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小匙の書室397 ─ある日どこかで箸休め 3分で読める35話のアラカルト─ ⭐︎先読みレビュー
さて、これからの献立は決まっているだろうか。
もし悩んでいるならば、『小説』というメニューを開いてみてはいかが?
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日々を過ごすにあたって、大切なルーティン。
その中でも欠かせないことの一つが『食事』だ。
とはいえ、同じことの繰り返しとは、ややもすると有り難みが薄れてしまうものである。
──さてここで、一つ質問をしたい。
あなたにとって食事とは、何を目的としているだろうか?
もちろん『空腹を凌ぐため』というのは大前提だが、中には“ただそれだけ”という人もいるのではあるまいか。
私はそうだ。
最近は空腹を凌ぐためだけ──ただ機械的に食事を摂っている。
これは、味があるのに味気ないことだ。
そう思わせてくれた、『食事』の意義を教えてくれる小説が、3/21、マイクロマガジン社さんより刊行される。
それが──、
村田天 著
ある日どこかで箸休め 3分で読める35話のアラカルト
だ。
お料理小説が好きならば必見だ。
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一品、3分で提供される料理。
それが35品も収録されている。
大学生の朝食、深夜の背徳的なラーメン、鍋焼きうどん……。
あなたが体験したかもしれない食事。
これから体験するかもしれない食事。
それらがギュッと詰まった、掌編・短編集だ。
料理の描写は胃袋を刺激するほどで、だから読むタイミングにはご注意を。
(実際、私は夜中にラーメンの一篇を読了し、今すぐにでも出掛けに行きたい欲を抑えねばならなかった)
もちろん、ただ料理が登場するだけの小説ではない。
本作では、誰かと食事をすることで発生するちょっとした本音のやり取りが、ときにコミカルにときに真面目にときに哀愁を漂わせて、綴られているのだ。
順番に読むか、あるいは気になる料理から手に取るか、はたまたそのとき食べたい料理で選ぶのか。
自分だけのフルコースを、ぜひとも組み立てて読んでみてほしい。
一つ一つの篇について内容を追って語っていきたいが、発売日前ということもあって叶わないのがもどかしい。
ともあれ、『食事』というルーティンを振り返るには打ってつけの小説だといえるのだ。
「ごちそうさまでした」
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ちなみに本作は、『小説家になろう』で連載されたものに新規書き下ろしを加えての上梓になります。
最初から最後まで、とにかくお腹を満たすことに特化したお料理小説。
3/21、マイクロマガジン社さん(ことのは文庫)より刊行予定です。
ここまでお読みくださりありがとうございました📚