20.アンチ・ドーピング:漢方薬の質問がダントツ1位です。
さあ今回も、毎日「note」にお届けする「ドーピング」の話題の定期便 中高生にもわかりやすい「アンチ・ドーピング講座」
皆様の勉強のコンダクターを務めますのは、わたくし「SPヤマト」です。
ということで、長年、JAL日本航空がスポンサー📻TOKYO FM系列で月曜から金曜の毎晩、午前0時から放送されている<音楽の定期便>「ジェット・ストリーム」風に始まりました😊。
今回のテーマはズバリ「漢方薬」についてです。
実際に「SPヤマト」に寄せられる質問の半分以上が、漢方薬に関連する内容です。
もっとも質問者は、自分が漢方の事を質問をしていると気が付いていないケースも多いのですが。
また、よく耳にするフレーズに以下のようなものがあります。
・薬を飲むとドーピング違反になるかもしれないで、漢方薬を服用しました。
・ドーピングが怖いから自然由来の漢方薬を飲んでいます。
・漢方は身体に優しいので、安心して服用しています。
さらに、「漢方薬はドーピング違反にならない」とはっきりと断言するスポーツ指導者まで存在しています。
しかし、これらはすべて間違っている情報です。
漢方薬は自然のものからできているので、「ドーピング違反」にならないと思っている人がいるかもしれませんが、それは大きな間違いで、漢方薬を構成する生薬(しょうやく)の中には、明らかに禁止物質を含むものがあります。
また、薬局やドラッグストアで簡単に手に入れられる市販薬の中には、名前は全然漢方薬っぽくないのに、実は中身が漢方薬ですなんていう商品がたくさんあります。
このように、「アンチ・ドーピング」のルールを守らなければいけないアスリートにとって、漢方薬は意外と手ごわい相手なのです。
では、明らかにドーピング違反に問われる成分の代表をご紹介しましょう。まずは、市販の風邪薬にも含まれている麻黄(マオウ)、そして滋養強壮薬・ドリンク剤に用いられる麝香(ジャコウ)などが挙げられます。
このような生薬を含む漢方薬は禁止物質を含むので使用できません。
つぎに、一見だけでは漢方薬に見えないけど、実は中身が漢方薬という市販薬は・・・
最初に、CMでもよく目にする、小林製薬から出ている肥満症に効くとうたわれている「ナイシトール」シリーズ。こちらの中身は防風通聖散という漢方薬になります。
つぎに、またまたCM等でおなじみの第一三共ヘルスケアの「カコナール」シリーズ。こちらの中身は葛根湯という漢方薬が入っています。
ね、名前を見ただけでは、漢方薬だなんて気が付かないですよね。
ちなみに、防風通聖散と葛根湯のどちらにも、興奮成分の「麻黄」と呼ばれる生薬が含まれており、競技会時に服用していると「ドーピング違反」になります。
このほかにも、一見しただけでは漢方薬と分からなくても、中身が漢方薬という薬品がたくさん存在しています。
では、禁止物質を含まない生薬ならば服用しても大丈夫なのでしょうか。
生薬は、動植物や鉱石など天然物に由来していますので、主成分(薬効を持つ主な成分)はわかっていても、生薬に含まれるすべての成分が明らかなわけではありません。
また、生薬の産地、栽培方法、収穫時期、収穫年度などで含有成分が変わることが知られており、不明な成分が含まれている可能性があります。
このように、本来は禁止物質を含まない生薬であっても、全く禁止物質を含んでいないと断言することができず、「絶対大丈夫」と確証を得ることが出来ません。
また、漢方薬は国や製造メーカーによっても組成が違うことがあることも知られています。
日本の薬と海外の薬で、同じ名前でも中身が違うことがあったのと同じように、日本と海外では同じ名前の漢方薬でも組成が違っていたりします。
さらに日本国内でも、同じ商品名の漢方薬でも、製造メーカーによって、その組成内容に違いがあったりすることがあります。
最後に、漢方薬は身体にやさしいというイメージを持たれがちですが、漢方専門医は、急性期にも使用しており、虫垂炎(盲腸)くらいであれば、手術なしで漢方薬だけで治してしまうこともあります。
また、漢方薬も薬である以上、当然副作用が存在しますし、漢方薬による死亡例も報告されていますので、必ず専門家の指導のもとに使用するように心がけてくださいね。
今回は、「SPヤマト」が薬学生時代に唯一、一生懸命講義を受けた授業だった「漢方」についてのお話でした。
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