向こうの朝
圧倒的に朝に弱い。
低血圧だからとか低体温だからとか夜型だからとか。
そういうのは科学的には関係ないらしいね。
毎朝自分に言ってる。
一日の中で朝は気分が一番凪いでいる。
大きな感情の揺れみたいなものが一切ない。
晴れていればそれが少しずつ少しずつ好転するけど、曇っているとまだ夜が続いているみたいで、
少しずつ少しずつ緩やかに塞ぎ込む。
少しでも自分の機嫌を取ろうと、お気に入りの紅茶を淹れてみる。
ティーカップから立ちのぼる湯気が花の匂いを連れてきて、実家の庭を思い出す。子どもに戻ったみたい。
紅茶の表面に少し残った気泡の全てに自分の寝起きの顔が映る。大人の寝起きの醜さ。
気泡の数だけ向こう側の世界があるみたいで、でも向こう側の世界でも多分わたしは冴えない顔で紅茶を啜ってて。
そちらの世界はどうだい。元気にやってるかい。
こちらは