今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針と重要事項等 ~『こども大綱』の策定に向けて~ (こども家庭審議会 答申)📝
こども大綱の案の作成にあたっては、こども家庭審議会に対し、今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針や重要事項等について諮問されています。
R5/12/1に「こども家庭審議会」の答申が公開されました。
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/
答申の中から、障がい児に関する部分について、一部ご紹介します。
第2 こども施策に関する基本的な方針
(1)こども・若者を権利の主体として認識し、その多様な人格・個性を尊重し、権利を保障し、こども・若者の今とこれからの最善の利益を図る
思想・信条、人種、民族、国籍、障害の有無、性的指向及びジェンダーアイデンティティ、生い立ち、成育環境、家庭環境等によって差別的取扱いを受けることがないようにする。
貧困、虐待、いじめ、体罰・不適切な指導、暴力、経済的搾取、性犯罪や性暴力などの権利の侵害からこどもを守り、救済する。
(2)こどもや若者、子育て当事者の視点を尊重し、その意見を聴き、対話しながら、ともに進めていく
貧困、虐待、いじめ、体罰・不適切な指導、不登校、障害・医療的ケア、非行などを始めとする困難な状況に置かれたこども・若者や、ヤングケアラー、社会的養護の下で暮らすこども、社会的養護経験者(いわゆるケアリーバー)、宗教二世、外国人のこどもなど、様々な状況にあって声を聴かれにくいこどもや若者、乳幼児を含む低年齢のこども、意見を表明することへの意欲や関心が必ずしも高くないこども・若者も自らの意見を持ち、それを表明することができるという認識の下、言語化された意見だけでなく様々な形で発する思いや願いについて汲み取るための十分な配慮を行う。
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(4)良好な成育環境を確保し、貧困と格差の解消を図り、全てのこども・若者が幸せな状態で成長できるようにする
幼児教育や保育に携わる者、教職員、青少年教育施設の職員、児童相談所や児童福祉施設等の職員及び里親、障害児支援に携わる者、民生委員・児童委員、保護司、地域でこども・若者や子育てへの支援を担っているNPO等の民間団体の職員やボランティアなど、こども・若者の育ちや困難に対する支援、子育ての支援に携わる関係者が、こどもの権利を理解し、こどもの声を傾聴するゆとりを持てるよう、また自身が喜びや幸せ、充実を感じられるよう、職場環境や活動環境等の改善に取り組むとともに、多様な人材の確保・養成、専門性や質の向上、メンタルケアなどを充実させる。
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第3 こども施策に関する重要事項
1 ライフステージを通した重要事項
(5)障害児支援・医療的ケア児等への支援
⚫こども基本法に加え、障害者の権利に関する条約の理念を踏まえ、障害のあるこども・若者、発達に特性のあるこども・若者の地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進し、それぞれのこども・若者の置かれた環境やライフステージに応じて、一般の子育て支援との連続の中で、その発達や将来の自立、社会参加を支援する。
⚫特別児童扶養手当等の経済的支援を行うとともに、こどもと家族に寄り添いながら個々の特性や状況に応じた質の高い支援の提供を進める。
⚫障害の有無にかかわらず、安心して共に暮らすことができる地域づくりを進めるため、地域における障害児支援の中核的役割を担う児童発達支援センターの機能強化や保育所等への巡回支援の充実を図るなど、地域における障害児の支援体制の強化や保育所等におけるインクルージョンを推進する。
⚫医療的ケア児、聴覚障害児など、専門的支援が必要なこどもや若者とその家族への対応のための地域における連携体制を強化する。
⚫こどもや若者本人のみならず、保護者やきょうだいの支援を進める。
障害や発達の特性を早期に発見・把握し、適切な支援・サービスにつなげていくとともに、乳幼児期・学童期・思春期の支援から一般就労や障害者施策への円滑な接続・移行に向けた準備を、保健、医療、福祉、保育、教育、労働など関係者の連携の下で早い段階から行っていく。
⚫特別支援教育については、障害のあるこどもと障害のないこどもが可能な限りともに安全・安心に過ごすための条件・環境整備と、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の整備・充実を両輪として、インクルーシブ教育システムの実現に向けた取組を一層進める。
障害のあるこども・若者の生涯にわたる学習機会の充実を図る。
