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chatGPTによる不完全性定理に関する解説を添削してみる

chapGPTくんに「不完全性定理について」と尋ねてみました。


不完全性定理は、1931年にアルフレッド・タージ・ワイトによって発表された、数理逻辑における重要な定理です。この定理によれば、任意の連続した数学的システムには、真でない命題が存在するということが示されています。これは、つまり、どんなに複雑で完全な数学的システムであっても、それに含まれる命題の中には、必ず証明できないものが存在するということを意味しています。

chapGPT

確かにゲーデルによる "Über formal unentscheidbare Sätze der Principia Mathematica und verwandter Systeme. I." の発表は1931年ですが、ご存じのとおりに不完全性定理の初出とされているのは来るとゲーデル Kurt Gödel の先述の論文であり、 アルフレッド・タージ・ワイトって誰でしょう。

「数理逻辑」ってなんだろうと思って検索したら中文のwikipediaのMathematical Logicの項目がかかったので、漢字文化圏内の言語に対するchatGPTの認識の粗さが窺えます。

さて重要な数学的内容に関わる部分です。これは第一不完全性定理に言及していると解釈してあげましょう。

chatGPTによると (第一) 不完全性定理が述べるのは「任意の連続した数学的システムには、真でない命題が存在するということ」だそう。「任意の連続した数学的システム」の意味を図りかねますが、「つまり」以降で「どんなに複雑で完全な数学的システム」と言い換えられているので、「複雑で完全」であることを「連続」と表現していると考えていいでしょう。なお、「システム」を「形式体系」と解釈するのは許容範囲内でしょう。
「複雑さ」がPAなりZFなりPMなりの拡大であることと解釈することは可能かもしれないですが、「完全」をREであることと解釈するのはcharityを発揮しすぎでしょう。特にロジックの脈絡で「完全」はテクニカルタームなのでこれはNG。なので「完全」は無視して「どんな複雑な形式体系も」と解釈することにします。

最後に「真でない命題が存在する」ですが、真でない命題が存在しない体系は任意の命題が真になるということなのでchatGPT氏はロジックを理解していませんね。
この部分は「必ず証明できないものが存在する」と言い換えられています。やはり「体系Tでどんな命題も証明可能である」ということは「体系Tは矛盾している」ことになるので、同じ間違いの繰り返しです。

以上を踏まえて私なりのcharityの精神で読み解いたchatGPTによる (第一) 不完全性定理の解釈は「どんなPM/PA/ZFの拡大も、その中に必ず証明できない命題が存在する。つまりどんなPM/PA/ZFの拡大も矛盾しない」というものです。

ご存知の通り拡大の仕方によっては平気で矛盾するので、これでもう純粋に誤りですね。

ちなみに論計舎では、「ゲーデルの不完全性定理への12講」という連続講義を開催しております。第一不完全性定理RTAの趣が出てきていますが、以下を目標としています。

数理論理学の基本定理で一つの大きな達成である、ゲーデルの不完全性定理を理解する。ここでいう理解とは、背後の基本的な考え方・発想および数学的な技法を含むものである。
この技法は、不完全性定理にかぎらず、チューリングおよびチャーチそれぞれによる実行的に解けない数学の問題の存在を示した業績などでも使われたものである。

ゲーデルの不完全性定理への12講 |  論計舎

ご関心の向きは、こちらをご覧になってぜひお問い合わせください。

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