ささがきのとら

思いついたものを思いついたように書くだけです。個人的にためていた過去の日記など。

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最近の記事

2024.9.17

死にたいな、死のうかな。と思う夜は 何度だって来る。 その度に自ら死んでった「友人」たちを思い出す。 人はなぜ、死んだだけで途端にその人を身近に思うのだろう。 自分より弱かったか? 自分より幼かったか? 自分の中の無を相手にも見出すからか? やだな、私は。 仲良くもなかった、私の何を知ってるんだ?と思うような他人から勝手に「友人」ヅラされるのは。 だから死ぬのはやめておこう。 とりあえずこのやり場のない何かを便器に吐き出して、静かに眠ろう。 死にたい夜の次にも、朝は来

    • 2024.7.6

      早朝の電車は夜と朝が入り乱れている。 徹夜明けと思われる酒臭さとタバコ臭さに つけたての香水や整髪料の匂いが混ざって吐き気がする。 徹夜明けと思われるミニスカートの女が、今にも吐きそうな体勢で屈んでいる。 頼りなさげに地面から生える2本の白くて太い足が水死体みたいだった

      • 2023.5.24

        友人がハワイで 「親族のみのささやかな式」を挙げている頃、 私は新宿の商業ビルのトイレの個室で、 行きたくもない飲み会の時間まで、暇を潰している 特に仕事もないくせに、別件があるなどと嘘をつき あたかも忙しい中参加しました感を演出する この30分にかけたプライドなどドブに捨ててしまえ 今日はあまり体調が良くない それもあって歩き回ることにも疲れてしまった 人が溢れるこの新宿で唯一のサンクチュアリは トイレの個室だ 今頃彼女は、高学歴高収入高身長の旦那と、 青空の下で晴

        • 2023.1.-

          朝5時に目が覚めた。 冬の5時はまだあまりに夜だ。 スマホの画面から漏れる光が強烈で 鈍い頭痛を覚える。 目が覚めてスッキリ晴れやかな気持ちになるのは いつが最後だっただろう。 今日も体の節々が痛むような、内臓が痛むような とにかくあらゆる不快感を感じて私は寝返りを打つ。 脳が揺れて、めまいがした。 今日は祝日。仕事もない。 もう一度寝たいのに、なんとも言えない不快感が邪魔をするのは、妙に熱い電気毛布のせいか。 はたまた日頃の行いか。 目を閉じると自分の鼓動が煩い。

          2022.9.23

          朝の散歩は好きだ。 空気が澄んでいて気持ちがいいし、 なんだか体にいいことをしている気がする。 住宅街を歩くと、人の気配がして安心する。 誰かの咳払いや、朝ご飯の匂い。 古いアパートを見て、四畳半の暮らしに少し憧れたり。 一軒家の庭先の花を勝手に愛でる。 オフィスビルの社名だけを見て、どんな会社か想像したり、道端の祠を見て何の神様か調べたりする。 野良猫がこちらを見てニャアと鳴くので、遠巻きにじっと見つめる。動物は苦手だけど、眺めるだけならちゃんとほっこりする。 電柱に

          悪い子

          不良への憧れみたいなものがずっとある。 約30年間、私はずっと悪い子になりたい。 不良とは縁遠い人生を歩んできた。 いつだって優等生だった。 今日は無性にタバコが吸ってみたくなったけど、 喘息のことや、中毒性のことばかり考えてしまって結局手ぶらで家に帰る。 タトゥーもピアスも痛いから結局していない。 ギャンブルも損が怖くてやったことがない。 不良はえらい。自分の痛みを自分で決められる。 安全に舗装された道しか歩けない私の方が、人間としてよっぽど不良な気がした。

          2022.8.3

          最近年上の人と話す時、大概「昔はこんなに暑くなかったですよねえ」という話になる。 そうするとほとんどの人は「そうだよねえ、昔の方が過ごしやすかったねえ」と言う。 でもなかには「昔はクーラーなんてなかったから、今の方がよっぽど過ごしやすいわよ。昔は汗疹なんかがよく出来て…」と言う人もいる。 確かに最近汗疹ってあんまり聞かない。 私は昔からあまり汗をかかないタイプで(健康的にはよろしくないと思うが)、その上インドア気質だし、汗疹ができたことは一度もなかったと思う。 幼稚

          2022.7.17

          好きだけど苦手なことがあって、 嫌いだけど得意なことがある。 10代の頃はそれがどういうことか想像もつかなかった。 大人になってわたしは、 嘘をつくのが得意になった。 表向きはカラッとした明るい女として話すことが得意になった。 そういう自分がとても嫌いだ。 大人になってわたしは、 橋梁が好きになった。 いつかこんな橋を自分もかけてみたいと思っても、昔から数学も物理もからきしで、それが極めて難しいことだと分かる。 ないものに手を伸ばして、 あるものを蔑ろにして、 わたし

