事業場の全労働者を対象として深夜労働の回数制限を設けたり労働時間の上限を設ける等の他、各個人を対象として勤務時間の長い労働者に医師の面接を受けてもらう等、労働者の健康に配慮した内容となっています。
おわりに
2023年最後の記事となりました。来年も引き続き様々なテーマでコラムを発信していきたいと思います。
それでは、よい新年をお過ごしください。
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