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2022個人的ベストミュージック20(プレイリスト編)

ソング編に続いてプレイリスト(アルバム)編。これでやっと今年も年が越せます。それではまた来年。

20.『アダプト』サカナクション

収録時間が30分台であることから分かるようにかなり無駄のないタイトな作品となっているけど、それでいてしっかり充実感もあるのはやはり”ショック!”が真ん中にいるからだろう。ライヴで完成するタイプのバンドなので、ライヴツアーが中止になったのは残念。来年に期待。

19.『今、何処』佐野元春 and THE COYOTE BAND

デビュー42年目の大御所、佐野元春の新譜は、真骨頂の抒情的なリリック、スケールの大きいロックサウンドと彼の紛れもない個性が溢れた1枚になった。そして近年の音楽シーン的に、一周回って同時代性も持つ作品になっているような気もする。

18.『Hajimete No Mini Album』kolme

3人組ガールズユニットのEP。硬質なダンストラックに乗せて自らをアップグレードしていこうと歌うエンパワーメントソング”Upgrade me”が傑出の出来。もっと評価されていい。

17.『The 1st Artwork』Paintbrush

タイのアイドルグループの1stEP。日本語詞の曲がある通り、タイのアイドルシーンはかなり日本の影響をダイレクトに受けており、日本のアイドルファンはすぐに気に入るはず。その中でも彼女たちの曲はそもそもプロデュースが日本のバンドevening cinemaの原田夏樹と言うこともあり間違いないクオリティ。

16.『婦人の肖像』原由子

サザンオールスターズ・原由子の31年ぶり(!)のソロアルバム。改めて彼女の声が唯一無二の個性があることを思い出させる作品。温かみがあるようで冷たさもあり、無機質でいながら柔らかさもある。楽曲により色を変えつつ記名性があるのはボーカロイド的ですらある、と言うのは流石に暴論か。

15.『メトロパルス』CAPSULE

ご存じ中田ヤスタカの本体ユニットの7年ぶりのニューアルバム。Perfumeとの音の違いはあるのか、と言われると正直本作は特に無いのだけど、ヴォーカルこしじまとしこの声が堪能できるだけで全然OKです。

14.『Rain or Shine』青野りえ

AORというジャンル、いわば「大人向けのロック」があるのですが、その究極版と言えるアルバム。とにかく優雅で上品でウェルメイド。世代を超えて色褪せない音楽。

13.『LOVE ALL SERVE ALL』藤井風

デビューして3年経たずにカリスマに駆け上がってしまった藤井風。衝撃の1stに続く充実の2ndと言うべき、藤井風らしさを確立させる1枚に。歌詞は抽象的なのに、方言混じりの歌唱によって土着的な着地を見せるのが独自の聞き応えがある。

12. 『はみ出て!』 YeYe

ヴォーカル、サウンド全てが柔らかく包み込まれるような芳醇さ。それでいて”素っ頓狂”でのBIMとのコラボのような激しさもあり、広がりのある聞き応えのある1枚。”確かな午後”のサビがコーラス含めて珠玉。

11.『Nisemono』Ginger Root

アメリカ・カリフォルニア出身のシンガーソングライターによるEP。日本の80年代アイドルポップスへ熱いオマージュはMVからも溢れ出ている通りで、自ら偽物と嘯いてはいるがむしろ2020年版の再構築っぷりが最高。

10.『MAD DOCTOR』カメレオン・ライム・ウーピーパイ

Chi-によるソロユニットの2ndEP。カオスなエレクトロポップの表題曲、ブレイクビーツながらファンキーさもある”Crush Style”など何でもありのこれぞミクスチャーなサウンドがめちゃくちゃクール。

9.『ネオン』水曜日のカンパネラ

ヴォーカルの2代目の詩羽に変わったと思ったらすぐにTikTokで”エジソン”で大バズ。こんなにスムーズに世代交代するとは。ただ音楽担当のケンモチヒデフミの作るエッジーかつキャッチーなサウンドは結成時から常に不変なので、当然と言えば当然。”エジソン”以外にも卑弥呼をお天気キャスターに見立てる(”卑弥呼”)などどの曲も間違いないクオリティ。バズには終わらない強度を持っている。