          2022.6.28

          出しもしない手紙を、今日も書いた。 届けることもできるけれど、 まだ出す勇気のない手紙だ。 文字を書くのは好き。 とんだ悪筆だけど ゆっくり一言ずつ言葉を紡ぐと 少しずつ気持ちが整理される。 宛名にはあなたの名前を書いた。 同じ空の下で繋がっているね、とは言っても きっとこれからもずっと交わることのない人生を歩むあなたに、 まるで親しい友人のように、はたまた愛しい恋人のように手紙を書く。 拝啓あなた。 短い梅雨が終わって、人を殺しそうな暑い夏がやってきた。 私は今日

          言葉にできないそんな夜を見て

          ※NHK「言葉にできない、そんな夜」のお題を個人的に文章にしたものです。 ・大人になって価値観が合わなくなった友達 今は共感できないことも多くなって、 きっとしばらく会わなくなるだろうね。 でも私たちが本当の「友達」だったなら きっといつか、 何年後か何十年後か、 また笑って話せるって信じてもいいんじゃないか。 ・6月になった時の気持ち 新年の私、聞こえるか。 こちらは何も変わらないようで、 少しだけ何かが変わった。 年の瀬の私、聞こえるか。 そちらは少し何かが変わっ

          言葉にできないそんな夜を見て

          2022.5.7

          東京に戻る新幹線で、学生時代の友人を見つけた。 社会人になっても、しばらく付き合いを続けていた友人だ。 行動力があって、人懐っこい彼女。私とは真逆の性格だったけれど、それなりに仲が良かった。 特に何か理由があったわけじゃないが、いつの間にか連絡を取らなくなってまもなく3年になる。 前から不定期で付き合っていたから、3年という月日はそんなに大きくない。 ましてや、こんな世の中で3年のブランクなどよくある話だろう。 だから、声をかけることは難しくなかったはずだ。 あ、彼

          カテゴライズされるということ

          カテゴライズされることがとても嫌いだ。 特に性別によるカテゴライズが苦手。私は生物学上も女だし、自分の性別は女だと自認しているし、恋愛対象も男だ。それなのに、出会いを目的とした場で好意を示されると正直引いてしまう。「私自身を好きなの?私が女だから好きなの?私がもし男だったら?あなたは変わらず私を好きだと言ってくれる?」正直めちゃくちゃめんどくさい女である。自分でも辟易する。 でも、そう思わずにはいられないのだ。なぜそう思うようになったか、全く覚えがない。普通に生まれて普通

          カテゴライズされるということ

          向こうの朝

          圧倒的に朝に弱い。 低血圧だからとか低体温だからとか夜型だからとか。 そういうのは科学的には関係ないらしいね。 毎朝自分に言ってる。 一日の中で朝は気分が一番凪いでいる。 大きな感情の揺れみたいなものが一切ない。 晴れていればそれが少しずつ少しずつ好転するけど、曇っているとまだ夜が続いているみたいで、 少しずつ少しずつ緩やかに塞ぎ込む。 少しでも自分の機嫌を取ろうと、お気に入りの紅茶を淹れてみる。 ティーカップから立ちのぼる湯気が花の匂いを連れてきて、実家の庭を思い出す。

          2021.10.

          私はいつもガラスの向こう側の人を眺めていた。 通りかかる人々はこちらの様子をガラス越しに眺めている。 私と目があっても、何も見えなかったみたいにまた正面をみて去っていく こちら側の闇をガラス越しに見ている。 見えないふりをしている。 私は、それを良しとしている。 それでいい。何の問題もない。 ガラスの向こう側に視線をやるだけ、 出してくれと訴えることもない。 みんなガラス越しにちらりと見るだけで、こちらはこちらと割り切っているように見える。 ショーケースなんて美しい

          2021.9.28

          夜よりは昼の方が好きだ。 夜は余計なことばかり考えてしまうから、 昼の方がよっぽど精神的に健やかに過ごせる。 でも、部活で遅くなった日の夜の学校とか 深夜のコンビニまでの住宅街の路地とか 昔住んでた寮の、夜中のランドリースペースとか そういうのは秘密が生まれそうで悪くない。 寮生活をしていた頃、洗濯機を回しに 深夜のランドリースペースへ向かうと 大概そこには誰もいない。 数分差で入れ違ったであろう誰かの洗濯物が ぐるんぐるんと音を立てて回っている。 夜は誰にも会いたくな

          無花果の木

          いちじくが好きだ。 どんな味?と言われるとものすごく困る。 すごく甘いというわけでもない。 酸っぱいということもない。 種がプチプチしていて、 ちょっともやっとした風味で、 でもほっこり心が温まるような、優しい味がする。 実家の庭の隅にいちじくの木が生えていた。 あたたかくなると その木の幹の細さに不釣り合いなほど、とても大きな葉を茂らせるので、木の下には日陰ができる。 4年前に亡くなった愛犬は、よくそのいちじくの木の下で涼んでいた。 夏になって、実がたくさんなる。 そ