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【つばさ】“物”に愛しい人を重ねる

『つばさ』は第1回アカデミー賞作品賞受賞で知られる名画ですが、無声映画ということで敬遠してました。

詳細をほとんど隠すと、こんなあらすじです↓
恋のライバルである青年2人が第一次世界大戦で米軍の飛行士に志願し、やがて互いを認め、親友・名バディになる。
戦況が激化するなか、友を傷付けたくないが為にとった行動がすれ違いを招き、悲劇につながる。

蓋を開けてみれば、モノクロでサイレントで戦争映画なのに、前半部分はせつないほどにキラキラと、若い人たちの健康的な恋とか友情とか喧嘩とかふてくされとか意気込みとかが描かれていて意外でした。

中盤からは人が吹っ飛んだり、軍機が燃えながら墜落したり、どうやって撮ったんだ?と思うほどの激戦になっていくわけですが。

“物”に大事な人を重ね合わせるしかないやるせなさを強く感じます。
特に(出番は少ないですが)ゲイリー・クーパー演じるホワイト。
主役2人が写真やぬいぐるみを身につけているのを知って「おれはそんなの持たねえぜ」みたいなことを言ってたのに、彼の所持品には大事そうにお母さんのメッセージが…。

そして最後の出撃前、ジャックとのいさかいでゴタゴタしてデイビッドは大事なぬいぐるみを忘れてしまいますが、あれはデイビッドにとってジャックとの友情に勝るものはないという気持ちの表れで、ラストのジャックからデイビッドに対する「お前との友情に勝るものはない」と既に想いは相互になっていたということの表れなのかなと思いました。いや、思いたいです。

あらゆる男2人バディものや戦争映画に影響を与えたそうな。
戦争の悲しみはしっかり描かれているのだけど、決して暗い映画ではなくて、あくまで当時の娯楽大作とのこと。
監督自身が第一次世界大戦で活躍した飛行士だそうで、監督にとっては悲しい記憶もあるけど、戦績は誇りなんだろうなと。複雑ですが。
むちゃくちゃ観てよかったです。

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