8.『(エン)』RYUTist

前作『ファルセット』はそれまでのTHEアイドル的な大人と子供の境目としての思春期的なグラデーションがパッケージされた汽水域のような作品だったが、本作で完全に境界線を越えた感。君島大空、石若駿、柴田聡子などシーンの先端を走るクリエイター達によるチューニング無しのトップギアな楽曲を真正面で打ち返すメンバーの覚悟に賞賛を。

7.『blossom』花澤香菜

音楽活動10周年のタイミングに、活動初期を支えた北川勝利をプロデュースに迎えた原点回帰の6thアルバム。前作まではあえて声優らしさから距離を置いたようなアーティストの矜持、のようなものが感じられてたが、”Moonlight Magic”での「声優花澤香菜」の本気を出したセリフパートなど、本作はいい意味でその境目が曖昧になっている。歌手としての基盤が確立されたからこその新章を宣言する1枚。

6.『my mom doesn't like this』VINI

2021年に解散したタイのアイドルグループFEVERの元メンバーから結成されたグループで、めちゃくちゃクールなクラブミュージックが気持ちいい。今年は東南アジア、特にタイポップスにハマった年で、現在世界的なブームのシティポップを実はもっと前から吸収していたアーティストがゴロゴロいて、好みにドンズバなアーティストだらけ。そろそろタイ旅行に行かなければ。

5.『fit』堂島孝平

KinKi Kidsなど様々なアイドル、アーティストへの楽曲提供などで知られるシンガーソングライター堂島孝平の19枚目のアルバム。心地よいメロディ、意味と耳触りの良さを両立した歌詞、そしてそれらの快楽を最大化するサウンドアレンジ。2000年以降のJ-POPを実は支えていたと言っても過言ではない、彼のポップ・マエストロっぷりが堪能できる1枚。

4.『Music Restaurant Royal Host』藤井隆

50歳になる藤井隆の同じく50周年を迎えたファミレス・ロイヤルホストの名前を冠したアルバム。彼の音楽活動の特徴を一言で言うならば、上品さの中の隠しきれない狂気であり、本作もダンストラックから歌謡曲サウンドと音楽的広がりがありながらも、テンションがコントロールされているアルバムとしての恐ろしいほどの細やかさを感じる。ティーザー映像も相変わらずクレイジー。

3.『私立恵比寿中学』私立恵比寿中学

去年7年ぶりに新メンバーを加入した結果、それまでの円熟期とでも言うべき完成度はそのままに、リフレッシュして無敵モードに入っている感があるエビ中。そりゃあセルフタイトルのアルバムを出しますよね。今更これ以上いうことないのですが特に好きな曲で言うと、十八番のファンキーナンバー”トキメキ的週末論”、ただただメンバーの歌唱力で殴り続けられる”ハッピーエンドとそれから”です。ってか全部聴いて。

2.『Chilli Beans.』Chilli Beans.

ネクストブレイク候補な3ピースバンドによる1stアルバム。ガレージロック的な無骨さとポップさのバランスが絶妙。Vaundyと共作による切ないダンスナンバー”Lemonade”、令和版四つ打ちロックアンセム”Tremolo”など強度のある楽曲揃い。先日観たライヴでのパフォーマンスも脂が乗りまくっていたので、来年はもっと大きな存在になっているはず、とここで宣言しておきます。

1.『ノクターナル』東京女子流

2011年発売のデビューアルバム『鼓動の秘密』は間違いなく2010年代のアイドルシーンの歴史に残る1枚だったのだが、2020年代にも同様のマスターピースが。楽曲のクオリティはこの12年間常に最高だったのだが、時代がついてこなくて不遇な扱いを受けてきたここ数年の東京女子流。近年のシティポップブーム、K-POP旋風だって、彼女達からしたら何周も前にやってますけど、と言ったところ。そういうこれまでの積み重ねがついに花開いた会心の一撃。全てのポップスラヴァーズに躊躇いなくおすすめ出来る文句なしの1枚。とりあえず聴いてくれ。


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