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「運送の2024年問題」はこれからが本番!
「長距離ドライバー「年収700万円以上に」 業界大手発表の裏で、政府がもくろむブラック運送会社の徹底排除」
https://news.yahoo.co.jp/articles/a673a9cd76ab278dc7a90b0079ac3ed7454023be
「荷待ち削減の計画義務化、物流2法案閣議決定 24年問題」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA130QB0T10C24A2000000/
「運送の2024年問題」が喧伝されてきましたが、労働時間の上限規制が適用開始となる4月も終わり、加えていわゆる「物流関連2法」も閣議決定されたことで、我が国の物流は今後さらなる変化を求められることになるでしょう。
冒頭のドライバーの年収については、そもそも運送会社の売り上げがUPしなければ原資を確保できないものですが、
・運送業界の多重下請け構造の是正されること
・労働時間の上限規制や人手不足に対応できない同業者が淘汰されること
・M&Aによる業界再編が促進されること
上記のような点によって、実運送会社の1社1社の規模が拡大し、その結果として運送会社側の価格交渉力がUPするという結果が生じれば、将来的にはドライバーの年収にも反映されるでしょう。最近、大手の傘下に入ったことによって交渉力が上がったという例がTVで紹介されていました。
一方で、労働時間の上限規制のために今までやってくれていたことをやってくれなくなり、なおかつサービスに対して支払うお金も上がるとなれば、ユーザーである荷主や最終消費者としては、できるだけそのサービスを使う(消費者なら購買の)頻度を下げようという動きも出てくることが予想されます。
また、今後の為替相場の動きにもよるところですが、今以上に円安が続けば原価の増大に繋がり、そうするとますます買い控えのような購買行動が顕著になります。
運送に話を戻すと、運送を初め物流はどうしても受動的な立場の仕事であるので、ヒット商品が出たり購買する人の数が増えない限りは物量も増えることはありません。
そうすると、運送の2024年問題というのは労働時間の上限規制が本丸ではなく、上記のようなモノの動きやヒトの動きの中であっても高い賃金を維持できるのかどうかという点にあるのだと思います。
そもそも労働者は、何時間働きたいからという動機で仕事をするのではなく、賃金を得たいから仕事をすることが動機であるので、いくら「ホワイト物流」を実現したところで得られるものが揃わなければ、冒頭のような政府の掲げる年収の目標は絵に描いた餅に終わりかねません。
そうした運送や物流の持つ本質的な性質(受動的に発生する仕事)を踏まえつつ、法対応とともに古くて新しい課題(自ら仕事を生み出す)動きをしていくことまで意識した取り組みをしていかなければならないでしょう。
物流に長く携わってきた経験を基に、運送や物流の本質を改めて思い出してみると、「働き方=事業の在り方」という構図が見えてきます。
行き過ぎた長時間労働はもちろんダメですが、事業の将来(ひいては自らのキャリア)が明るいのであれば、時には家に帰るのが遅くなることもそう苦痛ではありません。
夢や希望という言葉は、すっかり個人的なもののイメージになってしまったかもしれませんが、組織にも夢や希望があってもいいし、むしろ夢や希望があってこそ人が集まって仕事をする意味があるのではないかと私は思います。