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(6)児童虐待防止対策と社会的養護の推進及びヤングケアラーへの支援
(児童虐待防止対策等の更なる強化)
児童虐待は、こどもの心身に深い傷を残し、成長した後においても様々な生きづらさにつながり得るものであり、どのような背景や思想信条があっても許されるものではない。
一方で、虐待に至った親にも自らの被虐待経験や、貧困、疾病、障害等の様々な困難が背景にある場合が多いという現実もあり、子から親になった養育者自身が置かれている困難に対する支援を社会全体で提供することにより、どのような困難があってもこどもへの虐待につながらないようにしていく必要がある。
虐待相談対応件数の増加など、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化してきている状況等を踏まえ、子育てに困難を抱える世帯に対する包括的な支援体制の強化を行う。
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2 ライフステージ別の重要事項
(1)こどもの誕生前から幼児期まで
(妊娠前から妊娠期、出産、幼児期までの切れ目ない保健・医療の確保)
先天性代謝異常等を早期に発見する新生児へのマススクリーニング検査の拡充に向けた検証を進めるとともに、新生児聴覚検査など聴覚障害の早期発見・早期療育に資する取組を進める。
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(こどもの誕生前から幼児期までのこどもの成長の保障と遊びの充実)
幼児期の教育・保育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることから、幼稚園、保育所、認定こども園の施設類型を問わず、安全・安心な環境の中で、幼児教育・保育の質の向上を図ることを通じて、障害のあるこどもや医療的ケア児、外国籍のこどもをはじめ様々な文化を背景にもつこどもなど特別な配慮を必要とするこどもを含め、一人一人のこどもの健やかな成長を支えていく。
地域や家庭の環境にかかわらず、全てのこどもが、格差なく質の高い学びへ接続できるよう、学びの連続性を踏まえ、幼保小の関係者が連携し、こどもの発達にとって重要な遊びを通した質の高い幼児教育・保育を保障しながら、幼児教育・保育と小学校教育の円滑な接続の改善を図る。
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(3)青年期
(高等教育の修学支援、高等教育の充実)
大学等における学生の自殺対策などの取組や、障害のある学生への支援を推進する。
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第4 こども施策を推進するために必要な事項
1 こども・若者の社会参画・意見反映
(4)多様な声を施策に反映させる工夫
貧困、虐待、いじめ、体罰・不適切な指導、不登校、障害・医療的ケア、非行などを始め、困難な状況に置かれたこども・若者、ヤングケアラー、社会的養護の下で暮らすこども、社会的養護経験者など、様々な状況にあって声を聴かれにくいこどもや若者、乳幼児を含む低年齢のこども、意見を表明することへの意欲や関心を必ずしも高くもてないこどもや若者がいることを認識し、全てのこども・若者が自らの意見をもち、それを表明することができるという認識の下、安心して意見を表明し、その意見が施策に反映されるよう、意見聴取に係る多様な手法を検討するとともに、十分な配慮や工夫をする。
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2 こども施策の共通の基盤となる取組
(2)こども・若者、子育て当事者に関わる人材の確保・育成・支援
幼児教育や保育に携わる者、教職員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、社会教育に携わる者、青少年教育施設の職員、児童相談所や児童福祉施設等の職員及び里親、障害児支援に携わる者、民生委員・児童委員、保護司、地域でこども・若者や子育てへの支援を担っているNPO等の民間団体の職員など、こども・若者の健やかな育ちや困難に対する支援、子育て支援に携わる担い手の確保、育成、専門性の向上を図る。
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その他にも関係する部分は多数あったのですが、その中から障がい福祉と特に関わりが深そうな部分を抜粋しています。
実際には就労や医療など、関係しない部分がないくらいではあるのですが。
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ご参考くださいませ。
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