会社の成長段階の応じた雇用制度を選択する

メンバーシップ型とジョブ型、結局どっちがいいの?

こんにちは、ナザレです。

今日は、日本の雇用形態について考えていきたいと思います。

戦後の高度成長以降、日本の雇用制度として大企業を中心に以下のような特徴がありました。

①年功序列
②終身雇用
③企業別労働組合

これに付け加えて、

④定期昇給

というものもありました。

そして、この時代の雇用形態としては、

①男性の正社員
②どんな業務でもやる(職務の限定なし)
③どんな場所でも働く(転勤あり)

こんな感じでした。

このような、職務の限定がなく、さまざまな業務を行う雇用形態、いわゆる日本的「正社員」というものを、最近では「メンバーシップ型」と呼んだりします。

対して、職務が特定されており、それだけを行う雇用形態、欧米的なスタイルを「ジョブ型」と呼んだりしています。

この2つの型を比べる際に、必ずといっていいほど出てくる議論があります。
それは、

「結局さぁ、メンバーシップ型とジョブ型、どっちがいいの?」

というものです。

皆さんはどっちがいいと思いますか?

日本には、終身雇用と年功序列のメンバーシップ型が合ってるんだ!
と主張する人もいます。
会社としても、メンバーシップ型の方が使いやすいと思います。
なぜなら、命令1つでいろんな業務をさせることができるし、いろんな場所で働かせることができるからです。

社員としても一定のメリットがあります。
終身雇用なら余程のことがない限り解雇にはならないし、とりあえず転勤を受け入れておけば会社から文句も言われない。
転勤を繰り返すことで、現地への適応力が磨かれるかもしれない。
さまざまな業務を経験することで、総合力が上がる可能性もあるし、自分が極めたい仕事というものが見つかることもある。
とりあえず、命令通りに動いておけば良いという感じです。

ただ、終身雇用については、維持が困難だとトヨタの社長も言っていましたので、メンバーシップ型のメリットは薄まってきているといえます。

そうなってくると、いよいよメンバーシップ型とジョブ型の比較が難しくなってきます。

ジョブ型は、職務が限定されていますので、ずっと経理、ずっと人事といった風で専門を極めることができそうです。

ただ、欧米だと、その職務や部署がなくなると解雇されるケースもあるようです。
例えば、ある拠点で営業をしていた人が、その拠点が閉鎖されるときには、解雇されることもあるわけです。
もちろん、欧米でも一概に解雇されるとは限りませんが、メンバーシップ型だと職務が限定されてませんので異動することができますし、異動させることが会社の義務としてあります。

しかし、ジョブ型だと、会社には、異動させてまで社員の仕事を用意してあげる必要はありません。
仕事がなければ、「はい、さよなら」となってしまう可能性は高いです。

ジョブ型のメリットは、やはり1つの仕事を極められるということでしょうか。
あれやこれやと、いろいろな種々雑多な仕事を振られることはなく、自分の仕事だけをやることができます。

メンバーシップ型でジェネラリストっぽくなっても、どの仕事もパッとしないと言われることもあります。
それに比べたら、専門職として道を極める方がキャリアとしてわかりやすく感じます。

というわけで、結論はどっちでも良いという感じですね。
結局それかい!!と怒られそうですが、これは事実として、どちらを選んでも組織はそんなに変わらないと感じます。

なぜなら、メンバーシップ型かジョブ型かというのは、会社の成長段階や規模に応じて選択すべきだからです。

会社の創業期に、「私は経理しかやりません!」とか言う人は、組織として必要ないですよね。
いやいや、人事も総務も営業もやって!!ってなるからです。
創業期は、仕事を限定できないわけです。
少ない人数で、たくさんの仕事をする必要があるのです。

でも、会社が成熟期に入り、人数も増えてきたら、全員が全員、いろんな仕事をやるというのは、効率が悪い気がします。
いくつかの塊を作って、仕事を割り振っていく方が早く終わるでしょう。
経理なら経理、人事なら人事と仕事を限定していくと、仕事が専門化され、より効率的な仕事ができるはずです。

改めて結論を言いますと、メンバーシップ型かジョブ型かの選択は、会社のフェーズに応じて選ぶことが大事です。

どちらかが最適、つまり正解で、どちらかが間違いというものではありません。
その辺りを理解しつつ、タイミングをみて選ぶことをお勧めします。

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ナザレ|社会保険労務士
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